今年4月に発刊された拙著、「介護の詩〜明日へつなぐ言葉」は、僕にとって心に残る99の言葉を集め、同じ志を抱く人々が、その言葉に込められた意味を知り、勇気と誇りを持って介護にかかわってほしいという願いを込めた著作本です。

そこで紹介した「言葉」とは、過去の偉人と呼ばれる人たちの言葉や、テレビドラマの中のフレーズなども含まれていますが、それらは出典を示したうえで掲載させていただきました。しかし紹介している言葉の大部分は、僕が思い浮かべた言葉や、出典不明の古くからある諺に近いものです。

その中で、「一人の百歩より、百人の一歩」(106頁)という言葉があります。この言葉も、ある日急に思いついた言葉で、何かから引っ張り出した言葉ではなかったのですが、編集段階で担当の編集者が調べたところ、何かの漫画のセリフとして、ほぼ同じ内容の言葉があったそうです。その漫画のタイトルもその時に聞いたのですが、今それを覚えていないほど、その漫画は僕にとって未知のものです。(そもそも漫画自体読みません。)

だからどこかでその漫画を読んで、その記憶が残っていて、自分の言葉と思い込んで頭に浮かんだというものではなく、全くの偶然で似たようなフレーズが思い浮かんだというのが真実です。同じ日本語で「言葉」にするのだから、このような偶然は数多くあるのだろうと思います。

ところでこの、「一人の百歩より、百人の一歩」という言葉を考えたのには、当然のことながら意味があります。

みんなで歩かないと、たどり着けない場所があります。ひとりだけたどり着いても、しょうがない場所があります。

どんなに優れたスキルを持っている人でも、1人でできることには限界があるからです。だから志を同じくする仲間と繋がることは大切なのです。「一人の百歩より、百人の一歩」には、そういう思いが込められています。

百人の一歩

僕たちにとって介護サービスは確かに仕事であり、業務です。しかし介護サービスを利用する人は、機械ではありません。感情を持った人間です。しかも人間の感情とは、複雑なもので、とらえどころがないものです。他人は、僕たちが良かれと思っておこなったことに、一律良い感情をもってくれるとは限らないのです。対人援助は、この複雑な感情をも包み込む懐の深さが求められます。

そうしないと人と人の間に零れ落ちる小さな涙を見逃してしまいます。そうしないために、人を見つめ続け、声なき声も拾おうとする不断の努力が求められます。そうしようとしない人には声をかけ、励まし、時には叱り、ともに歩んでもらおうという努力が求められます。そういう小さな勇気を持ち続ける必要があります。

見逃さない

介護に関連する職業は、誰かの心の中に咲く、赤い花のような存在になれる誇りある職業です。

しかし咲く方法を考えることなく、咲かない理由だけを探す人がいます。そういう人は、どこに行っても自分が誰かの赤い花になれない理由だけを見つけ、咲こうとする動機づけを見失います。

花は咲く場所を選びません。どんな土の上でも、どんな日当たりの場所でも、泥水しかない場所であろうとも、人目に触れる・触れないに関係なく、懸命に花を咲かせようとします。だから花は誰が見ても美しいのです。その美しさの陰には、大地にしっかり根を張るという強靭さがあることを忘れてはなりません。

今いる場所で、しっかり咲いてこそ、どこであっても咲ける花になるのです。別な場所で咲きたいときは、今いる場所にしっかり種を落として、新しい花の芽を残していきましょう。そうしないと花畑は広がりません。

あなたが誰かの赤い花になるだけではなく、別の誰かが誰かの赤い花になろうとすれば、その人がさらに咲く花を増やせば、花に癒される人々の数も増えるのです。小さなことを大きな愛で行う人が増えれば、幸せそうな笑顔で暮らす人々は、ずっと多くなるのです。

さあ、100年後にこの国の介護サービスの場が、真っ赤な花畑で埋まっていることを信じて、それに向かって共に歩きましょう。僕とあなたで愛をつなぎましょう。

愛する日々の、そんな思いの繋がるその先の世界を見たいから・・・。

そこが花を咲かす場所かもしれない

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