先週末は、北九州での講演。そこでまた新しい出会いがあり、新しい繋がりが生まれた。それが僕にとって何よりの財産である。今日はそんな出会い旅を紹介したいと思う。

今回は、社会福祉法人もやい聖友会さんが主催する第3回終活セミナー「いのちの繋活(けいかつ)セミナー 次世代に繋げるあなたの人生のあたらしいひとこま」へのご招待であった。

セミナーのタイトルに、終活と繋活と二つの言葉が示されているのには意味がある。終活とは、平成21年に週刊朝日が造った言葉であり、それは当初、葬儀や墓など人生の終焉に向けての事前準備のことを意味していたが、現在ではもっと概念が広げられ、「人生のエンディングを考えることを通じて自分を見つめ、今をよりよく、自分らしく生きる活動」のことを言うのだそうである。しかし終わりというイメージは、ポジティブなイメージではないため、研修補助金などが付きにくいそうである。それゆえに終活という言葉ではないタイトルをつけているそうである。

今回依頼された終活に関する講演の中でも、終末期の援助について僕は、『その人らしい尊厳ある生き方の延長線上に「看取り」という時期があるにすぎず、それは「生きる」という姿をいかに支えるかという意味があるもので、「死」の援助ではない。』と言っている。そのことを考えると、終活という言葉ではない、新しい言葉を考えてもよいのかもしれないと思ったりした。

さてセミナーの内容を少し紹介しておこう。

講演会場は、北九州イノベーションギャラリーという会場で、スペースワールドにほど近い場所にあった。(最寄駅もJRスペースワールド駅)

北九州イノベーションギャラリー
講演会場のほかに、ブースコーナーが別に設置され、介護相談・施設入居相談、遺影撮影、入棺体験、福祉世具、葬儀・お墓の相談、配食・介護食の相談、遺産・遺言・相続の相談がされていた。

講演は13:00〜で、最初に厚労省から東京海上日動火災保険に出向されている三好圭氏から、「地域包括ケアシステムの構築に向けて」というテーマで講演が行われた後、僕が「介護施設の看取り介護から考える終活〜最期の瞬間まで自分らしく生きたい」というテーマで講演を行った。

今回は一般市民の方も多く、僕のことなどどこの馬の骨かと思う人も少なくないと思えたので、最初に講師紹介動画「LOVE」で僕の心情・理念などを紹介した。

動画LOVE
講演
講演後は、僕と三好氏のほか、浄土真宗のお寺のご住職、終活をテーマにした演劇を上演している劇団の方、葬儀社の社員を経て行政書士の資格を取られて活躍されている方など、合計5名によるパネルディスカッションが、もやい聖友会の権藤理事長のコーディネートによって行われた。

シンポジウム
事前に集められていた質問の中で、「地域包括ケアによって、地域による格差が生まれるのではないか?」という質問があったが、これについて三好氏が、「ある意味、地域差は当然のことで、地域の実情によって何が必要とされているかを地域が主体となって考えて、新しいサービスを構築するのが地域包括ケアの目的のひとつ。法制化される地域ケア会議を、そのことに活用してほしい。」というような話があった。

この質問と答えからなんとなく考えたことであるが、この議論が常にかみ合わないのは、「地域格差」を心配する関係者と住民に対し、国の回答はそこの部分に直接答えず、別な角度から地域差を解説して終わっているからではないかと思う。

つまり関係者や住民の心配する「地域格差」とは、地域によるサービスの質と量の格差で、地域によって受けられるサービスに差があることによって、住民の暮らしの質にも差ができるのではないかという不安感の訴えである。これに対して国の回答する「地域差」とは、地域のニーズの差に合わせたサービス提供の差という意味でしかなく、方法論は違っても、それは地域や住民ニーズに沿った方法論の違いであり、基本的にそれは質の差ではなく、サービス提供の形の差にすぎず、住民の暮らしの質を低下させるような格差ではないという前提の回答にしか過ぎないように思えた。

