厚生労働省は6日、要支援者(要支援1・要支援2)の有効期間を最長24ケ月に延長する検討に入った。
要介護認定期間については、厚生労働省令で定める期間内において有効(法第28条第1項)とされているが、現在の省令では要支援認定及び要介護認定について、次のように定めている。
(要支援認定期間)
• 新規申請 - 3か月〜12か月(6か月が標準)
• 区分変更申請 - 3か月〜12か月(6か月が標準)
• 更新申請(更新前:要支援1〜2⇒更新後:要支援1〜2) - 3か月〜12か月(12か月が標準)
• 更新申請(更新前:要介護1〜5⇒更新後:要支援1〜2) - 3か月〜12か月(6か月が標準)
(要介護認定期間)
• 新規申請 - 3か月〜12か月(6か月が標準)
• 区分変更申請 - 3か月〜12か月(6か月が標準)
• 更新申請(更新前:要介護1〜5⇒更新後:要介護1〜5) - 3か月〜24か月(12か月が標準)
• 更新申請(更新前:要支援1〜2⇒更新後:要介護1〜5) - 3か月〜12か月(6か月が標準)
今回要支援者の認定有効期間も、要介護認定と同様に更新認定について(更新前:要支援1〜2⇒更新後:要支援1〜2)、24か月まで期間を延長できるように省令を変更しようというものである。その理由は、認定業務にあたる市町村の負担軽減が狙いとし、2015年度からの実施を目指すものである。
要支援者の訪問介護及び通所介護については、2015年度から3年間の経過期間を設けた上で、段階的に市町村の総合事業への移行方針が示されており、それによる市町村事務も増えることから、認定事務負担軽減は、それともリンクしていると思える。
このことについては今日の北海道新聞朝刊でも報道されているが、その記事の中で、「市民福祉情報オフィス・ハスカップ主宰者」のコメントが次のように掲載されている。
----------------------------------------------
介護認定は「病気や障害による『介護の手間』にかかる時間を測定する」と行政から説明されてきた。個人の心身の状態と市町村の業務量とは関係がないし、軽度者の訪問・通所介護の市町村事業への移行も、利用者のニーズではなく行政の一方的な方針だ。そのために介護保険制度の基本である要介護認定の仕組みを変えていいのか疑問だ。(北海道新聞1/7朝刊より引用)
-----------------------------------------------
しかしこの意見はどうだろうか?訪問・通所介護の市町村事業への移行への疑問はともかくとして、要支援者の認定有効期間を延長することが、果たして「介護保険制度の基本である要介護認定の仕組みを変える」というような大げさなことなのだろうか?
僕はそうは思わない。認定期間延長とは、「認定期間を24ケ月にしなければならない」のではなく、更新認定の場合で、要支援認定〜要支援認定の場合、基本は12ケ月であることに変わりはなく、理由がある場合、その期間を24ケ月に延長できるということに過ぎず、認定審査会の審査のうえで、その理由づけとともに24ケ月を上限に延長される。仮に要支援〜要支援の更新認定が、機械的に24ケ月に延長されるようなことがあっても、被保険者は自らの意思で区分変更を申請できるものであり、延長された期間によって何らかの拘束を受け、不利益につながるものではない。
そもそも認定有効期間が要支援者と要介護者で違っている理由自体が明確な根拠がないものである。要支援者のみ状態像が変化しやすいというなにものもない。むしろ認定有効期間が本当に必要なのかということが議論されても良いと思う。僕は認定期間そのものをなくしても良いのではないかとさえ思っている。
なぜなら状態変化があれば、いつでも区分変更申請ができるわけであり、一旦決まった認定期間は絶対的なものではないからである。
まったく状態変化がなく、必要なサービスにも変化がないのに、認定期間があるがゆえに、その都度更新申請を行って、認定調査を受け、認定審査会の審査の上で判定されるというのは、利用者自身にとっての大きな負担であるし、財源論から言えば、随分無駄な費用がそこにかけられているように思えてならない。
