※今日は最初に、タイトルとは関係のない情報をお知らせしたい。「訪問看護で点滴を行い特別管理加算を算定する計画を立てているケアマネさんへ」で指摘していた問題が解決した。25年度までは、医師の指示を受けて介護保険の訪問看護で週3回上点滴を行った場合に「特別管理加算」を算定したとしても、医療機関は介護保険の訪問看護の指示では、「在宅患者訪問点滴注射管理指導料」を算定できないため、点滴材料費がどこからも出ず、実質介護保険訪問看護での点滴はできないという問題について、平成成26年度診療報酬改定にてC005−2 在宅患者訪問点滴注射管理指導料が介護保険での点滴注射でも算定できるようになり、問題解決した。これによってやっと介護保険の訪問看護でも、点滴に使う薬液等を訪問看護を指示した医師の所属する医療機関から支給してもらい、点滴を実施することができるようになった。(ただし25年までは、それはできなかったことに変わりはない。)以上、情報提供をしておく。

さて本題。

「地域包括ケアシステム」という言葉が、巷(ちまた)に氾濫している。

政党にしても、政治家にしても、「地域包括ケアシステムを創る」といえば、福祉政策に精通しているかのようなイメージを持たれるが、その言葉を口にする政治家が、地域包括ケアシステムとはなんぞやという質問に、適切に答えが出せるわけではない。だから政権与党となった政党のマニュフェストに、「地域包括ケアシステムの構築」という文言が書かれていても、何をどのように構築するのかという具体策は見つけられない。

しかも地域包括ケアシステムを構築するとういう理由をつければ、何でも許されるという雰囲気があり、お題目のように「地域包括ケアシステム」を唱えておれば、何か良いことをしようとしていると勘違いされる向きがある。

介護保険制度改正に向けた議論の中でも、給付削減や給付制限、利用者負担増に関する変更について、何故そのような変更が必要かという、その理由を求めたとき、「地域包括ケアシステムを構築するために必要とされる。」とすれば、すべて許されるというふうになっていないだろうか。

要支援者の訪問介護と通所介護を予防給付から外し、市町村の新総合事業に移行する理由が、全国一律のサービスや基準でない方が、市町村の実情に合ったサービス提供がされて、利用者ニーズに対応でき、それは地域包括ケアシステムが機能することに繋がるとされているのもどうかと思う。。

介護給付と予防給付と、市町村の総合事業がワンストップで繋がらないこと自体が、地域包括ケアシステムの阻害要因だと思うのは僕だけなのだろうか。

ところで、この地域包括ケアシステムを支える基礎的サービスとして「定時巡回・随時対応型訪問介護看護」は創設されたが、その意味は、このサービスによって「在宅介護の限界点を引き上げる」という目的があるということをご存知の方が多いだろう。

しかし在宅介護の限界点を引き上げて、重介護高齢者が一人暮らしを続けられるケースはさほど増えていない。重度の要介護者の場合、多くのケースで家族等のインフォーマルな支援者が実質、主介護者として存在し、そのことが在宅生活維持に繋がっているのであるが、それらの主介護者が、このサービスを諸手を挙げて受け入れているわけではないのである。

なぜなら、「在宅介護の限界点の引き上げ」とは、インフォーマルな支援者の限界点も引き上げるという結果になっているケースが多く、以前より介護負担が増していると考える家族等も出始めているという問題がある。

2月4日に厚労省は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスの事業所数を公表しているが、そこでは平成25 年12 月末現在の定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所数は391(一体型139、連携型257)で、前月末に比べ17 カ所増加した。また、保険者数は184(前月比4増)、利用者数は5,488 人(同381人増)となったとされている。

定時巡回・随時対応型訪問介護看護創設から1年半以上経っても、このサービスをわずか5.500人弱しか利用していない状況をみると、それが地域包括ケアシステムの基礎を支えるサービスだと言われても首をかしげざるを得ない。

前述したように、在宅介護の限界点を引き上げるために創設されたサービスによって、その限界点を引き上げられることに、インフォーマルなサービスを提供している人々が悲鳴を挙げているというケースも見られるのではないだろうか。

つまり「在宅介護の限界点の引き上げ」は、主介護者となっている家族のニーズとは、必ずしも合致していないという意味である。

そのことを鑑みると、定時巡回・随時対応型訪問介護看護が思ったように増えていない理由は、市町村の公募が遅れているからではなく、そもそもニーズが少ないからではないのかという実態が見えてくる。

要介護者を介護する家族は、夜間自宅に、鍵を預けた他人が自分が眠っている間に入ってきて、要介護者の世話をするという状況も望んでいないし、そのことで在宅介護の限界点を引き上げられたって困ると考える主介護者も多いのではないだろうか。

地域包括ケアシステムの構築に向けた議論の中で抜け落ちているのは、こうした家族の視点である。このアセスメントをもっときめ細かく行わないと、地域包括ケアシステムは、言葉としてのみ存在し、人の暮らしを良くするシステムとしては存在しないことになる。

さらにいえば、地域包括ケアシステムを構築するための、各市町村の取り組みに欠けているのは、住民参加である。このシステムを構築するための委員会や会議のメンバーに、地域住民を参加させていない自治体がことのほか多い。行政職員や、保健・医療・福祉の専門家だけで、このシステムを議論しても駄目なのだ。

地域住民の声を反映させ、実際に家族を介護している人の真のニーズを検証し、所属機関を超えた多職種協働の人間関係構築の方策を探りながら、行政職や専門職だけではなく、地域全体で構築すべきシステムが、本当の意味の地域包括ケアシステムであり、それがあってはじめて、地域の実情に合致した支援体制が構築でいるのではないだろうか。

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