現在3つの業界専門誌と、インターネットメールマガジンに連載コーナーを持っている。そのほか、不定期に原稿執筆依頼が入り、毎月何時間かの時間を、執筆作業に割く必要がある。

時としてそれらの原稿締切日が重なり合って、時間に追われ忙しいときもあるが、締め切りに追われて焦ることが嫌いな僕は、必ず締め切りの1週間ほど前までには原稿を仕上げている。よってその時点で入稿は可能なのだが、あえてそうせず、締切日の何日か前までは、手元に原稿を寝かせておくようにしている。

寝かせておくと言っても放置しているわけではなく、毎日自分の書いた原稿を読み込むという作業を繰り返し行っている。すでに推敲を終えて、直す必要がないと判断した文章でも、時間が経過し、日が替わることで、その文章表現の言い回しを変えた方が良いと思える何ものかが見えてくるからである。そうなると文章の一部を差し替える必要も出てくる。それはまるで、文章というものが時の流れの中で、ゆっくり静かに熟成していくかのようなものだと感じたりする。

そういう意味では、このブログ記事は、PC画面に向けて思いついたことを入力し、推敲することもなく、(誤字・脱字等は後で修正することは当然行っているが)そのままエンターキーを押してネット上に文章が載ってしまうということで、寝かせて熟成させた冊子掲載文章とは、少し違ったものと言えるかもしれない。

ところでこの文章の熟成には、それなりの努力も伴うことは事実だ。

毎日何度も自分が書いた文章を読むということは、決して楽な作業ではない。自分自身が書いたものだから、文章の要旨や内容はわかりきったものである。よって読んで楽しいとか、おもしろいとかいう状態ではないということだ。そういう文章でも繰り返し読めるから、表現の変更が可能になるという意味がある。

文章を読むことを厭う人には、この効果は生まれないと言ってよいだろう。

かねてより僕は、「優秀な書き手は、読み手からしか生まれない」と指摘している。読み手に伝わる文章を書くためには、書くという訓練だけを続けてもダメで、むしろ読むことで文章表現を学ぶべきであり、読み手に伝わるよい文章を書くためには、文章を読む習慣をつけることであると提案している。(参照:求められる文章力を得る手段。

特に新聞を毎日読むことを習慣づけるとよいと提案している。新聞は真実を伝えているとは限らないが、事実を簡潔に正確に伝える文章の典型文であり、これを毎日読んで、その文章に慣れ親しむことで、書くべき内容、書き方、捨て去っても問題のない余分な接続詞など、自然と頭に入ってくるからである。

しかし読むことを好きになるためには、新聞に限らず、推理小説でも何でもよいから、まず読むことである、自分の好みの本を見つけて、空いた時間にできるだけその本を読むという時間を作ることが大事である。まずは読み手になることが大事なのだ。

さらに、自分が書いた文章を、読み手の立場に立って読むという習慣づけができればなおよい。表の掲示板でも、質問を書き込むのは良いが、質問の意味が分からないというスレッドがたくさんある。読み手の立場に立って読み直さずにエンターキーを押して、書き込むからそういう事態になる。自分の書いた文章を、少し時間をおいて、読み手の立場に立って読み直した時、意味不明の部分や、おかしな表現が明らかになるであろう。この訓練を是非していただきたいと思う。

蛇足になるが、読んで行けないものが一つある。それは文例である。

特にケアプランの作成方法を学ぶ際に、ケアマネジャーや計画担当者が、ケアプランの文例を読んで学ぼうとするのは百害あって一利なしである。様々な指南本にたくさんの文例が載せられているが、それは玉石相まって、文例にさえなっていないひどいものも多い。長寿社会開発センター発刊している、「四訂 居宅サービス計画書作成の手引き」などはその最悪例ではあるが、そのほかにも現実味の薄い文例集が多い。

しかし文例集の弊害はそのことではなく、もっと別な部分にある。極めて個別性の強い個人の暮らしに関する記録に、定型文を当てはめようとすると、個性が埋没してしまうのである。書き手の個性も、書かれる人の個性もしかり。

文章表現とは、本来は書き手の人となりを現すものでもある。それを文例という定型にはめてしまうことで、書き手のあらゆる可能性と個性を奪い取り、文例からはみ出さない程度の文例以下の筆力しか得ることはできない。

そういう意味で、教本や指南本の類も、文例が載っているものは買わない、読まないということを心がけるべきである。

そんなものを読むより、推理小説を読んだ方がずっと文章力に結びつくだろう。勿論、推理小説よりも、僕の著作本の方が面白いし、筆力をつける上ではそのほうが良いのではあるが・・・。っと、あまりにも手前味噌になったが、ここは個人ブログだから、この程度のことは許されてよいだろう。

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