8/1に福岡で行う生活相談員研修〜施設相談員に求められる役割・連携とマネジメントスキル〜では、様々な角度から相談員の役割を考え。それに沿った実務例を具体的に挙げます。講演時間も休憩時間を除いて4時間20分と、たっぷりあるので、実際に僕が経験してきたケースを示して、具体的に相談員として求められる実務についての考え方を示します。

その中ではケアサービスの品質をチェックする役割という話をしますが、相談員が常にチェックすべきケアの品質の中には、看護・介護職員等の他職種が行う行為のみならず、相談員自らの社会福祉援助技術も含まれます。

例えば、利用者が家族に秘密にしたいことがあれば、その意思は守られて当然です。しかし相談員の中には、利用者本人の意思より、家族の意思を優先する人がいます。それっておかしくないですか?

認知症ではなく、自己決定ができる利用者の意思より、家族の意思を優先させて、利用者に情報提供すべきことを、利用者より先に家族に情報提供している事例が見受けられます。それは利用者の権利侵害です。ソーシャルワーカーが権利を侵害する当事者になっては困るのです。相談員はそのことを自覚して、利用者の自己決定を護る人でいてほしいと思います。

さらに相談員には、スタッフ全員の「自己覚知(じこかくち)」を促すという重要な役割があると思います。

施設職員の中には、介護支援者に求められる「自己覚知」について、その意味どころか、言葉さえ知らない人がいます。そして自分の感情の赴くままに、利用者に暴言を吐いたり、不適切な行為を行う人が後を絶ちません。

人手が少ない、ストレスがたまるという理由で、虐待行為を行うような人がいたとしても、それは正当化される理由には決してならないのです。この部分で、施設の相談援助職が少しでも妥協するようなことがあっては、介護施設は暮らしを営む場ではなく、単に命をつなぐ最低限のものを与えるだけのブラックボックスになってしまいます。

そうしてはならないのです。どんなに与えられた状況に不備や瑕疵(かし)があっても、そこでは人の暮らしが営まれているのです。不幸を当然の帰結とする考え方は、決して許されないのです。人手が足りないということで、心身が疲弊しストレスを抱えている自分がいるという自覚によって、その際の負の感情を利用者に向けないように、自分の感情をコントロールして係ることを常に考える習慣を作る必要があるのです。

そのため相談員は、他の職員に対し、「性格を変える必要はないし、それは変わらないけれど、自分の感情のままに利用者に相対してしまっては、それは介護ではない」ということを教育・指導する役割があります。

それは専門職としての立場に個人的価値観が影響することは、偏見や偏った判断を生むために好ましくないという意味であり、その感情を否定するのではなく、素直に正確に認識することなのです。つまり自己覚知とは自分をあるがままに受け入れることでもあります。自分がどのような感情や意見を持ちやすいか自覚することが対人援助には不可欠であり、援助者は自らを振り返って、自己分析を行い、洞察し、自分の心理や行動を理解するように努め専門職業的態度への変化(成長)へと努力してこそ利用者に対し必要な援助をなし得るということを、他職種に伝え、理解させる役割が重要です。

なぜなら相談員は、介護サービスの場では、頭脳の役割を担う必要があるのですから。(勘違いしてほしくないのですが、頭脳、手足という言葉は、職務の貴賤に関係するものではなく、どちらがえらいというものでもありません。職務の機能を例えた言葉にすぎないことをご理解ください。)

また相談援助職のリーダーの立場にある人は、相談援助職員や介護支援専門員にアドバイスを送る際には、技術や技法の知識を得る前に、相談援助職としての基本姿勢を理解することの大切さを教える人になってほしいと思います。

心根のない場所では、技術は向上しないし、心根のない場所で使う技法は、相手の為ではなく、自分を守るための小手先技術として使われる結果となりかねません。

今後求められる相談員の役割りとして言うならば、PDCAサイクルの構築と、その検証作業のリーダー役であるという視点が重要だと思います。8/1の福岡講演ではそのことを明らかにすることになると思います。

なぜなら今後の施設サービスでは、PDCAサイクルの構築は、看取り介護に関してだけではなく、すべてのサービスにおいて求められてきます。根拠に基づいた計画実施と、その振り返るによる検証作業、地域貢献の視点も含めた実践後の地域住民への傾向活動というアクションサイクルを繰り返していくことが求められます。その現場リーダーが、施設サービスにおける「頭脳」の役割を担う相談援助職に求められることは明白で、そのシステムを施設内で構築していくという視点が欠かせなくなります。

このことを、いかにコーディネートできるかが問われてくると思います。施設サービスの中で頭脳の役割を求められる相談員の力量が、より問われてくるのが、この厳しい時代の施設サービスだからです。

こうしたことをたっぷり時間をかけてお話しします。8/1(土)の講演時間は、10:30〜16:00、会場はクローバープラザ 1階 クローバーホール(福岡県春日町)にて開催されます。

詳しくは当ブログ記事の最初に張り付いた文字リンクからご参照ください。申し込み締め切りは7月24日(金)必着としていますので、お急ぎください。
※会員施設以外の方の参加も可能です。

なお僕の講演をご希望の方は、メール等で気軽にお問い合わせください。お問い合わせには必ず返信しますので、返信がない場合は、誤ってメールを削除してしまっている場合などですので、再度送信お願いします。

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