居宅介護支援費における、特定事業所集中減算というルールは、ケアマネジメントを真っ向から否定し、介護支援専門員という有資格者の資質を否定するような、極めておかしなルールとしか言いようがない。(参照:本末転倒の減算ルールは即刻廃止せよ)
このルールは、厚労省のお役人の傲慢さを現したものとしか言いようがないが、なぜこのような理不尽なルールを居宅介護支援事業所の介護支援専門員に課しているのかということを考えると、一昨年行われた「第2回介護支援専門員の資質向上と今後のあり方の関する検討会」で、日本福祉大学の野中構成員が発言した内容に答えがあると思う。野中氏の発言要旨は以下の4点である。(※筆者の解釈なので、発言の本旨と異なっているとしたらお詫びしたい。)
・医師や看護師は技術があって制度ができた
・介護支援専門員は技術の前に制度ができた
・厚労省は医師を指導できないけどケアマネは指導できる
・医師は技術が先にあるから医師同士の評価ができる〜厚労省がこの評価をやったら技術は荒廃するが、ケアマネは技術の前に制度があるため、厚労省の考えひとつで制度の中で、どうにでも評価・指導できるという節がある。
実際には優れた介護支援専門員が地域にたくさん存在していおり、そういう人々にとって制限ルールなど必要としないし、それはむしろ利用者と一番マッチする社会資源を結びつけることを阻害するものでしかない。
しかし国の言い分は、一部の不適切プランに着目することで、ケアアンネジメントが機能していないとし、介護支援専門員の質の差が激しいという結論に達してしまう。そしてこの質を引き上げるために、制度のルールの中で不適切事例に制限をかけようというのが、特定事業所集中減算の意図であり、まさにお上による専門技術指導ができるという傲慢さが、このルールを生んでいるわけである。しかし貼り付けたブログ記事に書いたように、そのルールは本末転倒でしかない。
ところで特定事業所集中減算については、特定事業所の紹介率が80%を越えても、正当な理由があれば減算されないというルールがあり、正当な理由については、解釈通知にて次の6点が示されている。
1.居宅介護支援事業者の通常の事業の実施地域に訪問介護サービス等が各サービスごとでみた場合に5事業所未満である場合などサービス事業所が少数である場合
2.特別地域居宅介護支援加算を受けている事業者である場合
3.判定期間の1月当たりの平均居宅サービス計画件数が20件以下であるなど事業所が小規模である場合
4.判定期間の1月当たりの居宅サービス計画のうち、それぞれのサービスが位置付けられた計画件数が1月当たり平均10件以下であるなど、サービスの利用が少数である場合
5.サービスの質が高いことによる利用者の希望を勘案した場合などにより特定の事業者に集中していると認められる場合
6.その他正当な理由と都道府県知事(指定都市及び中核市においては、指定都市又は中核市の市長)が認めた場合
以上である。そしてこのうち5の「サービスの質が高いことによる利用者の希望を勘案した場合」については、どう解釈通知に、「(例)利用者から質が高いことを理由に当該サービスを利用したい旨の理由書の提出を受けている場合であって、地域ケア会議等に当該利用者の居宅サービス計画を提出し、支援内容についての意見・助言を受けているもの。」という記載がある。
さらに、平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)の、【居宅介護支援】 特定事業所集中減算 では以下のような疑義解釈が示されている。
問26 訪問看護の場合、ケアプランに位置付けようとする時点で主治医と利用者との間で既に事業所が選択されていることが多く、これにより紹介率が80%を超えることについては正当な理由に該当すると考えてよいか。
(答)
特定事業所集中減算の正当な理由の範囲は「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成 12 年3月1日厚生省老人保健福祉局企画課長通知)(以下、「留意事項通知」という。)に示しているところであり、正当な理由の範囲として、サービスの質が高いことによる利用者の希望を勘案した場合などにより特定の事業者に集中していると認
められる場合(※)等が含まれている。
(※)利用者から質が高いことを理由に当該サービスを利用したい旨の理由書の提出を受けている場合であって、地域ケア会議等に当該利用者の居宅サービス計画を提出し、支援内容についての意見・助言を受けている場合等を想定している。なお、利用者から提出を受ける理由書は、当該利用者にとってサービスの質が高いことが確認できるものとし、その様式は任意のものとして差し支えない。
27年度からの新しい特定事業所集中減算は、判定期間が後期(9月1日から2月末日)からで、減算適用は来年度当初からになる。
そうすると今年度後期に、特定事業所の計画数が80%を超えたものについて、地域ケア会議で取り上げて欲しいという要望が寄せられ、その件数が多くなることが想定される。地域包括衣支援センターは、その要望に応えることがでいるのだろうか、というより、そのような要望に応える必要があるのだろうか?
地域ケア会議は、各事業所が抱える困難事例を、サービス担当者会議のメンバー以外の多方面の専門性を持つ構成員が、多職種協働で問題解決に向けた意見を出し合うことで、その解決を図ろうとするもので、困難事例等の検討を積み上げて、地域課題を掘り起こし、その延長線上に、地域住民の生活課題に対応すべく社会資源の開発や政策提言までつなげていくという、地域包括ケアシステムの基盤をなす会議であるはずだ。
それが特定事業所集中減算というルールに該当しない、正当な理由の検討に使われるというのはいかがなものだろう。検討に値するプランがその中にどれだけ存在するのだろうか?地域ケア会議以外で、この検討を行うとすれば、どこの何を活用するというのだろうか。
そう考えると僕は、「地域ケア会議等」、「支援内容についての意見・助言を受けている場合等」の「等」の解釈を狭めないで、等にはサービス担当者会議での検討を含めて考えるべきであると思っている。
減算を適用しないための事例提出など無意味だし、すべての正当理由プランを地域ケア会議で検討できるわけがないのである。
利用者に理由書を書かせて、さらに地域ケア会議等での検証作業を要するほど、介護支援専門員のケアマネジメントを疑う理由がどこにあるんだろう。介護支援専門員のアセスメントより、普段利用者を見たこともない他職種の意見を尊重するという理由がどこにあるんだろう。義務化しているサービス担当者会議をないがしろにするのもいい加減にしろと言いたい。
こうした一連のルールを検証すればするほど、特定事業所集中減算は、まったくもっておかしなルールとしか言いようがなく、早くなくさなければならないルールであると言って過言ではないだろう。
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難しい制度ですね。
解決策としては、「居宅CM」が「行政」に属して、事業所より給与を頂く関係をなくす?・・・・
と、言うわけにもいかないのでしょうね・・・・
「居宅CM」さんは、それぞれに検討されて「サービス事業所」を選択されていると思いますが、
縛りもあるかもしれないし、・・・・
「地域」を一つの「家」と過程し、「訪問看護」「訪問介護」「通所」等、行政が一括し、その上で様々なサービス事業所がそれぞれの役割を本当の意味で提供できれば、いいのでしょうね。
「施設CM」も「地域の資源」として、「基本」に立ち返り、意識しながら勤務したいと思います。
そうでなければ、「施設ケアマネ」なんで、いらないと言われそうですね。 ★シッカリせねば、仕事がなくなりますね。
しかし、明日も多忙な1日で、頑張っているつもりですが、・・・