居宅サービス計画や、施設サービス計画を立案・作成している介護支援専門員であれば、利用者アセスメントを行っていないことはあり得ないことになっている。
当然、法令基準に沿ってアセスメントを行っているという介護支援専門員がほとんどだろう。
しかしアセスメントツールを使って、生活課題を抽出しているからといって、それが本当の意味のアセスメントになっているのか、僕は少々疑問を持って斜めに見てしまうことがある。
特に当施設併設の通所介護事業所に送られてくる居宅サービス計画の中には、なんでこんな計画内容になるのだろうかという疑問符がつく計画があり、アセスメントができていないのではないかと疑ってしまうものがある。
まず利用するサービスありきで、それにつなげるためのアリバイ作りにアセスメントツールを使っていると思われる計画内容が実に多い。本来それでは困るわけである。
今現在で言えば、多くの場合ケアマネジャーが行っているアセスメントとは、コンピューターソフトの操作でしかないという現状はないだろうか?
そこでは必要な情報をソフトに入力すれば生活課題が出てくるが、それはアセスメントツールを利用しながら生活課題を引き出しているということではなく、機械で自動的に出力された課題を鵜呑みにしている状態に過ぎない。それは本来の意味でのアセスメントとは言えない。
利用者の生活課題にもっと敏感にならないと、本当の意味で求められる暮らしの支援ができないのではないだろうか。そうあればアセスメントツールが生活課題を引き出すロジックをよく知り、どのような状態の、何が生活課題につながっているかということを意識しなければならないと思う。
この部分について言えば、アセスメントツールに対応したコンピューターソフトが存在しない時代から、MDSなどのツールを使っていた人は、紙ベースの作業で指定項目をすべて埋めた後に、定規などを使って手作業でアセスメント情報がどの生活課題につながっていくかを引き出していた経験を持っているはずである。そういう人は手作業の過程で、どの情報が生活課題のどの部分につながっているかをある程度理解できているはずだ。だから生活課題に繋がっているアセスメント情報の根本部分にアプローチする視点が自然にできていて、そこに対応できる社会資源をつなげることが行われている場合が多い。それらの人々が、優れた介護支援専門員と呼ばれていると思われる。
一方では、その生活課題がどうして引き出されたのかを、全く理解していないため、それを説明できない介護支援専門員が存在する。しかし生活課題が引き出されたロジックがわからない状態で、どうしてその課題を解決する社会資源の選択ができるのだろうか?大いに疑問である。
だからといって今から時間を過去に戻して、手作業でアセスメントを行いながら、そのロジックを理解するなんてことは、現実には不可能だろう。そうであれば、自分がコンピューターに入力した情報によって引き出された課題が、どのような過程で引き出されたのかを振り返り、それを解決することで本当に利用者の暮らしがよくなるかという別の思考回路を持つことが求められてくるのではないだろうか。
その時に役に立つ考え方の一つとして、「アローチャート」という思考の整理術があるのではないだろうか。
僕はこの考え方に、なかなか触れる機会がなく、勉強不足のまま何も知らずに来たのであるが、今年3月に、自著の出版記念シンポジウムを東京で行った際、オフ会に駆けつけてくれた横浜のケアマネジャーM氏と、その話題になり、「僕、その考え方がさっぱりわからないんだよね」といったところ、彼から「アローチャートでケアマネジメント〜相談援助者のための頭の整理術」(著者:吉島 豊録、環境新聞社)が送られてきた。
これを読んでなるほどと思ったことがある。
アローチャートという思考法は、アセスメントの中身を整理して、情報と課題がどうつながっているかを理解する方法であり、どうしてそのような課題となるのかを説明をできる手法であると思った。
非常に大雑把に説明するとすれば、アローチャートという図を描く意味は、客観的事実と主観的事実にわけて問題点等を整理し、その因果関係や相容れない関係をたどっていけば背景要因が明らかになり、それを阻害するものへのアプローチや、利用者の希望する状態にもっていくための資源というものが明らかになるというものだろう。この図を日常的に描けるようになれば、アセスメント情報と生活課題がどうつながっているかということが理解できるようになって、第3者への説明も可能になると思える。当然ここでは生活課題につながる背景要因が最も重要になってくるわけである。それを明らかにして背景要因をなくする、あるいは改善することでしか課題は解決しないからである。
悪書の典型である「四訂 居宅サービス計画書作成の手引き」(長寿社会開発センター)を読んで計画作成を勉強してしまうと、生活課題につながる背景要因が全く見えなくなるという弊害があるが、アローチャートは、この部分を論理的に明らかにして、課題に対応して結びつけるべき社会資源とは何かを考える上で、有効となる思考法であると理解した。
大事なことは、ケアプラン作成ソフトの使い方を知っている人が介護支援専門員ではないということだ。介護支援専門員がアセスメントと引き出された生活課題がどのようにつながっているのかを説明できない限り、その解決のために立てた目標や結びつけた社会資源等が有効なものであるのかという評価はできないといえ、どのような方法でも良いから、そのことを説明できる知識を得るべきである。
その一つの方法がアローチャートを使った思考法であるといえよう。
介護・福祉情報掲示板(表板)
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当然、法令基準に沿ってアセスメントを行っているという介護支援専門員がほとんどだろう。
しかしアセスメントツールを使って、生活課題を抽出しているからといって、それが本当の意味のアセスメントになっているのか、僕は少々疑問を持って斜めに見てしまうことがある。
特に当施設併設の通所介護事業所に送られてくる居宅サービス計画の中には、なんでこんな計画内容になるのだろうかという疑問符がつく計画があり、アセスメントができていないのではないかと疑ってしまうものがある。
まず利用するサービスありきで、それにつなげるためのアリバイ作りにアセスメントツールを使っていると思われる計画内容が実に多い。本来それでは困るわけである。
今現在で言えば、多くの場合ケアマネジャーが行っているアセスメントとは、コンピューターソフトの操作でしかないという現状はないだろうか?