「個人の心身の状態と市町村の業務量とは関係がない」というが、予測を超えた要介護認定申請者数の増加は、市町村事務を滞らせており、そのために介護保険法27条11項規定「認定審査は当該申請のあった日から三十日以内にしなければならない。」とされているにもかかわらず、事務作業が間に合わず、申請から三十日以内の審査判定ができずに、同法に定められた「当該申請に係る被保険者の心身の状況の調査に日時を要する等特別な理由がある場合には、当該申請のあった日から三十日以内に、当該被保険者に対し、当該申請に対する処分をするためになお要する期間(次項において「処理見込期間」という。)及びその理由を通知し、これを延期することができる。」という例外規定で対応する例が多発している。
これによって要介護状態区分(要支援状態区分)が確定しないまま、暫定プランでサービス利用せねばならないケースも多発しており、「改訂関係Q&A・vol2の52(暫定プラン)は机上の空論」で示したように、暫定プラン中のサービスに支障が出たり、サービス利用を控えたりせざるを得ないケースがある。
これは明らかに利用者にとっての不利益である。要支援者の更新認定期間の延長は、これらの不利益を多少とも軽減する効果はあるだろう。
「病気や障害による『介護の手間』にかかる時間を測定する」という「介護保険制度の基本である要介護認定の仕組み」とは、認定期間ではなく、要介護認定の仕組み=認定ソフトそのものである。今回これは変わっておらず、そう言う意味において北海道新聞に掲載されているコメントは的はずれであると言って良いだろう。
期間延長大いに結構である。
介護・福祉情報掲示板(表板)
「人を語らずして介護を語るな 全3シリーズ」の楽天ブックスからの購入はこちらから。(送料無料です。)
要介護認定期間については、厚生労働省令で定める期間内において有効(法第28条第1項)とされているが、現在の省令では要支援認定及び要介護認定について、次のように定めている。
(要支援認定期間)
• 新規申請 - 3か月〜12か月(6か月が標準)
• 区分変更申請 - 3か月〜12か月(6か月が標準)
• 更新申請(更新前:要支援1〜2⇒更新後:要支援1〜2) - 3か月〜12か月(12か月が標準)
• 更新申請(更新前:要介護1〜5⇒更新後:要支援1〜2) - 3か月〜12か月(6か月が標準)
(要介護認定期間)
• 新規申請 - 3か月〜12か月(6か月が標準)
• 区分変更申請 - 3か月〜12か月(6か月が標準)
• 更新申請(更新前:要介護1〜5⇒更新後:要介護1〜5) - 3か月〜24か月(12か月が標準)
• 更新申請(更新前:要支援1〜2⇒更新後:要介護1〜5) - 3か月〜12か月(6か月が標準)
今回要支援者の認定有効期間も、要介護認定と同様に更新認定について(更新前:要支援1〜2⇒更新後:要支援1〜2)、24か月まで期間を延長できるように省令を変更しようというものである。その理由は、認定業務にあたる市町村の負担軽減が狙いとし、2015年度からの実施を目指すものである。
要支援者の訪問介護及び通所介護については、2015年度から3年間の経過期間を設けた上で、段階的に市町村の総合事業への移行方針が示されており、それによる市町村事務も増えることから、認定事務負担軽減は、それともリンクしていると思える。
このことについては今日の北海道新聞朝刊でも報道されているが、その記事の中で、「市民福祉情報オフィス・ハスカップ主宰者」のコメントが次のように掲載されている。
----------------------------------------------
介護認定は「病気や障害による『介護の手間』にかかる時間を測定する」と行政から説明されてきた。個人の心身の状態と市町村の業務量とは関係がないし、軽度者の訪問・通所介護の市町村事業への移行も、利用者のニーズではなく行政の一方的な方針だ。そのために介護保険制度の基本である要介護認定の仕組みを変えていいのか疑問だ。(北海道新聞1/7朝刊より引用)
-----------------------------------------------
しかしこの意見はどうだろうか?訪問・通所介護の市町村事業への移行への疑問はともかくとして、要支援者の認定有効期間を延長することが、果たして「介護保険制度の基本である要介護認定の仕組みを変える」というような大げさなことなのだろうか?
