まず最初にお詫びを申し上げます。昨日の記事特養多床室利用者の負担額変更は2段階について、補足給付される費用を当初あべこべに書いておりました。介護保険施設の多床室の光熱水費の上乗せ分50円/日の負担増については、2〜3段階の人も負担限度額が上がり自己負担するもので、補足給付の支給はありません。特養の多床室の室料負担470円/日については補足給付が支給され、第4段階以外の人の負担増はありません。本日14:30頃記事修正しましたことをご了承ください。

社会福祉法人を狙い撃ちにしたかのような大減算の介護報酬が出されたその日、全国老施協からFAXが届いた。

その中で介護老人福祉施設のついては、基本報酬はおおむね6%の大幅なダウンを強いられたとし、一方では、看取り介護加算の充実、障害者生活支援大戦加算の拡大、在宅・入所相互利用加算が多床室でも適用になることや、日常生活継続支援加算については大幅な単位増によって充実が図られたとし、結果的に、「本体報酬の大幅カットと個々の高品質サービスを加算により担保する厚労省の理念が明確になった」と結論付けている。

しかしそうだろうか。今回の改訂介護報酬に「高品質サービスを担保」するほどの理念があるだろうか?そもそも質の担保とは、高品質なサービスを提供できる人材の確保と、それらの人々が誇りをもって働き続けることができる環境において初めて成り立つもので、国の算定基準を護っていればよいというものではない。

そんな中での報酬の大幅減による様々なしわ寄せは、この環境を悪化させるだけではないのだろうか。

加算にしても、それを算定することで基本報酬の減額分が補えるというならまだしも、焼け石に水にしかならない額であれば、現場にとってあまり意味のないものとなりかねない。

例えば看取り介護加算は死亡日以前4日目〜30日の介護報酬が80単位/日〜144単位/日に引き上げられたことにより、1回の報酬算定の最大値が、4.800単位から6.528単位に引き上げられている。しかしこれは100人施設で考えても、年間にして20件〜30件程度しか行われないであろう「看取り介護」の加算増額であるから、30ケースを実施し、すべてのケースで30日以上の看取り介護を行って最大値を算定したとしても、その額は年間で51.840円しかならず、基本サービス費が(100人定員施設で)15.000.000円以上減額になっていることを考えると、それを補う加算増としてはまったく意味がない。勿論看取り介護自体は、特養に求められる社会的使命であり、その額がいかに意味がないとしても、実施すべきではあるが(参照:看取り介護ができない特養であってはならない)、この費用増加分が、看取り介護の品質向上に直接つながるものではないことは明らかである。

同じく算定率が極端に低い障害者生活支援大戦加算と在宅・入所相互利用加算について、その算定基準が拡大されても喜んでいる関係者はさほど多くはないだろう。

要件が合えば全員に算定できる日常生活継続支援加算が13単位(従来型)〜23単位(ユニット型)増額されたことは意味のあることだと思うが、それにもまして基本報酬の減額は大きい。

ところで減額分を加算を補うという考え方については、次のような考え方も示されている。

多床室(要介護5)の場合、基本サービス費は51単位減であるが、これに対して日常生活継続支援加算 23単位→36単位、処遇改善加算25単位→57単位、多床室の光熱水費の標準負担額増→5単位。よって51単位−(増額分50単位)=1単位←減算単位はわずか1単位となり、看取り介護、口腔維持加算などの加算などの単位増で、この部分も補っていけるという考え方。

さらにユニット型の要介護5の場合であれば、基本サービス費は53単位減であるが、日常生活継続支援加算が23単位→46単位へ増、処遇改善加算26単位→59単位増であり、51単位−(増額分56単位)=−5単位となるため、逆に5単位増額するという考え方である。

しかしこの計算式は通用しないことは多くの方がおわかりだろう。なぜならこの計算式で大きな数値を占める、処遇改善加算気砲弔い討蓮∋残蠅靴進をすべて介護職員の給与として支出しなければならない費用で、この部分に収益につながる金額は全く含まれていないのである。それは定期昇給の原資となるとは言っても、介護職員に限っての原資でしかない。むしろこの加算分の増額は、収益計算上の計算式に入れないのが正解で、そうであれば100人定員施設の収入は、年ベースで12.000.000円以上の減収見込みである。

