全国6ケ所で行われる日総研セミナー「施設相談員に求められる役割・連携とマネジメントスキル」は、大阪会場と名古屋会場が終了し、残すところ仙台会場(1/25)、東京会場(1/26)、福岡会場(2/22)、岡山会場(2/23)の4会場となった。

このセミナーは、今年度始めて実施されたものなので、セミナー終了後に受講者のみなさんからいただいたアンケート結果を見て、ニーズに合致していない内容ではなかったかなどを判断しながらお話する内容を微調整していこうと思っており、1回目の大阪会場の受講者の方から会場で寄せられた質問や、アンケートの結果をもとに、名古屋会場では新たな内容を組み入れてお話した。当然そうであれば、大阪会場でお話した内容の一部は削っているわけである。

その名古屋会場のアンケート結果が昨日送られてきており、1月の仙台と東京会場のセミナーに向けて、内容を再修正しようと思っているところである。

しかしながら、皆さんの意見を見ていると、僕がセミナーの中で話した内容のうち、「時間をかけなくて良い点」というところでは、「すべて必要」という回答になっていて、「詳しく聞きたかった点」という質問には、様々な意見が出されている。

つまり僕が話を及ばせた部分については、どれも必要な部分であり、それは参考になったのだが、もっと触れて欲しい部分が別にあったり、触れた部分についても、もっと掘り下げた内容を聞きたかったりという意見があるということになる。

しかしその要求にすべて応えることは不可能である。なぜならそこには時間という制約があるからである。

同じ時間の中で、話す内容を広げれば、触れた部分を浅くしなければならないし、内容をじっくり掘り下げる部分を増やせば、話を及ばせる範囲を狭めねばならないというジレンマがある。僕に与えられた講義時間165分の中で話ができる内容には限界があり、今でも時間の制約で割愛したり、ファルは作っているが、深く触れずに、「この部分はあとで読んでおいてください」と説明できなかったりする部分があるわけで、どこを削って何を話すかはかなりギリギリのところで決断しているのである。

よって今話していることの上に、さらに別の内容を積み上げるというのは、セミナー時間が増えない限り不可能で、どうしても優先順位をつけた中で、削ってしまうものもあるということだ。

本セミナーは、10:00〜13:00までの3時間の講義(途中、休憩を15分入れ、賞味165分の講義)+質疑応答が13:30まで30分とっている。受講された皆さんで、講義中に触れられなかったもので、聞きたいことがある方は、30分という十分な時間をとっている質疑応答の際に、ぜひご遠慮なく質問してほしい。それはどのよう内容であっても構わない。出来る限り丁寧に答えたいと思っている。

さて、名古屋会場のアンケートの中に、「詳しく聞きたかった点」という項目があり、そこに書かれている内容は、そのまま質問になると思われるので、この場を借りて回答として僕なりの考え方を示したい。

(質問1)竹内先生の介護力向上について

(回答1)おそらくこの質問は、僕の講義の中で、個別のアセスメントのない状態で、食事以外に一律1.500mlの水分補給を推奨する国際医療福祉大学の竹内孝仁氏の理論を批判的に解説し、そのことが全国老施協の介護力向上講習として行われていることへの危惧を示したことに対する質問と思われる。僕自身はその講習を受けたことがないが、講習を受けた当事者が、僕のブログ記事のコメントや、読者には公開していない拍手コメントに意見を寄せてくれている。そこにはここ書かれていますね。あくまで参加者の主観的な感想ですけど。

竹内さんの検討会に出席しましたが発表者が竹内さんが怖くてなにも言えず言いなりになっているのはおかしい。私は反論しましたが、竹内さんも頭が固かったなー。』

講習会では毎回課題を提出して、進捗状況を報告・発表しますが、リウマチによる関節の変形や強い拘縮があって便座に座れない状態の方でも、「とりあえず座らせてみればいい」と言われ、水分1500ml以上摂取や必ず便器で排泄する事をあまり良く思わない家族がいらして、同意が得られていないケースもあると発表すると、「いちいち家族に同意なんて取らなくていい。うちはこういう方針だからやりますと入居時に伝えればいい」と怒られます。
何より講習会での怒号、罵り方が尋常でなく、内容もさることながら参加施設に言う事を聞かせるための方法も疑問


