来年の介護保険制度改正では、通所介護について大きな改正が目白押しである。

現在規模別報酬となっている区分については、機能別の報酬区分となるし、予防通所介護については、市町村の新総合事業へ移行される。ただし市町村判断で2年間の経過措置期間の中で、移行時期が決まり、すべての市町村で新総合事業に予防通所介護が移行するのは29年4月からとなる。
(※ただし移行初年度は、既に要支援認定を受けている居宅要支援被保険者について、その認定更新まで予防給付を受けられる。また厚生労働省令で定める者については、平成30年3月31日までであって厚生労働省令で定めるまでの間にあっては、引き続き予防給付を受けられる規定が設けられている。なお後者部分については、初年度は総合事業によるサービスの利用を希望する者以外は予防給付を継続するなど、市町村判断で多様な移行スケジュールの設定が可能である。)

それに加えて小規模通所介護の類型を新たに設けるという変更もある。今日はこの問題を考えてみたい。

現在、小規模型通所介護とされている事業所とは、前年度の3月を除く月平均利用人数が、述べ300人以下の事業所である。これを来年4月以降は次の3類型に区分するとしている。

1. 大規模型通所介護事業所もしくは通常規模型通所介護事業所のサテライト型事業所(都道府県指定:居宅サービス
2. 地域密着型通所介護事業所(市町村指定:地域密着型サービス)
3. .小規模多機能型居宅介護のサテライト型事業所(市町村指定:地域密着型サービス)

このうち2の地域密着型通所介護事業所については、定員が18名以下の事業所とされた。その区分を前年度の平均利用人数としなかった理由は、地域密着型サービスに位置づけるにあたって、固定的な基準が必要とされたためであるとしている。

定員18名以下の通所介護事業所が、地域密着型サービスに移行する時期については、市町村の事務負担を考慮して、平成28年4月に施行することとされている。この場合の事業者指定は、みなし指定が行われるため、既存事業所は特に届け出の必要はない。みなし指定の有効期間については、施行日から効力を生じるものだが、その有効期間の満了日は改正前の通所介護の指定を受けた日から6年経過した日までとする予定である。
なお、みなし指定を希望しない通所介事業所で、現在その利用定員は18人以下であるが、引き続き居宅サービスの通所介護として事業を行うことを希望する事業者は、当該施行日の前日(つまり28年3月31日という意味)までにその利用定員を厚生労働省令で定める数以上に変更し、都道府県知事にその旨を届け出る必要がある。

では現在定員が18名以下の事業所及び、実績的に1日利用者数が18名以下で、定員を18名以下に変更可能な事業者については、どちらを選択すればよいのだろう。これは来年1月25日頃に示される介護報酬をみなければわからない。居宅サービスの通所介護と、地域密着型の通所介護に報酬差がつくのかどうかを見たうえで、28年4月までに判断すればよいだろう。

ただ一つ言えることは、小規模通所介護が地域密着型サービスに移行するという意味は、28年4月以降は、新規で小規模事業者が参入しにくくなるという意味である。地域密着型サービスであるなら、市町村がその数が足りていると判断すれば、公募も指定も行われないからだ。そういう意味では、既存事業所にとっては、過当競争になりにくくなるという意味で、その部分はメリットである。

ところで小規模通所介護が、なぜ地域密着型サービスに移行されるのだろうか。その意味は二つあるのだろうと考えている。

ひとつはやはり小規模通所介護事業所の急激な増加による財政圧迫の問題である。小規模通所介護は夜勤を行う必要がないため、比較的職員確保が容易で、なおかつ報酬が高く設定されているため収益が見込まれることから急激に増えていることが、介護給付費の増加につながっているとされている。

これを地域密着型サービスとすることにより、市町村の財政面を考慮した公募・事業指定となり、過度な事業所の増加を防ごうというものだ。

さらに急激な数の増加による影響として、地域によっては過当競争となり、そこで過度な顧客の掘り起こしが行われているのではないかということも問題となった。

小規模通所介護事業所の地域密着型への移行の二つ目の意味は、まさにこのことに対策するという意味がある。

つまり、小規模通所介護を使うことが、介護保険が理念とする自立支援と整合性が取れているのかという疑問から、市町村による身近な監視体制を強化して運営の透明化を図るとともに、独自の運営基準などを作るなどで、介護保険事業計画と連動した事業所の数と質を、市町村主導で担保させようとするものである。

その視点の延長線上には、果たして家族のレスパイト目的だけの通所介護は必要なのかという議論がある。レスパイトケア自体は、決して否定されるべきものではないことは多くの関係者が理解しているだろうが、ほかのサービスと連動していない長時間のレスパイト目的の通所介護利用に疑問符が投げかけられている。

そのため機能別報酬では、レスパイトケアを中心にした通所介護の報酬単価は低く設定される可能性が高いし、加算報酬には、他のサービスとの連携・連動の評価がされる可能性もある。

どちらにしても通所介護に厳しい報酬改訂となる可能性が高く、そうであるがゆえに保険外の宿泊サービスと連動して収益を確保しようとする事業所は、今後増えることが予測される。

そのため次期制度改正では、保険外宿泊サービスについて、全国共通の設備基準等のガイドラインを設けるとともに、指定権者への届け出や事故報告の義務化、都道府県の介護サービス情報による内容の公表などの改正も同時に行われることになっているのである。

このように通所介護の様々な改正は、すべて連動した改正であるという理解が求められる。

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