国政選挙などで投票できる年齢を、現在の20歳から18歳に引き下げる改正公職選挙法が6月17日午前、参院本会議で全会一致で可決、成立した。

このことによって来年の参議院議員選挙から、今まで投票できなかった18歳以上20歳未満の人の投票が可能になったわけである。僕はそのことはとても良いことだと思う。成人よりよほど立派な考え方を持っている18歳は多たくさんいる。そういう若者が投票するという動機付けを持つのならば、その人たちの意見が国政に反映されるのは当然だ。だって未来は彼らのためにも存在するんだから。

しかし改正法成立後も、このことに異論・反対論を唱える人がいる。僕はその反対理由について全く同意できないし、その論旨も全く理解できない。

投票年齢引き下げに反対する人々の理由は、トップが「まだ十分な判断力がない」で、「引き下げても投票に行く若者が増えるとは思えない」、「働いている人は少ない」、「民法が定める成人年齢が20歳のまま、引き下げるべきでない」19%、「20歳からの投票が定着している」の順だそうである。

馬鹿も休み休み言えと言いたい。18歳に判断力がないなんて誰が言えるんだ。高校生だってこの国のことを真剣に考えて、しっかり自分の考えを持っている若者はたくさんいる。判断力のあるなしなんぞ、20歳成人という区切りで分けることの方がどうかしている。特に日本のように、教育システムのしっかり整備されている国で、識字率がこれほど高ければ、20歳という高い年齢に判断力の有無の基準を置く必要はまったくない。

逆に言えば、40歳過ぎていたって、50歳を数えたとて、十分な判断力がない人はたくさんいる。あなた方が選んでいる政治家にだって、その判断力に首をかしげる人はたくさんいるじゃないかと言いたくなる。

引き下げても投票に行く若者が増えるとは思えない」というが、投票する年齢層が広がるのだから、全体の投票率が上がらなくても、間違いなく投票行動をとる人の数は増えるし、より幅広い層の意見が国政に反映されることになる。実際に、今回の改正を歓迎する18歳以下の若者も数多く存在している。そんな思い込みで反対するのはどうかしている。

働いていないと国政選挙の投票行動ができないなんて言う考えもナンセンスだ。働いているがゆえに、しがらみから抜け出せずに、投票行動に不純な動機が影響する状態より、天下国家を別な場所から見つめる人々が、新しい視点で投票してくれた方がよほど良い国づくりにつながると信じる。

民法も必要があれば変えればよいが、その前に国政選挙の参加につながる法律改正をしてはならないという根拠も正当性も存在しない。

馬鹿な理由の極めつけが、「20歳からの投票が定着している」である。おいおい、この国の選挙制度が今の仕組みになってから何年経っているというのだ?

この国で普通選挙が行われるようになったのは1925年(大正14年)である。しかしその際も、参政権が付与されたのは男性のみであった。女性は「選挙に行く」権利さえ与えられなかったのである。

その後、故・市川房枝さんのような方々の、つらく苦しい活動の中から、やっと女性が参政権を獲得したのは戦後の1945年(昭和20年)である。

つまり一般国民が参政権を得てから、男性はわずか90年、女性では70年の歴史しかないのである。わずか70年前まで女性は投票所へ行くことさえかなわなかったし、男性でもその権利を得てから1世紀も経っていないのである。

そんな短い期間が、変動を否定するほどの定着期間と呼べるわけがない。

その間に社会情勢の様々なものに、激動の変動があった我が国で、これだけ少子高齢化が進行してきている。それは若者の将来により負担を強いる社会になっているという意味である。そうした情勢下で、未来を担う18歳以上の若者にも、この国の向かう方向を選ぶ権利を与えることは、決して否定されることではない。投票年齢をより広げて若い人々に、この国の将来を責任もって考えてもらうことは大切なことである。

18歳という年齢は、高校生もいれば、大学生もいるし、社会人もいるという微妙な年齢かもしれないが、それぞれの立場で、真剣にこの国のことを考えてもらう機会を与えることは、この国の不利益にはならないと思う。

高校の授業で、特定政党の宣伝授業が行われる心配をする向きもあるが、そんなことはあってはならないが、仮にあったとしても、たくましい現代っ子が、そんなおバカ教師の言いなりになるとは思えない。すでに自我が形成された人間なのであるから、そんな授業をする教師がいたとすれば、必ず糾弾されるだろう。ネット社会は特にそうしたことには敏感だろう。

投票棄権者が増えることを懸念する声もあるが、投票率が低いのは、成人・非成人の問題ではなく、全体的な問題として議論されるべきだろう。その際に考えてほしいことがある。

我々は生まれながら年齢到達すれば選挙ができるのが当たり前と考えているが、そういう権利を得る為に、先人達がどれほどの努力をしてきたか考えるてほしいのだ。

思えば、市川房江さんが晩年に「私たちが血の滲むような努力で女性の参政権を勝ち取ったのに、若い女性の投票率がこんなに低いとなんたることか」と嘆いておられた。

そのような嘆きをしなくて済むように、18歳まで引き下げられた投票年齢で、棄権者の増加を懸念するより、投票できる権利というものを真剣に考える年齢層が広がったとポジティブに考えて、国を変えるべく若者が行動できることをアピールして、国民全体の投票行動の変化を求めてほしいと思うのである。

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