この時期、介護保険制度改正について、各地で研修会が行われている。その中で、厚生労働省の方を講師として呼んで、最新情報を伝えるとアナウンスしている研修会も多い。

しかしそうした研修会に参加して、厚労省の担当者の話を聴いた方々は、新たな知識を得たと喜んでいる方が多いのだろうか?僕の耳に聞こえる範囲では、そうした方は意外と少なく、知っている範囲の情報の確認にとどまったという意見が多い。

しかしそれはある意味当然である。厚労省の方は、新しい制度について誰よりも詳しく理解しているし、専門知識もあり、色々な情報を持っており、その中には明らかにされていない情報も入っている。

しかし公の場で発言できることは、その立場上制限があって、知っていること、持っている情報をすべて開示できるわけではない。それらの方々が講師としてレクチャーする際に明らかにできることとは、現時点での公表情報についての解説であり、それを国の方針通りに説明するしかない立場である。

だから日頃からインターネット等で、新鮮な情報を手に入れて、その通知文等を読み込んで勉強している人にとっては、厚労省の担当者の講演で新たな情報を得るということにはならない。むしろそうした講演・講義が役立ったと感じる人は、公表される情報をリアルタイムに読み込んでいない人である。

だから国の担当者を呼ぶより、責任ある公の立場ではない人で、情報分析ができ、公表された情報の背景にあるものや、そこから読み取れる今後の見込み等を語ることができる講師の方が、我々にとっては役立つ情報を与えてくれるのである。

だからこの時期に、無理をして国から講師を呼ぶ必要はないし、国から講師が派遣されるからと言って、大いなる期待を胸に研修会場に向かってはいけないのである。

話は変わるが、昨晩僕は、「介護認定審査委員研修」を受講してきた。時間は仕事を終えた19:00〜21:00まで。認定審査委員だからといって、この研修を必ず受講しなければならないわけではないが、要介護状態区分等の審査という責任ある立場にいる以上、義務研修ではなくとも、自分の知識の確認やその向上に努める義務はあると考え、毎回参加するように心がけている。

しかし毎回がっかりさせられるのも事実である。この研修は前後半に分けると、前半部分は介護保険制度の運営状況などの行政情報の説明、後半は要介護認定の平準化を目的として、実際のケースを使った認定審査のグループワークである。

今回も制度改正に伴う行政説明があったが、国や道の資料の説明というより、読み上げで、新たな情報は皆無である。自分より情報知識のない人の話を聴く苦痛を味わっただけである。

後半のグループワークも、取り上げられた事例が、あまり意見が割れるような問題を含んだ事例ではなく、「どうしてこの事例を選んだのだろう?」と深読みしたが、最後に事務局より解説がされたが、それは模擬審査で導き出された結果と同じで、解説も特に必要としないような事例であった。就業後の遅い時間に研修を行わせるにしては、何ともお粗末な研修内容であった。

そんなわけであまり議論するこもなかったために、グループワークも指定時間前に終わってしまい。後は参加者の雑談というふうになった。その中である地域の審査委員から、要介護3以下の状態区分の人について、24ケ月までの期間延長を認めていないという愚痴情報があった。

要介護認定期間については、更新認定について原則期間は12ケ月であるものの、ケースの状況を確認して、3ケ月〜24ケ月までの設定可能な認定有効期間の範囲が示されており、これは審査委員会の審査の結果決められるもので、要介護1の人であっても、前回も同じ介護度と期間で、今回も状態像が変わっていないと判断できるならば、そのことを根拠に24ケ月まで期間延長できることになっている。

それを保険者のローカルルールで認めないことに、何の意味があるんだ?期間延長することで誰かが不利益を被るとでもいうのだろうか?期間延長しないことでより実態に即した要介護状態区分が担保されるなんて言う理屈も成り立たないはずだ。

むしろ延長を認めているルールを無視して、機械的に期間延長制限することによって、認定審査にかかる費用は増えることになり、それは国民負担を無駄に増大させる結果にしかならない。

そもそも認定期間については、それがどの程度の期間が適正なのかという根拠は存在せず、期間などなくしてもよいのではないかという議論さえある。区分変更申請という方法があるのだから、その意見は一理あるのだ。

次期制度改正においても、現在12ケ月までしか認められていない更新認定時の前回要支援→今回要支援、前回要支援→今回要介護、前回要介護→今回要支援 についても、介護予防・日常生活支援総合事業を市町村全域で実施している場合に限り、認定有効期間を原則12か月としたうえで、上限24か月に延長し簡素化する方針が示されている。

そんな中で、頑なに要介護状態区分の低い対象者の期間延長を認めないという保険者の姿勢は笑止千万である。

それは小役人の浅く狭い見識による公費の無駄遣い以外のなにものでもなく、こういう無駄遣いこそなくしたいものだと思う。小人が小権力の座にいることの弊害以外のなにものでもない。

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