人の命は永遠ではない。永遠ではない儚いものだからこそ命は尊い。

僕たちは自らの命が永遠ではないという意味を、自らの生き方の中で考える必要がある。

そうであるがゆえに、人が自らの「死に方」を考えることは、自らの「生き方」を考えることに他ならないと思う。

このことに関連して、リビングウイルという考え方がある。それは意思決定能力のあるうちに自分の終末期医療の内容について希望を述べることであり、延命だけの治療は拒否するが、苦痛を和らげる緩和治療は最大限に行ってほしいなどの意思を示し、記録しておくことである。リビングウイルは、「生前意思」とも訳され、人生の最終ステージを自分の意思に基づいて、自分らしく過ごそうとする考え方である。

同時に、どこで最期の時間を過ごすのかという選択肢を考えることも大事だ。

看取り介護は「死」の援助ではなく、「生きる」という姿をいかに支えるかという意味があると思う。その人らしい尊厳ある生き方の延長線上に「看取り」という時期があるのだから、最期まで自分らしく存在するために手を差し伸べてくれる人がいる場所で、人生の最期の時間を過ごしたいと思う。それが可能になるかどうかはわからないが、可能にするためには、その意思を誰かに伝えておくことが前提になる。

なにより自分が信頼を寄せ、愛する人に最期は看取られたいと考えている人は多いのだろうと思う。

そうであれば、自分が最期の時間を過ごす場所を、医療機関とか、特養とか、サービス付き高齢者向け住宅とか、グループホームとか、自宅とかの種別で選ぶのではなく、そこに誰がいて、何ができるのかという個別性で選択することが大事になる。

そのためにも、日頃からの情報収集が大事だ。きちんと看取り介護の具体的方法や状況を伝えてくれる人がいなければ選択さえもできない。逆に言えば密室で看取り介護が行われている場所は怖いと思う。そこで何が行われているかわからないからだ。

どちらにしても、人生の最終ステージを、どのように過ごすのかを、自らの意思で決める機会を逃さないようにするために、何をしたらよいのかを、今元気なうちに考える必要があると思う。

口から物を食べられなくなったときにどうしたいのか、治療不可能な病状に陥った時に、単に死ぬ時期を遅くするだけの治療を求めるのかなどを、決められるうちに意思表示しておくという機会を逃さないようにしたいものだ。

そういう意味で考えると、リビングウイルやエンディングノート(リビングウイルを含めて、自分にもしものことがあった時のために、伝えておきたいこと をまとめておくノートのこと)を記録し始める時期に、「早過ぎる」という時期はない。

間に合わなくなる前に、自分が一番信頼できる、愛する誰かと、お互いの人生の最終ステージの過ごし方を確認し合っておくことが重要だと思う。

今月27日(土)13:30〜くらしき健康福祉プラザ(岡山県倉敷市)で行われる、終活セミナー・命の預け方〜人生の最終章を不安から彩りへ〜では、「あなたらしい最終章を守るために」という70分の講演を行う予定である。

そのセミナーの受講予定者は、介護関係者よりむしろ60代〜70代の一般市民の方が多いそうである。それらの方々は、自分の死に方、死に場所を、意思のあるうちに選択できる方であるにもかかわらず、そのことの重大さと、それができなかったときに、どんな終末期を過ごす可能性が高いかということを理解していない人も多いのではないだろうか。そうであるがゆえに、そこではきちんとわかりやすく、自ら終末期の暮らしを決めことができる意味を伝えてこようと思う。

そのため講演内容は、介護関係者の方のとっては、そんな言葉の意味まで解説しなければならないのと感じる部分があるかもしれないほど、噛み砕いた内容になると思う。それは、すべての受講者の方々が理解できるお話をしたいという意味なのでご了承願いたい。だからと言って介護の専門職が聴いて、「わかりきった」内容だけではないので、聴いても得るものがないのではないかという心配には及ばない。

講演の後は第2部として、介護・福祉法務・在宅医療の専門家、終活実践者の方々と「不安を彩りに。この地に根ざして。」というトークショーを行う予定になっている。

参加ご希望の方はまだ間に合うので、上でしめしたリンク先から内容を確かめて、申し込みフォームよりお申込みいただきたい。セミナー参加料は無料である。

またセミナー後には、懇親会も予定されており、希望者は懇親会参加申し込みフォームからお申込み願いたい。なお懇親会の参加費用は、おひとり様5.000円となっている。

それではお近くの皆様、今月の最終土曜日は、くらしき健康福祉プラザでお逢いしましょう。

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