僕はそうは思わない。認定期間延長とは、「認定期間を24ケ月にしなければならない」のではなく、更新認定の場合で、要支援認定〜要支援認定の場合、基本は12ケ月であることに変わりはなく、理由がある場合、その期間を24ケ月に延長できるということに過ぎず、認定審査会の審査のうえで、その理由づけとともに24ケ月を上限に延長される。仮に要支援〜要支援の更新認定が、機械的に24ケ月に延長されるようなことがあっても、被保険者は自らの意思で区分変更を申請できるものであり、延長された期間によって何らかの拘束を受け、不利益につながるものではない。
そもそも認定有効期間が要支援者と要介護者で違っている理由自体が明確な根拠がないものである。要支援者のみ状態像が変化しやすいというなにものもない。むしろ認定有効期間が本当に必要なのかということが議論されても良いと思う。僕は認定期間そのものをなくしても良いのではないかとさえ思っている。
なぜなら状態変化があれば、いつでも区分変更申請ができるわけであり、一旦決まった認定期間は絶対的なものではないからである。
まったく状態変化がなく、必要なサービスにも変化がないのに、認定期間があるがゆえに、その都度更新申請を行って、認定調査を受け、認定審査会の審査の上で判定されるというのは、利用者自身にとっての大きな負担であるし、財源論から言えば、随分無駄な費用がそこにかけられているように思えてならない。
「個人の心身の状態と市町村の業務量とは関係がない」というが、予測を超えた要介護認定申請者数の増加は、市町村事務を滞らせており、そのために介護保険法27条11項規定「認定審査は当該申請のあった日から三十日以内にしなければならない。」とされているにもかかわらず、事務作業が間に合わず、申請から三十日以内の審査判定ができずに、同法に定められた「当該申請に係る被保険者の心身の状況の調査に日時を要する等特別な理由がある場合には、当該申請のあった日から三十日以内に、当該被保険者に対し、当該申請に対する処分をするためになお要する期間(次項において「処理見込期間」という。)及びその理由を通知し、これを延期することができる。」という例外規定で対応する例が多発している。
これによって要介護状態区分(要支援状態区分)が確定しないまま、暫定プランでサービス利用せねばならないケースも多発しており、「改訂関係Q&A・vol2の52(暫定プラン)は机上の空論」で示したように、暫定プラン中のサービスに支障が出たり、サービス利用を控えたりせざるを得ないケースがある。
これは明らかに利用者にとっての不利益である。要支援者の更新認定期間の延長は、これらの不利益を多少とも軽減する効果はあるだろう。
「病気や障害による『介護の手間』にかかる時間を測定する」という「介護保険制度の基本である要介護認定の仕組み」とは、認定期間ではなく、要介護認定の仕組み=認定ソフトそのものである。今回これは変わっておらず、そう言う意味において北海道新聞に掲載されているコメントは的はずれであると言って良いだろう。
期間延長大いに結構である。
介護・福祉情報掲示板(表板)
「人を語らずして介護を語るな 全3シリーズ」の楽天ブックスからの購入はこちらから。(送料無料です。)
本日は、ノロウイルス対策等で消毒や掃除!
請求業務も無事終了し、一段落!
※介護認定期間の件ですが、
途中で、体調変化等あれば区分変更をかけるで、
支障はないように思われますが、・・・・
しかし、なんとなく?請求業務が面倒なのか?
区分変更は、月初めに申請する傾向がある様子?
その分、結果もでるのが遅くなり、必要なサービスが使用できないような気がします。・・・
月途中でも、遠慮なく区分変更を依頼する私は、嫌われているかもしれません・・・。
※本日も、介護保険調査に同行しました。
調査の時は、「シャキッ」としたり、「シッカリ」したりする方々ばかりです。
調査員の方々も熱心に聞き取りをして下さいますが、
「お願いだからいつもの状態の様子を見せて下さいね。」
と、毎回同行しながら、密に願っている私です。