表の掲示板で情報交換している中で、改めて人員欠如減算の複雑なルールが浮き彫りになったので、整理して考えてみたい。

人員配置基準については、省令で定められており、介護老人福祉施設の場合であれば、それは指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年三月三十一日厚生省令第三十九号)ということになる。

ここで規定された人員を満たさないでサービス提供した場合、それは人員配置基準違反となるが、違反することで介護報酬が減算される場合と、そうでない場合がある。

人員欠如減算の規定は、厚生労働大臣が定める利用者等の数の基準及び看護職員等の員数の基準並びに通所介護費等の算定方法(平成十二年二月十日 厚生省告示第二十七号)でサービス種別毎に定められ、老企40号等の解釈通知で、減算ルールが詳細に示されている。

そこで解釈通知・老企40号で短期入所、特定施設、介護保険施設の人員欠如減算ルールを確認すると次のように書かれている。

(5)人員基準欠如に該当する場合等の所定単位数の算定について
[3] 看護・介護職員の人員基準欠如については、
イ 人員基準上必要とされる員数から一割を超えて減少した場合には、その翌月から人員基準欠如が解消されるに至った月まで、利用者等の全員について所定単位数が通所介護費等の算定方法に規定する算定方法に従って減算され、 ロ 一割の範囲内で減少した場合には、その翌々月から人員基準欠如が解消されるに至った月まで、利用者等の全員について所定単位数が通所介護費等の算定方法に規定する算定方法に従って減算される(ただし、翌月の末日において人員基準を満たすに至っている場合を除く。)。

[4] 看護・介護職員以外の人員基準欠如については、その翌々月から人員基準欠如が解消されるに至った月まで、利用者等の全員について所定単位数が通所介護費等の算定方法に規定する算定方法に従って減算される(ただし、翌月の末日において人員基準を満たすに至っている場合を除く。)。

このように看護・介護職員の人員基準欠如減算と、 看護・介護職員以外の人員基準欠如減算のルールは異なっている。しかし厚生省告示27号に戻って考えると、減算対象となる職種については介護老人福祉施設の場合は、次のように示されている。

十一 厚生労働大臣が定める入所者の数の基準及び介護職員等の員数の基準並びに介護福祉施設サービス費の算定方法
ロ 指定介護老人福祉施設の介護職員、看護職員又は介護支援専門員の員数が次の表の上欄に掲げる員数の基準に該当する場合における介護福祉施設サービス費については、同表の下欄に掲げるところにより算定する。
指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年厚生省令第三十九号。以下「指定介護老人福祉施設基準」という。)第二条に定める員数を置いていないこと(当該指定介護老人福祉施設が一部ユニット型指定介護老人福祉施設である場合にあっては、当該指定介護老人福祉施設のユニット部分(指定介護老人福祉施設基準第五十一条に規定するユニット部分をいう。以下この号において同じ。)以外の部分について、指定介護老人福祉施設基準第二条に定める員数の介護職員又は看護職員を置いていない場合を含む。)。→指定施設サービス等介護給付費単位数表の介護職員及び看護職員の配置に応じた所定単位数に百分の七十を乗じて得た単位数を用いて、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の例により算定する。

以上のように人員欠如減算対象となるのは、「介護職員、看護職員又は介護支援専門員の員数」が規定を満たさない場合であり、そうであれば解釈通知[4] 看護・介護職員以外の人員基準欠如の対象職種とは、介護支援専門員だけということになる。

つまり相談員や栄養士は、この人員欠如減算対象職種ではないということになる。このことは介護報酬請求に必要となる「サービスコード表」を見ても明らかで、人員欠如減算に該当する請求コードは、「介護、看護職員又は介護支援専門員が欠員の場合」の請求コードしかないことがわかる。

しかしこの意味は、相談員や栄養士は配置しなくても減算しなくて良いという意味ではあっても、だから配置基準を守らなくて良いということではなく、減算ルールがないがゆえに、むしろ悪質と判断されれば、減算以上の罰則、例えば報酬返還という指導もありうると考えたほうが良い。

また減算対象の職種だから、減算しておれば配置しなくて良いというのが間違っていることは、解釈通知で
[6] 都道府県知事は、著しい人員基準欠如が継続する場合には、職員の増員、利用定員等の見直し、事業の休止等を指導すること。当該指導に従わない場合には、特別な事情がある場合を除き、指定又は許可の取消しを検討するものとする。

↑このように記されていることでも理解できるであろう。

ところで厚生省告示27号をよく読むと、同じ介護老人福祉施設の基準でも、ユニット型以外の施設(一部ユニット型施設を含む)とユニット型施設でも、減算ルールに違いがあることがわかる。

前述した告示27号十一のロは、ユニット型以外の施設(一部ユニット型施設を含む)の規定であるが、ここでは減算に当たる事由を「厚生省令39号二条に定める員数を置いていないこと、としている。

すると厚生省令39号二条は、
イ 介護職員及び看護職員の総数は、常勤換算方法で、入所者の数が三又はその端数を増すごとに一以上とすること。
ロ 看護職員の数は、次のとおりとすること。
(1) 入所者の数が三十を超えない指定介護老人福祉施設にあっては、常勤換算方法で、一以上
(2) 入所者の数が三十を超えて五十を超えない指定介護老人福祉施設にあっては、常勤換算方法で、二以上
(3) 入所者の数が五十を超えて百三十を超えない指定介護老人福祉施設にあっては、常勤換算方法で、三以上
(4) 入所者の数が百三十を超える指定介護老人福祉施設にあっては、常勤換算方法で、三に、入所者の数が百三十を超えて五十又はその端数を増すごとに一を加えて得た数以上

↑このように介護・看護職員総数が対利用者比3:1以上という他に、看護職員の員数も定めており、このどちらもクリアしないと人員欠如減算となる。

しかしユニット型介護老人福祉施設については、告示27号十一の
ハ 指定介護老人福祉施設の介護職員、看護職員又は介護支援専門員の員数が次の表の上欄に掲げる員数の基準に該当する場合におけるユニット型介護福祉施設サービス費については、同表の下欄に掲げるところにより算定する。

常勤換算方法で、入居者の数の合計数が三又はその端数を増すごとに一以上の介護職員又は看護職員の数を置いておらず、又は指定介護老人福祉施設基準第二条に定める員数の介護支援専門員を置いていないこと(当該指定介護老人福祉施設が一部ユニット型指定介護老人福祉施設である場合にあっては、指定介護老人福祉施設基準第二条に定める員数の介護支援専門員を置いておらず、又は当該指定介護老人福祉施設のユニット部分について、常勤換算方法で、当該指定介護老人福祉施設のユニット部分の入居者の数の合計数が三又はその端数を増すごとに一以上の介護職員又は看護職員の数を置いていない場合を含む。)。→指定施設サービス等介護給付費単位数表の介護職員及び看護職員の配置に応じた所定単位数に百分の七十を乗じて得た単位数を用いて、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の例により算定する。

↑このような規定しかなく、厚生省令39号二条の規定をすべてクリアせよとはされておらず、対利用者比3:1以上さえクリアしておれば、看護職員配置数が規定の員数を下回っても減算対象ではないことが示されている。

何故このような違いがあるかは謎であるが、法令上はこのようなルールであるということは疑いようがないわけである。
介護・福祉情報掲示板(表板)

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