今日は緑風園の歴史の中で、記憶にとどめておかねばならない記念の日になると言って過言ではないだろう。

昭和58年4月1日に開設以来、毎日休むことなく提供されていた食事について、緑風園の直営で、緑風園の職員による提供は本日の夕食をもって終了するからである。

明日8月1日の朝食からは、給食委託事業者である日清医療食品による食事提供サービスが始まる。
歴史的な?献立表
当施設食堂の献立表も、今日までは直営の食事サービスで、当施設の管理栄養士が献立をたてたものであるが、明日からのメニューは委託事業者の栄養士の献立で、委託事業者が提供するものに替わる。両者のメニューが混在して掲示されるのも、この週の献立表だけで、この画像は当施設の歴史上、非常に貴重な画像となるだろう。

給食サービスが、直営から委託に切り替わる理由は二つある。それは経費削減と人員確保という理由である。

経費削減の必要性が生じたのは、やはりこの4月からの介護報酬削減の影響である。当施設でいえば年ベースで、1.000万円近い大幅減益となっているので、経費削減は不可欠であった。そこで給食サービスを直営から委託にすることで、経費削減を図れないかと、具体的な検討を始めたのが数カ月前。移行準備期間を入れて準備万端整えて、いよいよ来月から委託に切り替わるわけである。

今日まで当施設の従業員として働いていた調理員については、委託事業者に現在と同じ待遇を守るという条件付きで、「転籍」していただくことにした。移行準備期間の中で、そのことを説明し、同意を得て転籍していただいた。ただし、これを機会に希望退職をする人も2名おられる。長年の勤務に感謝したい。

職員待遇が変わらず人件費の削減がない状況で、経費が削減できるのかという疑問がわくかもしれないが、そこは食材などを一括で購入管理するノウハウを持つ給食委託専門の事業者であるから、それだけで年間数百万円の経費削減となるのである。

だからと言って食事の質が落ちるわけではない。献立表を見ればわかる通り、副食の数も増えるし、メニューも豊富である。今までと同じ厨房で、同じ設備を使って、9割方同じ職員によって調理されるのだから、味が落ちるわけはない。より質が高く、よりおいしい食事を提供出来るというのが、委託に踏み切った理由でもある。

特に嚥下機能の低下のある方に対する嚥下食は、ミキサーでどろどろにした液体状のものを食事として出す事はしなくてよくなる。嚥下力が最も低下している方に対する副食は、ムース食として、食事メニューの形や味をしっかり残して、見た目にもおいしそうな形で、より食べやすいものを提供できる。これによって、口腔摂取を維持できる人も増えるはずである。同じくソフト食や刻み食といった形で、普通食以外の方の食事は、今以上に充実することは間違いがない。

行事食も現在と同じように続ける予定なので、利用者の皆様には、食事の味が落ちたとか、楽しみが減ったとかいう不満が生ずることはないと思うが、今後継続的に、皆様のご意見をうかがっていこうと思うので、よろしくお願いしたい。

職員給食も今までどおり、事前に注文しておけば、利用者負担の2割増しでいただけるので、僕も8/3(月)がら1週間は、食事をお願いして試してみようと思っている。

また給食業務の委託は、人員確保という面でも施設側にはメリットが大きい。介護職員の人材・人員不足が大きな社会問題になっているが、同様に調理員の募集にも、なかなか応募がないという現状がある。事実この地域のハローワークには、近隣の医療機関や介護施設から、調理員の求人が複数出されているが、全く応募がなく1年以上欠員が生じたままの施設も多いようだ。当施設も例外ではなく、慢性的に調理員の人員不足を、臨時職員や、過去に就業していた職員の臨時雇用などで、自転車操業的に補っていたが、それにも限界がある中で、全道レベルで職員を手当てできる給食委託専門業の存在はありがたいということになる。

これによって今後は、厨房職員の募集に頭を悩ませることはなくなるし、労務管理する職員がわずかでも減るという事務負担減というメリットも生ずるだろう。

施設長としては、調理員の欠員のたびにハローワークなどを駆けずり回る必要がなくなることが、一番メリットかもしれない。介護職員不足には、今後も悩ませられるのであるが、調理員の補充を考えなくて済むことだけでもありがたいと言ったところである。

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