先週お邪魔して、開設時の職員となる皆さんに向けた講演を行った社会福祉法人愛生福祉会・特別養護老人ホーム祝の郷さんは、昨日がオープンの日であった。
今頃職員の皆さんは、新規利用者受け入れと、そこで生活を始めた利用者の皆様に対するサービス提供に汗を流していることだろう。
新設施設の職員の皆さんは、同法人の別事業所から移動してきた人や、宇和島市内や近隣市町村の別の介護事業所で働いていた方、初めて介護事業に携わる人など様々であると聞いていた。
それらの皆さんは今月9日より出勤し、備品搬入などの開設準備に携わるとともに、12日〜16日まで開設前研修として、「特定非営利活動法人 Uビジョン研究所」の本間 郁子理事長(特定非営利活動法人特養ホームを良くする市民の会理事長)の講義を受講されていたそうである。
同研究所の設立目的は、公式サイトによると「市民が人生最期のステージを尊重され、安心して安全に生きることができるために、施設で暮らす人達の人権を守り、また新しい時代とともに変化する市民の価値観・ライフスタイルに対応するサービスの質の向上と確保を支援するシステムを創っていくことを目指して設立された」と書かれているので、きっと利用者の尊厳と暮らしを護る方法を教えてくれたのだろうと想像する。
そして開設前の最終講義として、僕が17日(土)に13:00〜17:00まで4時間の講演を行ったというわけである。その講演には近隣た事業所の職員の皆さんも参加していたが、会場の前方に席が作られていた開設予定施設の皆さんは、新しい施設のスタートに向けて緊張しながらも、喜びにあふれた表情で講義を聴いてくれていたように思う。
講演後に職員さんからは、僕のブログ記事に嬉しいコメントをいただいている。
『菊地先生、ご講義ありがとうございました。わたしは、介護経験がなく祝の郷に採用していただき、この4月から研修の日々をすごしてきました。そして研修最終日に、先生のご講義を受けられたことを幸せに感じています。これからご利用者様が入居されますが、先生の教えを心に置いて、日々気づいたことを、皆と相談して、ご利用者様が楽しめて、安心して旅立っていかれるよう努力していきます。決して「云」うことをやめず、心の「鬼」を追い出し、介護職員として「魂」をもってご利用者様に接することができるように努めます。本当にありがとうございました。』
このように感じてくれて、メッセージを寄せていただけると本当にうれしい。どうぞ皆さんで心を合わせて、良い施設を作り、そこで暮らす人々の笑顔をたくさん作っていただきたい。
講演後、開設前の施設にお邪魔して見学させていただいたが、長時間の講義を受講した直後の皆さんが、お疲れであるのにもかかわらず、忙しく開設準備をしておられた。しかしその表情は、皆さん明るく、きらきら輝くような表情であった。
時として、介護の現場では「やる気」があって、志を高く持っている職員が、「介護の常識は世間の非常識」という状態にどっぷり浸かった先輩職員につぶされ、キラキラ輝いていた表情を失い、暗い沈んだ表情に変わり、介護という仕事の喜びを感じられなくなっていくことがしばしば見られる。「理想と現実は違う。」という言葉によって、当たり前の感覚を麻痺させられ、どれだけ多くの心ある職員がこの業界を去っていったことだろう。
そういう意味では、祝いの郷さんの職員の皆様は、理解ある法人経営者や施設管理者によって、開設前から全員がきちんとした教育機会に恵まれ、皆が目指すべき方向性がをきちんと示され、それを目指して業務に携わるという意思統一できているので、良い施設になるのではないだろうか。
そのために僕も、4時間という時間ではあるが、理想は幻想ではなく、たどり着かねばならない手の届くことができるゴールであり、そのために理念は高く持たねばならないと話してきた。しかしそれを実現するためにしなければならないことは、決して高度なレベルのケアを全員が提供し続けることではなく、当たり前のことを当たり前に考える感覚を失わず、世間の常識と施設の常識をイコールにして、顧客サービスとしてふさわしい態度や言葉で、求められる当たり前のケアサービスを提供することだとして、その方法を「具体論」としてお話ししてきた。少しでもお役にたてればうれしい。
そういえば同じように昨年8月、大阪市の社会福祉法人健成会・特別養護老人ホーム加賀屋の森さんが開設される折、そのオープン記念日に職員研修として講義を行ったことを思い出した。その時は、午前中僕の講義を受けて、午後から新規利用者の受け入れが始まるという、まさにオープン当日の講義であった。あの場所で僕の講義を受講してくれた職員の皆さんも、みんなきらきら目を輝かせて、とてもよい表情をしておられた。今頃その時講義を受講してくれた職員さんが、みなさん頑張ってよい施設を作ってくれていると思う。そういう仲間が全国にたくさんできれば嬉しい。
開設前の職員教育は非常に大事だと思う。そういう場所に講師としてお招きいただくことは、非常に光栄である。
そこでは既存概念から抜け出せない何ものも存在しないので、求められる新しいケアを最初から積み上げていくということが可能になる。しかしそれには土台となる高い理念と、理想を現実に替える具体的方法論が不可欠だ。こうしなければならないということは分かっていても、しなければならない具体的方法を教えないと、どこかで理想と現実は違うという理屈への逃避が始まるだろう。
だから僕は、介護の土台となる3大介護に求められる重要な基盤を具体論として必ず盛り込むようにしている。あとはそこに積み上げる工夫を、それぞれの施設や事業所の中で想像するヒントを与えればよいことだ。
職員のやる気をつぶさない、当たり前のこと、世間の常識と一致する介護の常識を明らかにして、その実践方法を教えるだけで替る者があるはずだ。介護イノベーションは、そこからしか始まらない。
そう信じている。そういう講義を求める方は、遠慮なく声をかけていただきたい。
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その現場で苦しむ介護職員は、ストレスを何かしらの形でぶつける。
しかし、ストレスをどのように発散させているのかも気づかない程、病んでいる職員。
表面上は、経営者に媚びを売り、・・・・・
この現状は、どのようにして改善できるのでしょうか?
職員の目線に降りて検討することも、入居者様にとっていい環境がつくれると思われますが、
経営ばかりに視点が行き、かわまわり、・・・・
経営は、本当に難しい。攻めるつもりはないが、・・・・
長期経営が安定している職場が、羨ましいです。