介護報酬における、「加算」には、その算定要件に合致するサービスをスタンダードにすべきだという国側の意図が隠されていることが多い。

そもそもそれは介護給付費分科会等で事前に審議された内容から、必要性が示されたものが加算費用となっていくが、審議会で議論される内容自体が、自然発生的にそこに上がってくるわけではなく、事前に何らかの形で、国の意思として示された内容に沿った議論であるのだから、ほぼすべての加算が、国の意図と関連あると言ってよいものだ。

それは加算要件として文章で示された内容だけではなく、その裏に次の報酬改定への布石が隠されていたり、制度が向かう方向性を示したものであったり、いろいろである。我々関係者は、ただ単に算定要件を読み取るだけではなく、そこに隠された(あるいは匂わされている)意図を探ることによって、次の報酬改定や制度改正に向けて、経営戦略を見直していくという考え方も必要で、国がそれらを表面化するまで待っていては、後追いで追いつかなくなることが多いのである。

それでは本年4月の施設サービス費の介護報酬改定では何が見えるだろうか。それを確認するために加算について検証してみよう。

施設サービスにおいては、特養・老健・療養型共通で、経口維持加算の見直しが行われた。それは従前までのスクリーニング手法別の評価区分を廃止し、多職種による共同の食事観察及び会議、入所者ごとの経口維持計画作成と医師又は歯科医師の指示による管理栄養士の栄養管理によって算定できるという新たな要件に変更されている。

経口維持加算気砲弔い討28単位(日)が400単位(月)となり、月を通じて算定できる単位数は減ったものの、造影検査を行う必要がなくなったことで、3月まで5単位(日)の経口維持加算兇靴算定できなかったケースのほとんどが、気了残蠅棒擇蠡悗┐襪海箸可能となり、この部分での収益アップを図ることが可能になった。しかも算定要件から考えれば、何らかの嚥下食対応を行っている場合は、会議を行い計画を適切に立案すれば加算気了残蠅浪椎修覆里任△襪ら、より多くの利用者を加算対象とすることが可能であるし、協力歯科医院を定め、気硫餤弔飽綮奸∋科医師、歯科衛生士又は言語聴覚士が加わった場合には、気鵬辰┐騰兇盪残蠅任るというメリットもある。

療養食加算は23単位(日)が、18単位(日)に減額されているが、同時に、「経口移行加算又は経口維持加算との併算定が可能になる」とされたため、両加算を算定することで、減額された分より加算分が大きくなる可能性もあり、経口維持加算算定の取り組みはより重要となってくる。

当然この加算は、経口摂取を続けることで可能となる自立支援や、経口摂取を続けることができる生活の質を評価した結果であることは間違いがない。そのために安易に経管栄養に移行しないでほしいという意図が含まれていることも間違いないだろう。

同時にその先には、経口摂取できなくなった場合の、選択について問い直しているという意味も『あるのではないだろうか?

今回の報酬改定では、特養の場合、看取り介護の質の充実を図るという目的で、看取り介護加算の死亡日以前4日目〜30日が80単位/日から144単位/日に増額され、一人に付き最高算定できる単位が、4.800単位から、6.528単位に引き上げられている。

老健の場合のターミナルケア加算の増額はされていないが、介護報酬改定に関する基本的な考え方として、老健の在宅復帰支援機能を更に強化する加算のあり方を示し、在宅復帰支援機能をさらに高めるため、退所後も視野に入れた入所時からの取組が推進される加算評価の考え方が示されているが、同時に、「老健でのターミナルケア・看取りは、利用者の長期間の在宅療養支援の結果として行われるものであり、このような観点からターミナルケア・看取りを評価する」という考え方が示され、在宅復帰機能とターミナルケアの機能が、決して矛盾するものではないことを示している。

さらに介護療養型医療施設についても、「介護療養型医療施設は、看取りやターミナルケアを中心とした長期療養 を担っている」と明記したうえで、重点的に報酬評価する新たな要件のひとつに、(ウ) 入院患者のうち、ターミナルケアを受けている患者が一定割合以上であること、が設けられている。

このように介護3施設の看取り介護・ターミナルケアの機能強化が視野に入れられている中での介護報酬改訂であったことがわかる。

そうであるならば、施設サービスにおいては、食事を経口摂取し続ける取り組みが大切で、安易に経管栄養に移行しないという考え方を大切にするとともに、食事の経口摂取ができなくなった時点で、機械的に経管栄養を行うということではなく、対象者の状態像を精査したうえで、経管栄養を行わないで、看取り介護に移行することも考慮に入れる必要があることをも示唆したものではないかと想像する。

当然そこでは、利用者本人の意思について、お元気なうちから確認しようとする基本姿勢が求められていくべきであり、経験栄養の適応を、施設と家族のみで検討するということではなく、利用者が自らの終末期をどう過ごしたいのかという意思を確認する方法やシステムの構築が検討されなければならないと考えるのである。

つまり本年4月の施設サービス費の改訂の中には、施設利用者のリビングウイルというものをどう尊重するかという考えが、盛り込まれてきていると言えるのではないだろうか。

そして施設サービスに携わる我々には、国のそうした意向も踏まえた上で、人生の最終ステージを安心・安楽のうちに過ごすことができる体制整備が、一層求められていると理解する必要があるのだと考える。

そのためのPDCAサイクルの構築は急務と言えよう。

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