4月27日に行われた財政制度等審議会・財政制度分科会において、財務省は3年後の介護報酬改定について、現行報酬レベルよりさらにマイナスにすべきであると主張した。
そのために要介護2以下が対象のサービスを、効率化に向けて市町村の裁量を広げる「地域支援事業」に移行するとともに、そのうち訪問介護の生活援助や福祉用具の貸与、住宅改修の給付について、自己負担を原則とする仕組みに切り替えることを提言。要支援者への訪問介護とデイサービスも、原則として利用者の自己負担にすべきだと意見している。
このことを驚きをもって受け止めている人も多いようだが、僕に言わせれば財務省がそうした姿勢を示すことは、想定内のことであり、むしろ予想の範囲内と言える。
制度改正や報酬改定に関連する僕の講演を聴いていた方なら、このような方針が示されることが予測されることは、一年以上前から僕が言い続けていたという事実をご存じであろう。
現にこのブログでも、昨年8月に書いた「特養の入所ルール変更は、特養関係者だけの問題ではない」の中で、この制限は特養だけの問題にとどまらず、それは今回の制度改正で橋頭堡を作ったという意味にしか過ぎず、給付対象を要介護3以上に限定する動きは、他のサービスにも波及させるであろうし、特に家事援助サービスは、そのターゲットになるであろうと指摘しているところだ。
何度も指摘しているが、制度改正には、次につながる布石がたくさん隠されているのだ。自己負担率2割の対象者も、今回の一定以上所得者だけではなく、資産も勘案される形へと拡大されることも当然検討される。
給付制限も拡大が模索される中で、財務省は、この制限について全サービスを対象にし、原則介護給付は要介護3以上を対象にするという方針を示したものだ。しかも一部のサービスについては、地域支援事業化してさらに、保険給付の対象とせず、原則自己負担にするという。(低所得者などは、一部補助金で対応するという考え方。)
団塊の世代が後期高齢者になる2025年からの15年間、我が国の介護問題は正念場を迎える。介護サービスを使う人の数は増大し続けることが予測され、その中でプライマリーバランスゼロの政策を続けるならば、介護給付費の自然増分をどう抑制するのかが課題となるわけで、財務省が介護報酬をさらに引き下げて、なおかつ給付対象者と給付対象サービスを、現行より絞り込むことは不可欠と主張することは予測されていたことである。
さらに審議会では、財務省が競争原理が働いていないという主張を行っていたことも注目に値する。これは財務省のかねてよりの主張で、介護給付費は国定費用の割引を認めているのであるから、健全な市場原理が働くならば、サービス競争の中で、値引き競争を行われなければならないという主張である。
割引が行われるのであれば、介護給付費は実際に利用者が利用する料金の9割を給付するわけであるから、国定費用より安くサービス提供すれば、介護給付費も削減されるというわけである。ざっくばらんに言えば、介護サービスの市場でも、「牛丼戦争」のように、値引きの競争が行われることを推奨しようというわけである。
しかしこの意見は、介護サービス費を削減する先に何が起きるのかを見越した意見と言えるのであろうか?
それは物価の上昇を目指す政策と相反するし、介護サービス市場のみにデフレを生み出すという意味で、非常に危険な考え方である。そこでは安かろう悪かろうのサービスしか残っていかず、値引き競争が生み出すものは劣悪な労働環境であり、そこで従業者の心身は疲弊していくであろう。ただでさえ介護聾者不足が叫ばれる状況で、人手不足に対する有効な政策が打てない状況で、この上な状況が追い打ちをかければ、介護労働者は枯渇すると言っても過言ではない。そうなれば必要なサービス量の確保さえ難しくなる。
そういう意味から言っても、財務省の考え方は、国民の命と暮らしを護るべき介護サービスの質や量を、全く無視した考え方であると言わざるを得ない。
3年後の介護報酬改定は、診療報酬とのダブル改定である。財務省は、診療報酬についてもマイナス改定を主張しているが、社会保障費財源というくくりで見るときに、診療報酬と介護報酬は、医療と介護がタックを組んでともに手を携えて協力し合うという関係ではなく、両者が足を引っ張り合うという状況に陥りやすい。そこで共倒れという状況が起きては困るわけだから、両者が国民の命と暮らしを護るためのセーフティネットであるという観点から、今からタッグを組んで、経済市場原理とは一線を画す考え方で、セーフティネットにほころびが出ないための報酬査定と、そのための財源手当てという方向に運動していかねばならないと思う。
どちらにしても、これくらいの意見が財務省から出てくるのは、ある意味当然のことである。その中で我々は財政事情も含めた情勢が、我々にとって厳しいということを自覚したうえで、財務省の意見どおりにならないように何をしなければならないのかを、政治的なものも含めて、皆で考える必要がある。まずは次の参議院議員選挙で、介護報酬を護るという立場の人を議員として国会に送り込まねばならないと思う。全国老施協から是非国会議員を誕生させていただきたい。
3年なんてあっという間だから、今すぐにしなければならないこともある。医療と介護で喧嘩している場合でもない。足の引っ張り合いは、底辺を下げるだけの結果しかもたらさない。
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感動の完結編。

財務省や厚生労働省の中には当初からの予想した流れがあり、その流れに乗ればいいとは言わないですが、反対ばかりしてきた結果の今ですから仕方ないのかもしれません。予想の範囲内ではあると思います。
ただし、この選択はこれまでの選挙などでももっと話題にすべきだったと思います。その流れを表に出して選択させないまま、都合のいい数字や競争原理などと言う言葉で政治や行政が好き放題にするのは許せないですね。
これから、厳しいと予想される事に備える事ができはりアクションが出来ればいいなと話をしていたところです。