この問題は、平成26年度診療報酬改定にてC005−2 在宅患者訪問点滴注射管理指導料が介護保険での点滴注射でも算定できるようになりましたので、やっと解決しました。以下のブログ記事の指摘問題は解決です

2012年介護報酬改訂において、訪問看護で週3回上点滴を行った場合に「特別管理加算」として250単位加算算定できることになった。

この特別管理加算は介護保険訪問看護の加算費用であるから、介護保険訪問看護であっても、医師の指示があれば週3回以上の点滴を行うことは可能であるという意味でもある。そもそも要介護者等は、訪問看護も介護保険が優先されるために、特別指示書が出された場合か、厚生労働大臣の定める疾病に該当する場合にしか医療保険訪問看護は利用できない。点滴を行うようになったからという理由だけで、介護保険訪問看護が、医療保険訪問看護に変えられるということではないのである。

しかし「特別管理加算の点滴薬剤費用は誰が負担する」で書いたように、この際に点滴薬剤の費用はどこからも出ないため、点滴薬剤を訪問看護ステーションが負担するのであれば250単位の加算を算定しても訪問看護事業所は赤字になるし、指示を出す医療機関が薬剤を支給しても薬剤料も回路料も算定でいないために全額持ち出しということになるため、これを行うことは不可能ではないかと指摘した。

重複を恐れず、問題点を整理したい。

訪問看護師が点滴という行為を、訪問看護の中で行うことが合法化されたのは11年前に遡る。2002年9月30日付・厚生労働省医政局長通知「訪問看護における静脈注射実施に関するガイドライン」において「静脈注射も診療補助の範疇」とされ、訪問看護における静脈注射が行為として認められた。そして2004年4月の診療報酬改定で医療保険の訪問看護の指示を出した医療機関が算定できる費用として、「在宅患者訪問点滴注射管理指導料」が新設され訪問看護師による点滴を行った場合にも診療報酬が算定できるようになった。(あくまで点滴のみで、他の静脈注射はこの費用算定の対象にはならない。)

この場合、訪問看護を指示した医療機関では、在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定するとともに、薬剤料は別途算定できるため、指示を行った医療機関から訪問看護師に点滴薬剤が支給される。
(※ただし薬剤量はあくまで手技料とセットでしか請求できない費用であり、単独請求はできない。医療保険訪問看護の場合は、在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定した上で、薬剤料も上乗せ請求することとなる。)

しかしこれはあくまで医療保険の訪問看護のみの取扱いである。そして前述したように薬剤料や点滴に用いる回路代等は手技料とセットで算定できるもので、薬剤料の単独請求はできない。

つまり医療機関の医師が、介護保険の訪問看護の指示を出しても、在宅患者訪問点滴注射管理指導料 が算定できないため、薬剤料や点滴に用いる回路代等も算定できないのである。

そのため現状では、介護保険の訪問看護利用者に対して、医師が週3回以上点滴注射を行うように指示をした場合、指示を行った医師の所属する保険医療機関が薬剤料等を持ち出し負担しなければならないのである。

よって費用を持ち出してまで訪問看護での点滴を指示する医療機関はないのではないかと想像でき、実質的に介護保険訪問看護では点滴の実施は不可能ではないかと指摘したのが、先にリンク先を貼り付けた2012年4月4日の記事である。

このことは2015年10月25日の中医協資料でも「課題」として掲載されているところであり、その部分が以下である。

中医協資料
しかしこの算定ルールの矛盾に気がついていない介護支援専門員もいると思える。

訪問看護を居宅サービス計画の中に組み込んで、点滴が必要になり、介護保険の訪問看護指示書の中に週3回以上の点滴指示が出されたケースで、特別管理加算兇鮖残蠅垢觀弉茲函△修竜詆婀浜を行うこと自体は、居宅サービス計画として不適切ではないし、居宅介護支援費の算定にはまったく問題ない。

しかしこの時、点滴薬剤はどうしているのだろう?担当ケアマネは、介護保険訪問看護として点滴を指示する医療機関と、訪問看護ステーションに、薬剤料や回路料は医療機関の持ち出しとなることを確認しているのだろうか?

介護保険訪問看護で、週3回以上の点滴を行うように指示をした医療機関が薬剤と回路の費用を持ち出して訪問看護ステーション等に支給しているなら、それは問題にはならないが、この時に、在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定し、薬剤料も別途算定しているとしたら、これは診療報酬としては不正請求である。算定できていたとしても、国保連のチェック漏れですり抜けていると考えられ、その実態が明らかになったら報酬返還を求められることは間違いない。このことにはローカルルールは存在せず、都道府県の国保連の判断で取り扱いが異なることはない。

当然、その場合の責任は診療報酬算定ルールを正しく理解していなかった医療機関側に求められるものである。居宅サービス計画を立案し、給付管理しているからといって、その計画担当ケアマネジャーに責任が及ぶものではないが、場合によっては、医療機関から居宅サービス計画を立案しているケアマネに対し、「なぜ費用持ち出しになるような計画を立てたのか」という抗議の声が挙がらないとも限らない。そういう事態を未然に回避するためにも、点滴薬剤量の費用負担の問題は、事前に確認しておいたほうが良いのではないだろうか。

このことに居宅介護支援事業所の介護支援専門員は十分注意が必要ではないかと考えるのである。

なお中医協資料77頁には、
【課題】 ・在宅療養中の患者に点滴注射を行う場合については、医療保険の訪問看護を受けている患者であって、保険医の診療に基づき、週3日以上の点滴注射を行う必要を認めたものについて、在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定できる。
・介護保険の訪問看護を受けている患者も、医師の指示により点滴注射を実施している患者は一定程度いるが、在宅患者訪問点滴注射管理指導料は、介護保険の訪問看護を受けている患者に算定できない。
【論点】
・介護保険の訪問看護を受けている患者に対して、在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定出来るようにしてはどうか。
↑とされており、来年4月からの次期診療報酬改定時には、この算定が可能になって、介護保険訪問看護においても医療機関が持ち出しをしなくても点滴が実施できる可能性があることを付記しておく。

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