(質問2)地域とのかかわりを継続的にどのようにするべきか聞きたかった

(回答2)地域と施設と分けて考えるのではなく、地域の中の施設、地域の社会資源としての施設という視点から、利用者が普通に地域に出かけたり、地域の人が普通に施設に訪れることができるといったことを続けるための調整役として相談員がいろいろな方法を考えていく必要があるとお思います。(参照:地域に出るという意味

(質問3)ケアマネと相談員の境界は不要であるが役割分担を知りたい

(回答3)講義の中でお話したとおり、介護支援専門員と相談員の仕事を区分するのは不可能です。どちらもソーシャルワーカーであり、社会福祉園児技術の中で、「関連援助技術」に区分されるケアマネジメントは、本来であればソーシャルワーカーである相談員も使いこなすべき技術です。介護支援専門員という資格は、この中で福祉等関連業種の実務5年を経て、実務者試験に合格した有資格者という意味で、日本の介護保険制度で位置づけられ施設サービス計画等の作成作業や、それに関連した法令に精通したものとして、相談援助職の中のリーダーとなりうる有資格者という意味でしか括れません。(逆に言えば、講義で触れたように資格を持っていても、ソーシャルワークの基礎原理さえ理解していない人は、役に立たない)
しかし、施設サービス計画を立案する際のアセスメントは、介護支援専門員の有資格者が利用者に面接して実施するなど、法令上のルールで行わねばならない業務も定められていますので、きちんとアセスメントとマネジメントを伴う施設サービス計画作成実務を主管するのは介護支援専門員だけです。当施設では、このため相談員と介護支援専門員を兼務させていますが、それは相談援助職のリーダー(主任)という位置づけです。相談員は相談援助過程では対等な立場に位置づけますが、職制上は主任の指揮命令される部下です。また業務上は、ショートを相談員が、その計画も含めて主に担当しています。

(質問4)ベットコントロールや相談員業務の具体的なマネジメントについて

(回答4)質問の意味が効果的・効率的に稼働させるための管理ということでしたら、空床が生じないように待機順番が高い人のインテークなどは、できるだけベッドが空く以前に効率的に行うようにしています。少なくとも待機上位者数名には、常に入所意志の確認の連絡に努めています。

(質問5)専門的知識を身につける方法

(回答5)本や研修で学ぶことは大事ですが、学んだことを実証したり、自分の言葉に置き掛けたりする努力が必要と思います。また情報はたくさん手に入る世の中になりましたが、情報は貯めておくだけでは宝どころかゴミにしかなりません。いかに整理して使うかが問題です。僕のこのブログは自分が得た知識を貯めて整理して、自分の言葉に置き換えるためにツールの一つです。なお得た情報を鵜呑みにせず、それが正しいかどうかの根拠を考える癖をつければ、間違いなくスキルはアップするでしょう。

(質問6)看取りについて

(回答6)これはここのスペースでは語りきれません。是非僕の看取り介護講演を聴きに来てください。近直では来年3月14日(金)18:30〜20:30に行われる平成25年度施設ケアマネジャー研修の「人生の最晩年に関わる介護支援専門員の役割〜看取り介護を通じて考える」があります。

(質問7)相談員の職務中の注意点

(回答7)この答えは難しいですね。職務の性格としては、人一倍ガバメントとかコンプライアンスに敏感になっていないとならないし、コンプライアンスとは、法令遵守にとどまらず、社会的要請にも応えるという、フルセットコンプライアンスの視点が必要だし、職場の組織やルールを守ることも必要です。しかし何よりソーシャルワーカーとして、治療より援助。援助者中心ではなく利用者中心の視点から暮らしを作るという視点が求められるのではないでしょうか。

(質問8)モチベーションの上げ方

(回答8)誰かの赤い花になって、誰かを幸せな笑顔にすることを自身の幸福感と結びつけて考える人なら、その職務を忠実に実行し、あなたの目の前の誰かが幸せな笑顔になってくれることで、自然とモチベーションがアップするのではないでしょうか。

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