介護保険制度を定期的に改正する理由は、この制度が「走りながら考える」として創設された若い制度であるから、常に修正していく必要があるという意味であるが、その主な目的は、「制度の持続可能性」を担保していくことである。

そのため高齢化の更なる進展に伴い今後さらに介護費用の増加が見込まれる中で、保険料の上昇を可能な限り抑えつつ、現役世代の過度な負担を避けるとともに、高齢者世代内で負担の公平化を図っていくことが、この制度の持続可能性を高めるとされている。

そのために、来年の介護保険制度改正における大きな変更点の一つとして、介護サービスを使う際の自己負担割合について、「一定以上所得者の負担割合を現行の1割負担から、2割負担に引き上げる」とされたのである。

しかし負担割合が変更されるのは、一定以上の所得がある、「一号被保険者」のみであり、二号被保険者は対象となっていない。その理由は、「今回の措置は、高齢者の中で相対的に所得の高い方に負担をお願いし、世代内の公平化を図るものであることや、第2号被保険者は抱える家族が高齢者より多く、子どもの学費等を負担して消費支出が高いこと等を考慮し、2号被保険者には負担を求めない。」という社会保障審議会介護保険部会での議論を踏まえたことによるものだ。

よって要介護(支援)認定を受け給付を受けている第 2 号被保険者は、所得に関係なく引き続き自己負担1割でサービス利用できるわけであるが、65歳の年齢到達による負担割合の変更に該当する人が出てくることが想定される。

一定以上の所得がある第 2 号被保険者が、第 1 号被保険者となった場合、65 歳となった月の翌月以降、自己負担割合は2割に変更されることになる。この場合、自己負担は利用者の誕生月を境に、一気に倍増するわけだから、担当する介護支援専門員や介護サービス担当者は、自己負担の倍増について、事前に当該利用者に対し十分なる説明が求められるであろう。

2割負担となるのは、基準以上の所得を有する本人のみとしており、同一世帯に他に介護サービスを利用する方がいても、その方自身の所得が基準以上でなければ、その方は2割負担とはならない。

そして一定以上所得者については、基本的に1号被保険者である高齢者本人の合計所得金額により判定を行い、160万円以上(年金収入に換算すると280万円以上)の所得を有する方のみ利用者負担を引き上げることとしている。

しかしながら、収入が給与収入・事業収入や不動産収入といった年金収入以外の収入を中心とする場合には、実質的な所得が280万円に満たないケースがあることや、夫婦世帯の場合には、配偶者の年金が低く、世帯としての負担能力が低いケースがあることから、その世帯の1号被保険者の年金収入等とその他の合計所得金額の合計が単身で280万円、2人以上世帯で346万円未満の場合は、1割負担に戻す措置が取られている。

このことについては、「介護保険最新情報 Vol.391」に該当ケースと負担割合が例示されているので参照願いたい。

なお介護保険制度施行以前から特別養護老人ホームに措置入所している「旧措置入所者」については、従前の費用徴収額を上回らないように配慮している趣旨に鑑み、2割負担の対象外としているので、この点にも注意が必要だ。

ここでもう一つ注意が必要な点がある。同じく時期制度改正で変更される補足給付の支給に係る収入の認定では、非課税年金も勘案されるという変更(補足給付の支給段階の判定に当たり、遺族年金・障害年金の非課税年金も勘案する)が行われるが、負担割合の判定に当たっては、判定対象となる収入に非課税年金は含まないということである。

また負担割合の判定に用いる所得は、住民税で用いる前年所得に係るデータであり、この前年所得の確定時期等を踏まえ、2割負担への変更の実施時期は平成27年8月としている。

つまり来年度から2割負担となる対象者は、報酬改訂時の27年4月に利用料金の変更同意が必要になるのに加え、負担割合の変更時期である27年8月の利用料金変更同意が必要になり、さらに消費税が10%に引き上げられる場合は、これに伴う報酬改訂の時期である27年10月にも利用料金の変更同意が必要になるものである。

※ただし、介護給付費分科会における今後の検討の進め方について(案)では、4月介護報酬改定(※4月施行分のほか、消費税率引上げがあれば併せて対応)との記述がある。これは消費税引き上げが決まれば、4月からの報酬にその分を併せて上乗せするとも読めるので、この辺りは流動的である。

なお負担割合変更に該当するのは、1号被保険者の20%とされているので、5人に一人は対象となる。ただし高額介護サービス費の仕組みに基づき利用者負担には月額上限が設けられていることから、負担割合が2割となっても、対象者全員の負担が必ず2倍となるものではないとされている

この変更に伴い、介護サービスを利用する際に事業者が負担割合の確認を確実に行うことができるようにするため、1 割負担の者も含め、認定者全員に負担割合証を付することとする。初年度の負担割合証明書は、所得情報に基づき、平成 27 年 8 月 1 日から平成 28 年 7 月 31 日までの有効期間とするとされている。また国は保険者に対して、既に要介護(支援)認定を受けている者が毎年の定期判定時に負担割合証を更新する期限を27年7月末日までとしているが、同時に利用者、ケアマネジャー、事業者等へ周知期間を確保することが望ましいとしている。

前述したように、第2号被保険者は一律に1割負担ではあるが、事業者等が適切に負担割合を確認できるよう、要介護(支援)認定を受けている第2号被保険者に対しても、負担割合証を交付するとしている。なお、保険者の判断により、要介護(支援)認定を受けていない第1号被保険者に交付することも差し支えないとされている。

以上負担割合の変更で需要となる点についてまとめてみた。何か追加しなければならない点があれば、コメントとして書き込んでいただければありがたい。

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