全国老施協の情報によると、昨日行われた自民党の介護福祉議員連盟の中で、国会議員から介護報酬の安易な引き下げ論に対して異議の声が挙がったそうである。

しかし厚労省の三浦老健局長からは、「介護報酬改定は、事業者のみならず地域経済にも大きな影響をもたらす。改定について財務省と日々、議論しているが、かなりの距離感がある。厚労省としても(介護報酬について)しっかりと位置づけをして臨みたい。」という答弁があったそうである。ここには財務省の厳しい姿勢が垣間見られる。

そして財務省の向こう側には、財政規律を盾に、社会福祉法人の繰越金を内部留保とみなし、不正蓄財であるかのように「返していただく」と発言している麻生大臣の姿が見えるし、その向こうにはプライマリーバランスゼロ政策を復活させている安部首相の姿も見えてくる気がしてならない。それだけ介護報酬改訂をめぐる状況は厳しいと言わざるを得ない。

ところで介護福祉議員連盟には55名の国会議員と、144名の代理人の参加があったとのことである。この数字をどう読むのか?議員本人出席が代理人出席の1/3程度という状況を少ないと読むのか、55名という数字を多いと読むのか・・・。

その実態はよくわからないが、昨日の状況でいえば、解散総選挙の風が吹き荒れる永田町で、自分が所属する委員会を欠席して地元に帰って選挙準備を進める議員も多い中、これだけの数が集まったことには、それなりの意味があると考えてもよいのかもしれない。

その解散総選挙である。昨週突然のように解散の風が吹き始めたと思ったら、12/14投開票の方向で急速に準備が進められている。同時にそれは消費税の10%への引き上げを1年半先延ばしすることの信を問うという形で進められている。

そうであればこの選挙の争点は「消費税の引き上げ時期」ということにならざるを得ない。国際公約である2017年10月の再引き上げという約束を反故にして、先延ばしすることの信を問うことになるのだろう。

消費税の引き上げの先延ばしという一点のみでみれば、これは介護報酬改訂には逆風だ。

社会保障財源となる消費税率が引き上げられない状況では、介護報酬の引き上げ財源はないとされる見方が強まるだろう。

しかし介護関連業界に係る人々の数を、選挙の有権者としてみれば、これはまた違った景色が生まれる。

すでに介護関連事業に携わる人の数は、一定の政治状況に影響を与えるだけの数ではあるのだ。その数をまとめきれる組織がないとか、皆が同じ方向でスクラムを組むような基盤がないという状況は否定できないものの、介護報酬を引き上げるという、その一点に関しては、同じ方向を向くことが可能になるのではないだろうか。

介護報酬が財務省の理屈で、一律6%ものダウンとなれば、収益の上がっていない事業所は全部倒産である。倒産しないにしても事業継続のために、過度なコストダウンとリストラを図らねばならない。その結果は、サービスの質の低下と介護難民の増加という形で、国民に負のスパイラルをもたらすことになるだろう。

基本報酬は下げるが、処遇改善加算は下げないから介護職員の給与は引き続き改善されるというが、事業経営が厳しくなる中で、職員の給与水準だけが守られるなんて夢の夢である。そんな現実は顔にも未来にも存在し得ないであろう。

介護報酬を引き上げる戦いは、介護の職業に従事する職員の身分や待遇を護るための戦いであると同時に、国民の福祉を護る戦いであることを忘れてはならない。社会福祉法人がもうけ過ぎで不正蓄財に走っているかのようなプロパガンダがされているが、それが大嘘であることは、「介護事業から頑張る人がいなくなる制度改革」で示しているところである。

そして介護報酬問題を、解散総選挙の争点にするか否かは、我々関係者の働きかけにかかっていると言っても過言ではない。今回の選挙は消費税が争点であるし、どんなに我々が騒いでも報酬改訂に何も影響はないとあきらめた瞬間から、介護報酬は財務官僚の掌の中で動かれる結果となるだろう。我々がおとなしく口を閉ざした瞬間が、敗北の始まりである。

各自の選挙区で、自分が投票しようとする立候補者に、介護報酬に関する考え方を問いかけてほしい。その結果を投票行動の目安の一つとしてほしい。

改訂介護報酬単価は、来年1月末に示されるが、介護報酬の改定率は(公にされるか、されないかは別問題にして)年内に決定される。その決定までにぎりぎり時間があるという時期が、12/14の投開票選挙ということではなかろうか。

どちらにしても何もしない、何も言わないという姿勢では、何も変わらないのである。結果はともかく、行動することがまず求められることだ。

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