厚労省の公式サイトに、先週木曜日(11/14)に行われた、「第52回社会保障審議会介護保険部会資料」が掲載されている。

この中で、補足給付の見直しのイメージという図が示されているが、それは以下の図である。

補足給付
補足給付とは今更言うまでもないが、介護施設に入所する低所得者に食費や居住費を補助する制度である。この見直しに関して、イメージ図では資産要件,陵唾金の他に、資産要件△箸靴董不動産資産が一定額以下・固定資産税評価額で2000万円(公示価格等で約3000万円)以上の不動産を本人の申告及び固定資産税の情報で把握し、不動産を担保に貸付し、死亡後に資産から回収する案を示している。

しかしこの資料が提出議論されたその当日、報道機関各社は一斉に「補足給付の見直し案から不動産要件を取り下げる方向で検討に入った」と報道している。

その理由は、不動産はすぐに現金化することが難しいため、希望があれば不動産を担保に補足給付に相当する額を貸し付けて、死後に回収する仕組みをつくると提案していたが、介護保険を運営する市町村が「仕組みの実効性が疑わしく、事務負担も大きい」と反発していたためとしている。

ということは、14日の部会までに取り下げ方針が決まっていたのに、資料の修正が間に合わなかったということだろうか?委員のひとりである結城先生などは当日、「預貯金については事務局案に賛成である。世帯の夫婦のこととか、そういうことに関しても事務局案でよいと思う。宅地などの資産勘案は、従来から申し上げるとおり反対である。」という意見を述べているが、無駄な指摘だったということだろうか?

しかし事務局の説明では、「不動産の対象範囲から農地、林地を外し、まず、宅地を対象に」という提案がされているし、「不動産担保貸付の事業化について引き続き検討すべき課題」という資料の説明では、不動産担保貸し付け事業は現状事業化が困難で、引き続き検討」としているので、14日の共同通信社等の各社報道とはニュアンスが違っているように思えてならない。

この部分は、今後注目していかねばならないだろう。

預貯金については、そのまま案が通りそうだが、イメージ図では補足給付の対象外とする預貯金の額は、単身で1000万円、夫婦で2000万円程度を想定している。その上で、預貯金、有価証券等の額を、通帳等の写しと共に申告させ、必要に応じ市町村は金融機関へ照会可能とさせ、不正受給に対するペナルティを設けることにより、適切な申請を促すとしている。

介護保険部会の過去の議論では、申告という方法で正しく預貯金が把握できるのか?把握できなければ正直者が損をするという事態になりかねないという意見が示されていたが、このことについて資料では、「現在、預貯金等の金融資産を網羅的に把握できる仕組みはない。」、「番号制度が施行されても、金融機関等の口座や配当・譲渡益等の名寄せを行うことは現在のところ予定されていない。」とし、既に国会で承認された国民総背番号制度でも、預貯金の額を正確に把握することはできないと指摘している。

しかし同時に、「このため、預貯金等の勘案については、正確に把握する仕組みを前提条件とするならば、当面実施の目途は立たないこととなる。自己申告の公平性への批判はあるが、何も行わずに格差をそのまま存置して保険料負担者の負担を増大させるよりも、現在可能な手段を用いて格差の大きい高齢者の世代内の費用負担の公平化を可能な限り図っていくべきではないか。」としている。

預貯金を隠して給付を受けるという不公平より、預貯金という資産があるのに補足給付をうけるという不公平のほうが問題であるという指摘であろう。

財源状況が厳しい中で、後期高齢者の数が増え続けて社会保障費が増え続ける状況では、補足給付という低所得者補助に預貯金を勘案した支給ルールを取り入れることはやむを得ないというところであろうか。

結局のところ預貯金の資産把握は、申請によるもので、正しい申請を担保するのは、市町村からの金融機関への照会と、不実な申請が明らかになった場合のペナルティ(加算金の規定を創設し、補足給付の虚偽申請者には、こうした加算金を課す)とする方向である。

しかし預貯金といっても、金融機関に預けていないお金は把握しようがないし、そもそも申請する必要もないということになる。そうであれば一定の預貯金がある人は、今後施設サービスを利用申請する前に、預金額が一定の金額に達したら金融機関に預金せず、タンス預金など現金で貯めておくことが考えられる。

例えば単身世帯の人が補足給付の申請を行う直前に預金額が990万円となるように預金を引き出し、引き出した現金を手元に置いておいても、そのことは狡いとか汚いとか非難されようとも、それは不正申請ではなく、ペナルティの対象にはならないのである。そう考えると間違いなくそうしたタンス預金は増えるだろう。

そうなると、それを狙った振り込め詐欺的な犯罪、高齢者宅のタンス貯金を狙った窃盗などの犯罪が増えることが容易に予測される。そうした面でも我が国の近い将来は、荒廃した光の見えない社会であると思えてならない。

こうした問題は性善説で片付けられない問題なのだ。しかし介護保険部会ではこうした議論は全くされないのだろう。

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