一般市民の方々が数多く受講される講演会などで講師を務めると、質疑応答などの際に、「施設入所する場合、どのような施設を選べばよいですか?」という質問を受けることがある。
その答えは簡単ではない。どこか一つを取り上げて、ここが一番重要ということにはならないだろう。暮らしを送る場所なのだから、どうしても総合的な視点が必要になる。そもそも利用者や家族が施設に対してどのようなサービスを求めるかということでも、その選択は変わってくるのではないだろうか。
しかしそうした諸条件を考慮したうえで、あえて要点をいくつか挙げるとすれば、「職員が利用者に対し、横柄な態度や言葉遣いで接している施設は推薦できない。」、「施設内の利用者の服装が乱れている施設、整容がされていない施設は推薦できない。」、「食事介助の際に、職員が立ったまま食事介助を行っている場合や、職員同士で介護行為とは関係のない会話を交わしている施設は推薦できない。」、「掃除が行き届いていない施設や、臭いに鈍感な施設は推薦できない。」、「問い合わせに対し、わかりやすく丁寧に答えてくれない施設は推薦できない。」、「事業者が定めたルールをたくさん押し付ける施設は推薦できない。」といった点が挙げられるだろうか。
よく介護サービス情報などをインターネットで見られるから参考にしてはどうかという人がいるが、それはやめた方が良いと言いたい。それらの情報から施設の実態をつかむことは至難の業で、専門家の僕がそれらの情報に触れても、そこが実際に良い施設かどうかなんてわからない。そういう意味では介護サービス情報の公表制度など、何の役にも立たないと断言しておく。
また「職員の入れ替わりが激しい施設、退職者が多い施設はよくない。」というが、それは事実であるとしても、退職者の多さや離職率の高さをどういうふうに確認するかとなると、長くその施設に入所している家族として、頻回に面会にでも行かない限り正確な情報は把握できないと思う。逆に根拠に基づかない印象判断であっては、正確な状況把握にならずに間違った判断につながりかねない。
そうであれば、一度の施設見学で判断できることを基準において考えた方が良いのではないかと思ったりするので、前記したような判断基準が役に立つのではないかと思ったりしている。
それに加えて、その施設を良く知っている人の評価を聴いて判断することが、一番良い選択肢につながるのではないだろうか。
とはいっても、その情報源を行政の担当課に求めても余り有効な情報は持っていないだろう。一番良いのは、そこで暮らしている人の家族の評価情報ではないかと思うが、それも必ず知り合いがいるとは限らないので難しいところである。
その時に誰に施設の評判を聴いたら良いかということについて、以外と知られていない情報源があることを示唆しておきたい。
それは葬儀社である。葬儀社の社員の方に、「この地域でよいと思われる施設はどこですか?」と尋ねたら、いろいろな情報を教えてくれるかもしれない。
例えば特養なら、葬儀社のお世話にならない施設はないだろうが、その時利用する葬儀社は、施設の御用達ではなく、家族の希望によることがほとんどだろう。すると複数の葬儀社が、ご遺体の搬送等で施設に訪れていることだろう。
それらの葬儀社の社員の方は、お亡くなりになった利用者の方を、施設の職員が最後にどのように送り出しているのかを良く知っていると思う。葬儀社の方々は、その時職員の対応もしっかり見ていると思う。ご遺族となったご家族と、そこの職員がどのような会話を交わしているのかもよく観察していると思う。
そこでは取り繕った対応ではない、真の関係性が表面化される場なので、そうした状況把握から、施設の職員が利用者に真摯に寄り添っているか、きちんと最期の瞬間まで行き届いた介護サービスの提供に努めているのかという判断は結構正しかったりするものなのである。
特にお亡くなりになった方が、最期に過ごした環境、居室のしつらえで伝わってくるものがある。最後過ごす場所が、その人の思いに沿った環境となるように支援されていたのかどうかということは、ベッド周りの状況を見るだけで感じ取れることがある。この辺りの感覚は、葬儀社の職員さんは敏感ではないだろうか。
入所施設を探すのに「葬儀社」とは、縁起でもないと言わずに、お近くに葬儀社に勤める知り合いの方がおられたら、その地域の中で、どこかおすすめの介護施設はないだろうかと相談してみると、案外正確な情報が得られるかもしれない。
勿論、地域事情などによっては、そのことが当てはまらない地域も多いだろうが、意外に知られていない情報源として、そういった情報ルートがあるということも知っておくことは無駄ではないと思う。
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4/1〜急な移動で特養勤務となり、日々、葛藤しています。
初日より、毎日、「機能訓練」の一つとして「集団レク」も担当しております。
認知症等の個々のレベルを把握しながら、楽しいムードで体を動かしたり、歌を歌ったり、心身ともに活性化するためのプログラムを組む事は、私にとっては、結構難しいものです。
人生の先輩と一緒に楽しんでいる歌も、「子供じみていないかな?」と悩んでみたり、・・・
しかし、笑顔で楽しんで歌ってくださると私が助けられています。
今は、「参加して下さって、ありがとうございます。」と、感謝の気持ちで一杯です。
なので、今日は、帰宅後、苦手のピアノに挑戦してみました。
チョットでも、楽しい時間を過ごして頂けるように努力中です。
「集団レく」を楽しむ事で、子供じみたものでなく、関節可動域や筋力が維持・向上したり、嚥下障害の悪化予防等をなんとなく意識して頂くように検討しておりますが、悪戦苦闘中です。
明日は、笑顔がチヨットでも拝見できますように・・・
今から、母を相手に練習します。