11/22のJS WEEKLY Vol403によれば、全国老施協は11 月20 日、田村憲久厚生労働大臣宛て意見書「通所介護と訪問介護における予防給付の総合事業への移行について(意見)」を、厚労省老健局の盒狂司高齢者支援課長、朝川知昭振興課長に提出したそうである。

その内容は、
(1)通所介護と訪問介護の予防給付サービスだけが市町村事業に移行することで、サービス類型や市町村により利用者が受けられるサービスに差異が生じ、要介護認定のあり方やケアプランの構築が極端に複雑化する懸念が生じる。そのため、こうした線引きに対し、明確な根拠をもって国民にわかりやすい制度説明をすること。
(2)市町村事業への移行によって、基準やサービス費用、利用者負担が市町村の裁量となり、地域格差の拡大やサービスの量・質の担保が懸念される。したがって、市町村の不作為により、要支援者の実質的な切り捨てにならないよう、事業者が適切に関与し、しっかりと介護予防・生活支援サービスの質を確保できるよう、明確なガイドラインを提示すること。
(3)認知症やリハビリに特化したサービス展開をしている通所介護事業者が多いことから、介護予防効果のあるサービスについて、介護報酬上で適切に評価すること。


これに対し、朝川振興課長は「国民に対してわかりやすい説明をしっかりとしていく」と回答したそうである。

僕が思うにこの回答は、意見は聞いておくよという程度の反応で、(3)については無視しているようにしか聞こえない。

この記事を読むと、老施協は予防給付の通所介護と訪問介護だけが切り取られて市町村の総合事業に移行することに対してほとんど降参状態に思える。しかし無抵抗では会員から突き上げがあるかもしれないので、アリバイ作りに意見書を挙げているようにしか思えない。

全国老施協は9/21にも老健局長と意見交換をしているが、その際手渡した文書において、介護予防給付の市町村事業への移行について
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∋後評価の徹底
ソーシャルワーク・コミュニティワーク的な体制づくり


以上の3点にしか言及していない。はなんのことかさっぱりわからないが、要は予防給付の市町村事業への移行について、全国老施協は最初から反対していないということである。この姿勢は、医師会などが最後までそのことに反対した姿勢とは対照的である。

結果的に医療系の予防サービスは、すべて現行どおり残されたという事実とともに、このことを我々はしっかり覚えておいて、全国老施協にも自身の「事後評価の徹底」を図ることを要求したいと思う。

ところで、現行の予防給付のうち、訪問介護と通所介護のみが市町村事業に移行されることは決定的であるが、そうなると市町村には、地域マネジメントという新しい機能が必要になる。しかし市町村自体に地域マネジメント能力が充分備わっているのだろうか?

実質それは地域包括支援センターの役割となるのだろうが、地域包括支援センターが市町村直営ではなく、複数の事業者に委託している市町村で、総合的な地域マネジメントを行って、地域包括ケアシステムを機能させるなんてことが本当にできるだろうか?

結論から言うと、それは無理だろう。地域包括支援センターを市町村の直営で運営している場合でも、いままでそんな機能を発揮したことがない市町村の方が多いのだから、移行期間で充分その機能を持つことが可能になるということはないだろう。そうであれば一部の地域を除いて介護予防のサービスの質は低下することは必然だである。

しかしそんな状況下でも、市町村の新総合事業をビジネスチャンスと見て、その参入を虎視眈々と狙っている企業も当然出てくるだろう。

通所介護が徹底的にいじめられる原因の一つには、「麻雀やカラオケをしているだけのレスパイトケア」に対して、税金と保険料を使う必要があるのかという疑問が投げかけられているのも事実で、市町村事業では、こういうサービスは、予防通所としてではなく、別のサービスを使ってもらい、サービス単価を低くするということが容易に想像されるであろう。それは既存のサービス事業者に任せるだけではなく、広く営利企業を含めた事業主体に市町村の総合事業を展開する門戸を開くという意味であり、大きな企業が総合事業の給付費用を獲得するために事業参入してくる構図も容易に考えられる。

市町村としても、新総合事業をボランティアという不安定な社会資源に任せるより、営利企業にその主体をになってもらうほうが安全だと考えるだろうし、そもそも新総合事業の担い手となるボランティアを養成する能力を持たない市町村の方が圧倒的に多いだろう。

つまり新総合事業の担い手は、地域住民などのボランティアではなく、大手営利企業が主体となるという構図が見えてくるわけで、既存の小規模事業者や、何もしない社会福祉法人などは、その荒波に飲み込まれていってしまうという構図も見えてくるわけである。

そこでは市町村の高い理念と、地域マネジメント能力がない限り、利用者の視点からサービスを評価する視点は徐々に失われていき、新総合事業利用者数が増えていく中で、財源は上限設定されていく可能性が高い新総合事業では、6期はともかく、7期以降にひずみが大きく表面化し、生活支援に支障が出て困窮する住民の姿が表面化していくであろう。

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