そこでは必要な情報をソフトに入力すれば生活課題が出てくるが、それはアセスメントツールを利用しながら生活課題を引き出しているということではなく、機械で自動的に出力された課題を鵜呑みにしている状態に過ぎない。それは本来の意味でのアセスメントとは言えない。
利用者の生活課題にもっと敏感にならないと、本当の意味で求められる暮らしの支援ができないのではないだろうか。そうあればアセスメントツールが生活課題を引き出すロジックをよく知り、どのような状態の、何が生活課題につながっているかということを意識しなければならないと思う。
この部分について言えば、アセスメントツールに対応したコンピューターソフトが存在しない時代から、MDSなどのツールを使っていた人は、紙ベースの作業で指定項目をすべて埋めた後に、定規などを使って手作業でアセスメント情報がどの生活課題につながっていくかを引き出していた経験を持っているはずである。そういう人は手作業の過程で、どの情報が生活課題のどの部分につながっているかをある程度理解できているはずだ。だから生活課題に繋がっているアセスメント情報の根本部分にアプローチする視点が自然にできていて、そこに対応できる社会資源をつなげることが行われている場合が多い。それらの人々が、優れた介護支援専門員と呼ばれていると思われる。
一方では、その生活課題がどうして引き出されたのかを、全く理解していないため、それを説明できない介護支援専門員が存在する。しかし生活課題が引き出されたロジックがわからない状態で、どうしてその課題を解決する社会資源の選択ができるのだろうか?大いに疑問である。
だからといって今から時間を過去に戻して、手作業でアセスメントを行いながら、そのロジックを理解するなんてことは、現実には不可能だろう。そうであれば、自分がコンピューターに入力した情報によって引き出された課題が、どのような過程で引き出されたのかを振り返り、それを解決することで本当に利用者の暮らしがよくなるかという別の思考回路を持つことが求められてくるのではないだろうか。
その時に役に立つ考え方の一つとして、「アローチャート」という思考の整理術があるのではないだろうか。
僕はこの考え方に、なかなか触れる機会がなく、勉強不足のまま何も知らずに来たのであるが、今年3月に、自著の出版記念シンポジウムを東京で行った際、オフ会に駆けつけてくれた横浜のケアマネジャーM氏と、その話題になり、「僕、その考え方がさっぱりわからないんだよね」といったところ、彼から「アローチャートでケアマネジメント〜相談援助者のための頭の整理術」(著者:吉島 豊録、環境新聞社)が送られてきた。

アローチャートという思考法は、アセスメントの中身を整理して、情報と課題がどうつながっているかを理解する方法であり、どうしてそのような課題となるのかを説明をできる手法であると思った。
非常に大雑把に説明するとすれば、アローチャートという図を描く意味は、客観的事実と主観的事実にわけて問題点等を整理し、その因果関係や相容れない関係をたどっていけば背景要因が明らかになり、それを阻害するものへのアプローチや、利用者の希望する状態にもっていくための資源というものが明らかになるというものだろう。この図を日常的に描けるようになれば、アセスメント情報と生活課題がどうつながっているかということが理解できるようになって、第3者への説明も可能になると思える。当然ここでは生活課題につながる背景要因が最も重要になってくるわけである。それを明らかにして背景要因をなくする、あるいは改善することでしか課題は解決しないからである。
悪書の典型である「四訂 居宅サービス計画書作成の手引き」(長寿社会開発センター)を読んで計画作成を勉強してしまうと、生活課題につながる背景要因が全く見えなくなるという弊害があるが、アローチャートは、この部分を論理的に明らかにして、課題に対応して結びつけるべき社会資源とは何かを考える上で、有効となる思考法であると理解した。
大事なことは、ケアプラン作成ソフトの使い方を知っている人が介護支援専門員ではないということだ。介護支援専門員がアセスメントと引き出された生活課題がどのようにつながっているのかを説明できない限り、その解決のために立てた目標や結びつけた社会資源等が有効なものであるのかという評価はできないといえ、どのような方法でも良いから、そのことを説明できる知識を得るべきである。
その一つの方法がアローチャートを使った思考法であるといえよう。
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記事の通り、
情報収集→分析→ケアプランへと、つなげて考えることができます。
そうすることで、利用者へ、関係機関へ、きちんと「なぜ、このプランか」という説明ができます。
そして、その説明は、ケアプラン立案者(もちろん、利用者との協働作業の上で)である自分自身に対しての説明でもあります。
自分の仕事を、自分の言葉で説明できるようになる。
これが、アローチャートの魅力の一つです。