介護老人福祉施設において、食事(給食サービス)は、生活の質に直結する非常に重要なサービスである。

食事とは、健康状態の保持や、栄養状態の維持に関連して重要であるだけではなく、人にとって最も楽しみな行為という意味で重要である。食の楽しみを持ち続けるということは、豊かな暮らしを送るためには必要不可欠なことなのである。

特養の利用者属性を考えたときに、要介護3以上の方がほとんどで、平均年齢も87歳を超えていることから、一般食では対応できない、嚥下食対応者が増えてきているという実態がある。その中で、食事を単に栄養補給と考えてしまえば、それはただ単に命をつなぐだけのために、口に流し込まれる「エサ」以下のものになってしまう恐れがある。そうしないために我々は、嚥下機能の低下があったとしても、食事としての楽しみを失うことがないような食事提供に努めていくことを決して忘れてはならない。

ところで、当施設の食事サービスは、この8月から提供方法が大きく変わった。直営の食事提供から、給食業者への委託事業に切り替えたためである。

その理由は、大幅な介護報酬の減額で、経費節減の必要性となったことが一番の理由であるが、委託に切り替えても食事の質は落ちず、むしろ給食専門業者が積み上げてきた専門のノウハウによって、美味しい食事提供が可能になると同時に、特に嚥下食などは、単なるミキサー食や、刻み食ではなく、それぞれの利用者の皆さんの嚥下機能に合わせた、ムース食、ソフト食など多様な形態の食事が提供できることで、一般食に見かけや味も近い嚥下食の提供が可能になるということが、給食委託への大きな動機付けとなった。

委託に切り替わった初日と2日目は、土日で、僕は休みであったために、どのような状態で新しい給食サービスが実施されるのか確認していなかった。そのため3日の月曜から6日の木曜日までの4日間、新しい給食を試食してみようと、食券を出して、昼ご飯を食べてみた。

その4日間の普通食(昼食)を紹介してみよう。
月曜日の昼食
五目炒飯、オイスターソース炒め、ブロッコリー醤油和え、中華スープ、オレンジ

火曜日の昼食
パン、ポークチャップ、マカロニサラダ、わかめスープ、グレープジュース

水曜日の昼食
冷しなめこおろしうどん、ささみの胡麻酢和え、サツマイモのかき揚げ、リンゴ

木曜日の昼食
チキンカツレツ・大根土佐煮・青菜の菜種和え・メロン

木曜日に給食会議を行い、利用者の意見などを職員が吸い上げて話し合ったが、おおむね好評のようである。味が濃いという意見もあったが、逆においしくなったという意見もあり、この辺りはもう少し長い期間で、全体評価を続けたいと思う。メニューが変わって、今までとは違うものが食べることができてうれしいという意見も上がっている。

ムース食については、非常に食べやすくて、みかけもよいと評判がよかったが、ソフト食については、一般職と同じように成形する技術がまだ拙く、かつ魚の形などに成型する型の種類が足りないために、彩も悪くておいしそうに見えない、何のムース食なのかわからないという意見が出され、型の種類を増やしいて、成形技術の向上に努めてもらい、より一層の満足度アップにつながるよう努力することを確認した。

ところで、この部分にも今までと大きな違いがって、サービス向上努力は、直営の場合、すべて施設の問題であったが、いあたく事業となったことで、「、型の種類を増やす」というのは、施設が行うべきことであるが、「成形技術の向上に努める」ことは、施設の職員ではなく、委託事業者の職員に求められることであり、両者の協力と連携によって、より良い食事サービスにつなげる必要があるということが、あらためて意識された。

どちらにしても「食」の楽しみを失わないような、サービス提供に心がけていきたい。食事の経口摂取が続けらえることの重要性をあらためて考え、経口摂取できるからこそ、食を楽しんでいただけるように、見た目もよい、おいしそうで、実際においし食事提供を続けていきたい。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

介護・福祉情報掲示板(表板)

4/24発刊「介護の詩・明日へつなぐ言葉」送料無料のインターネットでのお申し込みはこちらからお願いします。

人を語らずして介護を語るな 全3シリーズ」の楽天ブックスからの購入はこちらから。(送料無料です。