僕が書いたものが、初めて出版社から出される本に掲載されたのは、2010年8月に、「ぎょうせい」から刊行された、「シリーズ 介護施設 安全・安心ハンドブック 全6巻セット」の「第3巻 介護施設と法令遵守」である。この中の、「第3章 特別養護老人ホームにおける法令遵守」を僕が執筆した。つまり自著本の最初は、共著本として発刊されたものである。

それまでも冊子などに掲載される原稿はいくつか書いていたし、自分の連載コーナーを設けてくれている業界誌などもあったが、本として自分の書いたものが世に出るということは初めての経験で、そのことは冊子原稿が世に出ることとはまた違う感慨があった。

ただその共著本では、執筆者の一人としての扱いだったため、表紙に僕の名前が出ているわけではなく、著者紹介の中で、僕の氏名と略歴が掲載されているのみであった。

この共著本はシリーズ化されていて、時期を違えて全6巻が発刊されたものだが、シリーズ全巻をまとめて購入する人より、発刊時期に合せて1冊ずつ購入されている方の方が多かった。そして僕が書いた第3巻が出てしばらくして、第4巻が発売された時期に、出版社の編集者から、第1巻と第2巻と比較すると、第3巻が突出して売れているという話を聴かされた。それは必ずしも、僕だけの手柄ではないが、僕が書いたものが本になったことを知らせる記事を、このブログ等に書いていたことも、少しは影響していると考えられた。

そんなこともあって、当時から連載していたシニア・コミュニティ(現在も連載は続いている)という雑誌を発刊している出版社、ヒューマン・ヘルスケア・システムの担当者に、僕の書いたものを本にして出版してみないかと持ちかけたところ、とんとん拍子に話が進み、発刊までこぎつけることができた。その本とは、このブログの書籍化本、「人を語らずして介護を語るな〜masaの介護福祉情報裏板」である。

その初版が発刊されたのは、今から遡ること4年前の、2011年2月15日であった。

おかげさまで、この本はたくさんの皆さんに購入していただき、初版本はあっという間に売り切れ、増刷が必要となった。

しかしそんな最中、出版から1月もたたない時期に、あの東日本大震災3.11が起こった。たくさんの犠牲者が出たことにショックを受け、人の命というものをあらためて考えさせらていたその時期に、かねてより知り合いであった横浜のMさんからメールをいただき、福島で被災された方が避難所でアップしたブログ、「たった1冊の大切な財産・・・」を紹介された。

当時、震災のショックもあり、予定していた出版記念シンポジウムも中止したりして(その後、日を改めて開催した)、また本を書くという意欲にも欠いていたが、そのブログを書いてくださった、「しゅうさん」のような方がいて、僕の書いた本がそれらの人々の勇気につながるとしたら、そのことに僕の役割を見いだせるのではないかなどと考えたりした。

僕のこのブログを読んでくれていた人の中にも、あの震災で命を落としてしまった人がいるかもしれない。その人達にできることは何か?恩をどのように返すことができるのだろうか。そう考えたときに、それはきっと、それらの人々が共感してくれた思いを、文字にして伝え続けることなのかもしれないと思った。僕は無力な一市民でしかないが、自分の無力さを恥じて何もしない人にはならないでおこうと思った。そうした思いを伝えることだけはできるし、幸いにして毎日4.000人以上の人が、その思いを読んで、何かを感じてくれているんだから、それらの人々に伝えることが僕の役割なのかもしれないと考え、それが僕の使命なのかもしれないと思った。そのことはできる限り続けていくべきなのかもしれないと、その時強く思った。

そして「人を語らずして介護を語るな2 傍らにいることが許される者」を書き、その冒頭で、しゅうさんのブログが、第2弾出版の動機の一つになっていることと、震災で亡くなられた数多くの人々に対する思いを綴った。その後、この本は、「人を語らずして介護を語るなTHE FINAL 誰かの赤い花になるために」を一区切りとして、全3冊のシリーズとして、現在も発刊されている。その後に同じ出版社から、「介護の詩 明日へつなぐ言葉」も出して、僕の自著本は、共著本を除いて4冊となっている。

masaの本
おかげさまですべての本が、たくさんの方の支持と共感をいただき、現在も増刷され続けており、最初に出した、「人を語らずして介護を語るな〜masaの介護福祉情報裏板」は、現在第7刷となっている。そして今週初め、6月8日発行の日刊ゲンダイ(夕刊紙)の4頁、『BOOK』のコーナーに書評を掲載していただいた。

日刊ゲンダイ書評
出版から4年後に、こうして書評を書いていただくことは、本当にありがたいことだ。

今まで出版した4冊の本は、それぞれたくさんの方に書評を書いていただいているが、以前にそれを読んで感じることと、現在感じることには少し違いがあるかもしれない。それは僕自身が今年初めて依頼されて、書評を書いたことで、その苦労や面白さがわかったからかもしれない。(参照:5/3道新に書評が掲載されました

この書評のタイトルには、「 行間からほとばしる介護現場の生の声」という言葉をいただいた。まさにそれは僕が目指したもので、本当にありがたい言葉であると感謝している。

僕はこれらの本と、自分の講演で伝えたいものがある。それは、「誰かの赤い花」になれる介護という職業の誇りと喜びである。そのためには使命感が伴うことも伝えているつもりだ。そして誰かの赤い花になろうとしてくれる人と繋がっていきたいと思う。たくさんの仲間と繋がって、介護の世界をきれいな花で埋めたいと思う。そうであるがゆえに、理想論や空論で終わることがない実践論を語りたいと常々思っている。

咲き方はいろいろあるだろう。僕の話なんか聞かなくとも立派な花を咲かせている人も沢山いるだろう。でも咲き方がわからなくなっている人や、花を咲かせる勇気を失いかけている人がいたとしたら、そういう人たちが綺麗な花を咲かせるためのヒントを示したい。勇気を与えたい。そんなお手伝いができるように、僕は自分の本になる文章に魂を込めたし、講演では同じように魂を込めて、空虚ではない実践論を語り続けたいと思う。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

介護・福祉情報掲示板(表板)

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