通所介護の場合は、小規模通所介護(要介護2)の基本サービス費は45単位減せあるが、これはしゅぐ改善加算を入れなくとも、(新設)認知症ケア加算60単位と(新設)中重度者ケア体制加算45単位を算定するだけでプラス改定となる可能性があるし、これに加え個別機能訓練加算50単位が56単位増額された分とサービス提供強化加算機焚雜酳〇禹粒箙腓5割の場合:新設)に該当する場合は、これまでの12単位から18単位に加算額が増えるのだから、これでおつりがくるという計算式は成り立つ。

しかし実際には新設の両加算算定は簡単ではない。

認知症ケア加算60単位の要件は以下の通りである。
1.指定基準に規定する介護職員又は看護職員の員数に加え、介護職員又は看護職員を常勤換算方法で2以上確保していること。
2.前年度又は算定日が属する月の前3月間の利用者の総数のうち、認知症高齢者の日常生活自立度薫幣紊陵用者の占める割合が 100 分の 20 以上であること。
3.指定通所介護を行う時間帯を通じて、専ら当該指定通所介護の提供に当たる認知症介護指導者研修、認知症介護実践リーダー研修、認知症介護実践者研修等を修了した者を1以上確保していること。

「前年度又は算定日が属する月の前3月間の利用者の総数」とは、予防サービスを一体的に実施している事業所では、予防対象者を含めるのか、介護給付対象者の総数に占める割合なのかということが、かなり重要な要素になってくるが、これは現在明らかではなく、解釈通知もしくはQ&Aが示されないとわからない。そういう意味で2のハードルの高さが今のところ不明である。

1の要件は案外クリアできる事業所が多いのかもしれないが、3は対象職員がいない事業所も多いだろう。そしてこの加算は算定できても、認知症高齢者の日常生活自立度薫幣紊陵用者に対してのみの算定なので、それ以外の利用者の減算を補うものではない。

中重度者ケア体制加算45単位の算定要件は以下である。
1.指定基準に規定する介護職員又は看護職員の員数に加え、介護職員又は看護職員を常勤換算方法で2以上確保していること。
2.前年度又は算定日が属する月の前3月間の利用者の総数のうち、要介護3以上の利用者の占める割合が 100 分の30 以上であること。
3.指定通所介護を行う時間帯を通じて、専ら当該指定通所介護の提供に当たる看護職員を1以上確保していること。

ここでも2の要件の総数の考え方が不明である限り、そのハードルの高さも不明なのは、認知症ケア加算と同様である。1は同じくハードルとしては高くないが、問題は3である。「専ら当該指定通所介護の提供に当たる看護職員を1以上確保」ということは、サービス提供時間すべての時間に看護業務に従事する看護職員がいなければならないわけで、看護職員が機能訓練指導員を兼務している場合には、この要件に該当しないことになる。そうであれば別に看護職員を配置する必要が生ずるわけで、そんな人件費がこの加算で出るわけもない。

これに加え、予防通所介護の大減算は、それを補うほかの費用加算もなく、通所介護は要介護者に特化して、人を増やさずに、新加算のどちらかを算定でいる事業所でないと、これも年間ベースで数百万円の大減算である。(減収幅は利用者数によってかなり異なる)

こうした状況下で表の掲示板では、介護職員の賞与さえ下げる方針の施設もあると情報提供されている。実際には収益につながらない加算は算定せずに、人件費の抑制で荒波を乗り切ろうとする事業者が出てくることは予想の範囲内である。また介護職員だけの待遇を向上させ、ほかの職員を置き去りにして泣いてもらうという職場もあるかもしれない。しかしそれらの職場では、職員全体のモチベーションが下がらずを得ず、そこでサービスの質向上などできるわけもない。

このような状況で、単年度の赤字経営を最低3年間は強いられ、繰越金を吐き出していく法人も多いだろう。そうした環境で職員は給与がアップしたからと言って安心して働けるとでもいうのだろうか。将来に対する不安が解消されない場所で、高品質のサービスを提供するためのモチベーションが、いつまで維持できるだろうか。光が見えない場所で、輝いていられる職員は何人いるのだろうか。

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