介護サービスの場では、施設サービス、居宅サービスを問わず人材不足が深刻化している。いや現在の実態を正確に表現するならば、それは人材不足ではなく人員不足と言って良いだろう。
つまり良い人材を求めるより先に、いかに配置人員を確保するかということが課題になっているのが現状なのである。特に夜間の従業者の確保が年々難しくなってきている。この状況で居住系施設の数を必要に応じて増やしても、そこでサービス提供する従業者が確保できないという状態はますます深刻化するだろう。
こうした状況で、介護サービスに従事している人々の高齢化も進行している。少子化の影響のほか、他の職業に比べた場合、介護職の収入が低いと言われている影響で、介護の職業に就こうとする若者の数が年々減っている。介護福祉士養成校への入学希望者も年々減る状態で、養成校の数も、クラス数も年々減り続けている。そもそも高校の進路指導担当者が、「介護の職業」を目指そうという希望を述べた生徒に、思いとどまって他の職業を目指すような指導をしているケースは枚挙にいとまがない。そうした状況もあって、ヘルパー2級資格に替わる初任者研修も、受講者が集まらずに開催さえできないという地域が多い。
そうした中で、若い人の就業者数がなかなか伸びない介護サービスの場では、新陳代謝が進まず、介護の主力は30代から40代、職場によっては50代の人々になってきており、60代の人々も戦力として貴重な状態になっている。
しかしサービスを提供する人々も、いつまでも現在の体力と気力を保って就業を続けられるわけがなく、若い人に替わっていってもらわないと、介護サービスの量も質も低下の一途をたどることは明白である。
そうした中で、我々介護サービス事業を運営する側は、介護の専門性を持った人を採用するという考え方だけではなく、介護の知識もなく、介護を行った経験もない人をも採用していく方法はないかと考える必要があり、無い知恵を絞りながら、それらの人々に介護について興味を持ってもらい、介護サービスの場で働いてもらって、そうした人々を職場で教育していくという視点がより強く求められてくるだろう。
僕が全国で、「介護の誇り」をテーマに講演を行っている意味も、現に介護を職業としている人々に自分たちの仕事に誇りを持つことができる方法論を伝え、それらの人々が介護サービスの場で末永く働いてくれることを願うとともに、これから介護の職業に就こうと思っている人や、なんとなく介護に興味を持っている人に、「介護の場で働いてみたい」という動機付けを与えられるのではないかという目的もある。仮にそれが、僕自身の職場とは遠く離れた地域であっても、そこで介護を職業としたいと思う人が少しでも増えることが、介護の裾野を少しずつ広げて行くのではないかと考えるのである。そしてやがてそのことが全国的に波及するようになってほしいという願いがある。
さらに何らかの理由で、介護の仕事をリタイヤした方が、僕の話を聴いて、また介護の仕事に再チャレンジしてくれることもあるのではないかと考えて、周囲の人々を巻き込んで、みんなが元気になれる介護の実践論をお話ししている。（参照：ともし続けるために薪を足す人になりたい。）
そもそも人材・人員不足の問題は、地域的な問題ではなく、我が国の介護全体の状況であり、ひとり自分だけが良ければ問題ないと考えるのではなく、自分のできる力を最大限に使って、この国全体で介護サービスを支える人材を確保し、育てるために何ができるかというグローバルな視点と活動が求められるのではないかと考えている。そのために自分ができることをしているだけである。
ここで一言お詫びしたいことは、僕に講演依頼のメールを送ってくれた方に対して、ごくまれに僕がそのことに気が付かず、読まないまま返信をしていないケースがあることだ。先日も返信がないのでと電話をいただいたケースがある。本当に申し訳ないことであるが、意識的に返信していないわけではなく、単純にミスなのである。その原因は、何らかの事情でウイルス対応ソフトが、そのメールをはじいて格納ボックスに入っていることに気付かないでで削除してしまったり、たくさんのスパムメールを削除する際に、僕が誤ってスパムではない、講演依頼メールを削除してしまったりということが考えられる。
講演依頼のメールを送って下さる方にお願いしたいことは、メールで講演依頼の連絡をいただいた方については、僕は必ず翌日までに返信するようにしているということを理解していただき、もし一両日中に返信が届かなかった方については、僕のミスでメールを読まずに削除してしまった可能性が高いと判断していただきたいのである。そして依頼に対して返信が来ない場合は、恐れ入りますがメールを再送するか、電話でお問い合わせいただくようにお願い申し上げたい。なおフリーメールについては、ウイルスチェックソフトが自動的にはじいてしまう場合があるので、特に注意が必要だ。どうぞよろしくお願いします。
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感動の完結編。
去年、柏で開かれた研修に参加させていただきました。
ありがとうございました。
私は初任者研修の講師をしています。
受講する生徒数が同一県内でも差があり、一部の地域では満席でも、ほかの地域では
教室がクローズになることもあります。
受講する生徒さんの受講動機としては多いのは親の介護のためと、
施設に就職したら資格を取るように言われたというものに分かれます。
これから介護の仕事をしたという動機の生徒さんにはなかなか会えません。
施設などの介護職は資格がなくても採用できますが、
訪問介護員には資格要件があるので、これからますます人が集まらないのではと
危機感を感じます。
介護の仕事の楽しさや素晴らしさを講師として伝えていけたらと思っています。