看取り介護で一番大事なことはなんですか?と質問されることがある。

当然、看取り介護と判断された場合に、何をどのように行うべきかという知識や心構えは必要不可欠だ。

看取り介護の対象者は、終末期の様々な身体状況の変化を抱えて過ごしている状態だから、その病状等の知識は必要だろう。また少しでも安楽な状態を保つケアの方法、安楽でない状況を生む感染症や皮膚障害の予防など、そこではより一層の注意と配慮した対応が求められるであろう。

しかしそれは何も特別なケアではない。考えるべきことや、行うべきことは、看取り介護に移行する前の日常の介護でも求められることだ。

そういう意味では、看取り介護で、一番大事なことは、「繋がり」を大切にする視点ではないかと考える。

看取り介護が、それまでの対象者の日常から遠い場所に存在するものではないし、遠い存在にしてはならないという理解が求められるのだと思う。

99歳の白寿を迎える予定であった女性利用者が、看取り介護に移行したことがきっかけで、白寿のお祝いを前倒しして、家族とともに祝ったケースを、ここでも紹介したことがある。
(参照:白寿祝いを早めた理由

この方の看取り介護終了後カンファレンスには、ご遺族は都合で参加しなかったが、評価としてアンケートには事前に答えていただいた。そこには次のような感謝の言葉をいただいている。

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母さんにとって、最高の人生の最期でした。病院や家ではこんなに手厚い介護はできなかったと思う。また最期に子供たちみんなに逢う事ができて本当に良かった。最期は、とっても穏やかな顔で眠るように最期を迎えました。本当の“看取り介護”だったと思いました。本当に素晴らしい最期だったと思います。私達も年をとったら、ここにお願いしたい。日本一の所です。ここに入れてもらった時点から、こんなに大切にしてくれる事を分かっていました。家に連れて来てもらったり、お祭りにも連れて行ってもらったし寿司も食べに連れて行ってもらった。どれも大切な思い出です。一人ひとりのために、ここまで考えて下さるなんて感動しました。昔の事など、よく聞きだして下さったと思います。また夜中なのに職員さんがたくさん集まって下さって、テキパキと動く姿にまたまた感動しました。あんなにたくさんの人に見送られて、母さんは本当に幸せ者だったと思います。ここにもう来ないのかと思うと、寂しくなります。遺影はここで写した写真を使いました。みなさん、本当にありがとうございました。
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大変ありがたい言葉であり、こういう評価をいただくと職員はその実践に自信と誇りを持つことができ、次のステップへつなげていけるのだろ思う。

ところでこのアンケートケ結果を読んで気づいたことがある。

それは家族は看取り介護になった以後の評価だけをしてくれているわけではないということだ。「家に連れて来てもらったり、お祭りにも連れて行ってもらったし寿司も食べに連れて行ってもらった。どれも大切な思い出です。」という文章からわかるように、お元気だったころの施設での生活に満足してくださっているということが、この施設で看取り介護を行って最期の時間を過ごすという選択につながっている。

そして看取り介護中に、家族が集まって白寿のお祝いをしたことが、忘れ難い思い出として、家族の方々の記憶に刻まれている。それはとりもなおさず、亡くなられた方の思い出であり、その思い出が残されているということは、亡くなられた方から残された方々に、命のバトンリレーがされたということだと思う。

命は永遠ではないが、人間の存在は、永遠なものになり得るのではないだろうか。このようにしてご家族の胸の中に残っていくことで・・・。

そうした思いをつなげることができる介護に、使命感と誇りを持ってほしい。

誇りを持って職業に携わる人の思いを、日常のケアにつなげていってほしい。つなげる先に見えるはずの光を信じて、同じ思いを持つ仲間を探しながら、仲間と繋がり、介護の新しいスタンダードを作ってほしい。100年後に讃えられる介護につながるスタンダードを、今この時代に介護サービスに携わる人々によって作り上げてもらいたい。

繋がりの力を信じてほしい。

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