8/1(土)10:00〜16:00クローバープラザ(福岡県春日市)で行われる福岡県社会福祉協議会主催:相談員研修の講師を依頼されている。

そこでは「施設相談員に求められる役割・連携とマネジメントスキル」をテーマに、260分の講演を行う予定になっているが、今朝までに講演ファイルを作成し終え、事務局に送付した。あとは当日を待つだけである。
※申し込み受け付けは、まだおこなわれていると思うので、お近くの方でご希望者は、張り付いたリンク先の申込書をご利用いただきたい。なお会員以外の参加も可とのことである。

下の画像は、講演に使うパワーポイントのスライドの1枚である。
講演スライド
顧客に選択され、たくさんの方に利用していただくことによって収益が挙がる居宅サービスと比べて、利用定員が定められ、かつ待機者が常に存在する施設サービスは、利用者から選択されなくても顧客確保に困らないという現状があるがゆえに、顧客満足度に対する意識が低いのではないかと感じている。

そのためにサービスの質を評価する際に、顧客である利用者がどう感じているかという視点ではなく、法人が定めた目標にいかに近いサービスが行われているかで評価される傾向が強い。そのためモニタリングの際に、現に提供されているサービスについて、利用者がどう感じているかというインタビューなどが一切行われずに、サービス方法の継続や見直しや、終了の判断がされることがある。

そもそも施設入所した瞬間に、本人の希望や自己決定権が軽視され、施設の決め事が優先されて、サービスの視点も、施設が考える「良い暮らし」という視点から外れないように、利用者個々の希望が確認されないか、確認されてもそれを無視して施設サービス計画が立案される場合がある。

これはおかしなことである。よってソーシャルワーカーとして、施設サービスにおける「頭脳」の役割を持つ相談員は、利用者の満足度や自己決定権が軽視されていないかをチェックし、もし軽視されている場合には、それを修正する役割があると思っている。

例えば脱水を防ぐための水分摂取を拒否する人がいたとする。この場合も「自己決定」であるから、水分摂取を行わないということが、自己決定の重視とされ、水分摂取支援を行わず、脱水になっても問題はないということにはならない。

自己決定には「制限」が伴い、決定を下す人の能力から生ずる制限もあるし、市民法や道徳法から生ずる制限もあるのだから、そうした原則から考えれば、自らの身体を意図的に傷つけるという自己決定は認められるものではないので、代弁機能などを酷使して、もっともその人に必要と思えるサービスに結びつけることはあって当然であり、脱水を防ぐ水分補給は行われなければならない支援行為とされてよいだろう。

しかしこの場合でも相談員は、一方的に「こうしなければならない」と指示するのではなく、利用者の立場に立って、必要なサービスであることを説明し、理解していただく努力をすべきである。このスライド部分では、こうしたことを事例を基に説明するつもりである。

ところで、昨日まで論じていた竹内理論について、この顧客満足度の問題と深く関係しているのではないかと感じている。同氏の講習会に関しての情報提供では、『講習会では毎回課題を提出して、進捗状況を報告・発表しますが、リウマチによる関節の変形や強い拘縮があって便座に座れない状態の方でも、「とりあえず座らせてみればいい」と言われ、水分1500ml以上摂取や必ず便器で排泄する事をあまり良く思わない家族がいらして、同意が得られていないケースもあると発表すると、「いちいち家族に同意なんて取らなくていい。うちはこういう方針だからやりますと入居時に伝えればいい」と怒られます。』というコメントが書き込まれているように、利用者本人の希望や満足度は一切無視されているのである。

一方で、抽象的で実態がないと批判される「寄り添うケア」とは、じつは本来のそれは、「生活支援型ケア」と呼ばれるもので、単に利用者に付きまとうケアではなく、認知症などで自らの希望を正しく表明できない人であっても、過去の生活習慣や嗜好を確認し、現在の暮らしの中で考え得る最善の状態とは何か、何を望んでいるのかを想像し、利用者本人に成り代わって、そのニーズを代弁するという立場から、残された生活機能を最大限活用する方法でケアサービスの方法を創造するものであり、モニタリングに際しては、そのことで混乱なく満足した暮らしが送られているのかを評価しながら、方法の改善を繰り返していくというPDCAサイクルの構築により実施されていくものである。

そう考えると、文字面だけから、「竹内理論」には科学性があり、「寄り添うケア」には科学性がないと考える人がいるが、それは間違いであって、両者の本当の意味を紐解けば、竹内理論には個別アセスメントと顧客満足度という視点が欠如し、寄り添うケアとは、個別アセスメントと顧客満足度を徹底的に検証することで成り立っているということが理解できるはずである。

そうであれば、どちらがエビデンスになり得るのだろう?それは一目瞭然ではないかと思える。

8/1の福岡講演では、こうした話もする予定である。会場でお逢いする皆様、どうぞよろしくお願いします。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

介護・福祉情報掲示板(表板)

4/24発刊「介護の詩・明日へつなぐ言葉」送料無料のインターネットでのお申し込みはこちらからお願いします。

人を語らずして介護を語るな 全3シリーズ」の楽天ブックスからの購入はこちらから。(送料無料です。