作家の故・司馬遼太郎さんの名言の中に、「新聞とはその国家の英知と見識を代表するものでなければならないが、日本の場合、これがしばしば流行を代表するものとなる。」というものがある。

しかし昨今の新聞報道の一部は、「流行を代表」さえしておらず、偏向報道と呼ぶ以外の何ものでもないようなものがしばしばみられる。それは例の朝日新聞のねつ造記事だけではなく、ごく日常的な何気ない報道記事にもみられることだ。某紙の下記の報道記事も、それに近いもので、プロパガンダ記事といってもよいと思われる背景認識のない報道である。

24時間サービス新聞記事ここでは、定時巡回・随時対応型訪問看護介護(いわゆる24時間地域巡回型サービス)の普及が進まない理由について、このサービスが、他の介護事業より利益率が低いことによって、事業参入に二の足を踏む事業者が多いと決めつけている。

おいおい、裏は取っているのか?この利益率は結果でしかなく、事業参入の二の足の理由ではないはずだぞ。

つまり24時間地域巡回型サービスは、そもそも利用者ニーズがあまりなく、顧客確保が困難な割に、女性が多数となる巡回ヘルパーが、夜中の時間帯を含めて地域を巡回せねばならないという危険性や困難性を含んだサービスであるから、顧客および巡回ヘルパーのなり手の確保が困難で、それ故に事業参入が進んでいないだけである。

その結果、介護経営事業実態調査のサンプルとなる数字を抽出できる事業者数自体が少なく、それは他事業のサンプルによる数値と同じレベルで比較できない数値であるということである。

そもそもこの利益率の低さの原因とは、介護報酬の低さではないことは、定時巡回・随時対応型訪問看護介護の報酬単価を見てもらえば容易に理解できる。要介護5の利用者に至っては、24時間サービス提供する特養の報酬よりも高いのである。全体的に見ても、このサービスの報酬単価設定は高すぎであり、もっと低く設定してもよいことは、参照ブログに書いているとおりである。
(参照:24時間巡回サービスの介護報酬について

つまり、24時間地域巡回型サービスの利益率の低さの要因は、顧客ニーズがないことによる、顧客確保の困難性に起因する問題で、報酬単価をこれ以上引き上げて利益率を上げようとすることは、国民ニーズに合致しないサービスを優遇するということになる。

そもそもこのサービスに事業参入が進まないだろうということを、僕は3年前に予測しており。その証拠が、「新サービスへの中途参入は事実上不可能?」である。

そこでは「このサービスの需要が無限大ならともかく、夜間鍵を預けて、家族が眠っている時間にも、(ヘルパー資格を持つとはいえ)サービスを提供するために他人が自宅に入ってきて一定時間滞在するサービスであるがゆえに、このサービスに適応しない対象者や対象家庭も多いと考えられ、よほど人口密集地域ではない限り、このサービスの需要は限られてくるだろう。よって事業参入できる事業者数もそう多くはならない。」と指摘しているところである。

そうした限られた顧客確保に苦労している事業所の数値による利益率を取り上げて、介護報酬が低いという結論は短絡的すぎる。はっきり言って頭の悪い記者が書いた記事としか思えない。

こういうくだらないプロパガンダによって、他の利益率が高いとされた事業の報酬を、モグラタタキのようにカットするということの繰り返しでは、介護事業に参入意欲がなくなり、制度あってサービスなしの状況を生むだろう。

ばかげた記事を書くのも、いい加減にしろといいたい。

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