しかし国が地域包括ケアシステムの肝(きも)であるとする、法制化される地域ケア会議にしても、実際にはサービスを抑制するだけの目的で、ケアプランチェックで終わってしまう地域と、個別の事例を検討し、高齢者が抱える課題を1つずつ解決していく過程を積み重ねていくことで、ケアマネジャーの自立支援を後押しする能力の向上に加えて、地域で埋もれていた課題の発掘や他職種によるネットワークの構築や、より有効な政策の形成などに繋げ要とする地域では、明らかな差が生ずるだろう。そしてそれは、住民の暮らしの質の差に直結していくことになるだろう。

地域包括ケアシステムや、それを理由にした予防訪問介護と予防通所介護の地域支援事業(新総合事業)への移管は、そうしたサービスの質と量の格差による、暮らしの質の格差であるところの「地域差」を拡大させることは容易に予測がつくが、それは地域の責任であり、あるいは生活者の自己責任とされ、国が感知するところではないという理屈が、地域包括ケアシステムによって生まれてくるといえよう。

さて今回の講演会場にも、たくさんの人々が受講者として訪れてくださり、熱気も伝わってきて、気持ちの良い講演とパネルディスカッションを行うことができた。お招きいただいた、もやい聖友会の権藤理事長はじめスタッフの皆さんには、この場を借りてお礼を申し上げたい。

講演の旅のもう一つの楽しみといえば、全国各地のおいしいものを食べながら、出会った人々とより深く交流でいることである。今回も北九州のおいしいものをいただきながら、おいしいお酒を呑んで、素敵な人々とのつながりができた。

オフ会2
オフ会オフ会3
オフ会4金曜日と土曜日の連日のオフ会では、権藤理事長に大変お世話になった。土曜日は、見たこともない大きな片口の酒器で、おいしい日本酒を何種類もごちそうになった。北九州に滞在中、おいしいものばかり食べており、いつもより食べる量も増えてしまって、体重もすっかり増えてしまった。今日からしばらく元の戻すためのダイエットが必要である。

ところで土曜日は別の出会いもあった。かねてよりフェイスブックでつながっている方から、その日別の会場で、「九州・山口三つ星介護セミナー」が行われており、参加者の方のオフ会が行われるので、2次会以降に合流しないかというお誘いがあり、少しだけご挨拶をしようと参加させていただいた。

「三つ星介護セミナー」とは、介護の質を高めようとする人々が作った任意団体の主催する定期セミナーとのことであるが、セミナー後のオフ会にも50人近いひとが参加していて驚いた。僕は彼らの3次会から合流したのであるが、参加者の方を見渡すと若い方が多くて、大いに盛り上がっている様子で、これらの人々が本当の意味で、人の尊厳を護る介護サービスを積み上げてくれるのであれば、介護の未来は決して暗いものにはならないだろうと感じた。それにしてもテンションが高くて、お年の僕は、すこし腰が引け気味であった。(笑)


北九州講演は、今回で4回目となるが、またいつか皆さんとお逢いする機会があるかもしれない。そういう日があることを信じて、その日またお逢いできることを楽しみに待っていようと思う。

今回生まれた新しいつながりを大事にしながら、未来を創る介護を考え続けたいと思う。おっと・・・、大事な画像を紹介するのを忘れていた。オフ会の締めはこれでしょう。

丸和前
20名以上の方とご一緒に締めのラーメンをいただくために、小倉ではここが定番という「丸和前」というお店で、豚骨ラーメンをいただきた。やっぱ豚骨ラーメンはおいしい。特に丸和前のラーメンは、本格派の豚骨ラーメンっぽくて、とてもおいしいラーメンだった。このラーメンを食べるためにも、また小倉に行かなきゃあなあ!!

最後に、今回北九州で出会ったすべての方に感謝の気持ちを込めて、下の画像の言葉をプレゼントしたい。この画像のもとは、講師の動画「LOVE2」(今回のセミナーで使った動画ではなく、別バージョン:7/11登米祝祭劇場 大ホールで行う、宮城県ケアマネジャー協会登米支部・登米市介護保険事業者連絡協議会合同研修で映す予定で作ったもの)のスライドの一つである。

誰かの赤い花

和歌山地域ソーシャルネットワーク雅(みやび)の皆さんが、素敵な動画を作ってくれました。ぜひご覧ください。


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