兵庫県西宮市の株式会社グローバルウォークの、幸地代表取締役と知り合ったのは、フェイスブックを通じてである。

幸地氏は、「西宮介護ネットワーク」という任意団体の代表も務められており、2年前の3月、同会主催の研修会講師としてお招きただいたときに、初めてお会いした。その時以来、何度か西宮に僕を講師として招待していただいており、かつ日頃からフェイスブックで、馬鹿話を中心にしたやり取りを交わしている。今では僕にとっては気の置けないよき仲間である。

そんな幸地氏は、ASCAアジア高齢者障害者介護福祉協力会理事という顔も持っており、毎年ベトナムで、同国の介護教育に携わっている。ベトナムは日本の高齢化をはるかに凌ぐスピードで高齢社会に突入しており、支援が急務とされているのである。

今年も間もなく、ベトナムに行かれるそうであるが、幸地氏から次のような呼びかけがあった。

ベトナムで以下のミッションを実施します。
1.日本の介護の歴史発表
2.介護技術指導
3.今すぐできる介護予防ゲーム
4.介護文化交流
そこで★お願い★
お土産と文化紹介、介護サービス紹介を兼ねてベトナムに「お手玉」を持って行こうと考えております。
つきましては、全国の訪問系、通所系、入所系をご利用されている高齢者、障害者の方にお手玉作成をお願いしたく、ご協力いただける事業所さま、施設さまを探しております。


日ごろお世話になっている僕は、この呼びかけを無視するわけにはいかないと思い、早速施設の介護係長と、デイサービスの主任に話を持って行ったところ、ぜひ協力したいとのことで、お手玉づくりの材料を送っていただき、ミッションに協力することとした。

特養、デイサービスそれぞれで主旨をアナウンスして希望者を募ったところ、多くの皆さんの協力を得て、お手玉づくりが始まった。皆さん真剣に、かつ楽しそうにお手玉づくりに取り組んでいただいた。参加者の最高齢者は、97歳の女性である。

お手玉
お手玉3
特養では、お手玉づくりのなかで、次のような会話が弾んでいた。

「お手玉?わたしらの子供の頃は、’あやこ’って言って遊んだものだよ」
「子供の時分は、なんも遊ぶものがなかったから、こんなの作ってさ、よっく遊んだもんだ。懐かしいねえ」
「小豆入れるの?もったいないねえ。昔なんか物がない時代だから、小豆なんて入れたもんなら、怒られたものだけど・・・。その代わりに、河原の小石や足袋の’こはぜ’を入れたもんだよ」
「そうだ、そうだ、’こはぜ’入れるといい音がしてさ、いいんだわ」
「ベトナムに、お土産で持っていくなら、こはぜ入れてらったらいいべさ」

こはぜとは、足袋の留め金のことであるが、今回は代わりに、手元にあった鈴をいくつかのお手玉に入れたとのことである。

お手玉作成にあたって、材料の中に入っていた組み立て方法を職員が説明したが、そんな説明はいらなかったようで、皆さん自分の知っている方法で、スイスイと作業は進み、一針一針を真剣に縫って、誰ひとり、指に針を刺すことなく終えたが、職員の方は針を刺していたい思いをしていたようである。

こんなふうに志を同じくする人々とのつながりは、いつしか僕の様々な周囲の人々を巻き込んで、その思いが世界に広がっていく。見えない絆は決して消えることなく、つながり続けていく。それって素敵なことだ。それって素晴らしいことだ。

思いをつなげた先になにが待っていようとも、それはさほど重要ではない。つなげていける思いがあって、繋合ってくれる人がいるということ自体が素晴らしいことなのだ。このことを大事にしていきたい。そのことを何よりの宝物と感じていたい。

やがて幸地氏から伝えられた日本の介護が、巡り巡ってこの国の未来の人々に影響を与えるかもしれない。僕が存在しなくなった、ずっと先に、僕らの思いが残っていくかもしれない。

そんなことを信じて。今できることを最大限の愛を込めて続けていきたい。誰かの赤い花になろうとする人々と、繋がっていきたい。そんな思いを込めて、新しい出会いを求めて、今日も僕は、北の国から、暑くて熱い大阪に、そして奈良にに向かっている。

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