今日のブログ記事は、先週末の柏市講演&名古屋市講演で撮りためた写真画像を使って記事更新しようと思ったが、画像ファイルを保存している媒体を家に忘れてきてしまったため、予定変更が必要になった。その画像を使った記事は、あらためて明日にでも紹介するとして、今日は何を書こうか迷いながらPCに向かったところである。

先週金曜日に書いた「秘密保持を勘違いしている登別市のケアマネの実例」にいくつかのコメントが寄せられている。

これを読んでわかるように、大いなる勘違いをして責任放棄しているケアマネは全国各地にいるようである。

介護支援は多職種協働のチームケアが基本である。それなのに必要な個人情報を適切にチームメンバーに送らないとされれば、機能不全に陥ってしまわざるを得ない。そうであるにもかかわらず個人情報保護という理由で必要な情報が適切に提供されないことが当然だと思ってしまうケアマネは、その状態で適切な支援チームが組めない弊害を法律のせいにしたがる。個人情報保護法があるから仕方ないと言っているケアマネが存在する。

しかし個人情報保護法とは、果たして個人情報を手に入れた事業者が、それを決して漏らさないために定められた法律なのだろうか?必ずしもそうではあるまい。

個人情報保護法の「第一章・総則」には以下のような法文が書かれている。

(目的)
第一条  この法律は、高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることにかんがみ、個人情報の適正な取扱いに関し、基本理念及び政府による基本方針の作成その他の個人情報の保護に関する施策の基本となる事項を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めることにより、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。


このように、この法律は「個人情報秘匿法」ではなく、あくまで「個人情報の有用性に配慮した、個人の権利保護」が目的なのだ。

つまりこの法律は、業務上知り得た個人情報を秘匿することを目的としたものではなく、その情報を活用する際に、利用者に説明して同意を得て使うなどの、事業者の義務と適切な運用方法を定めた法律であるといえるものだ。

ということは、先日の記事で指摘したように、基準省令において適切な個人情報の共有ルールを定めているにもかかわらず、それらを無視して、必要な情報をサービス担当者会議等で提供しないケアマネジャーは、個人情報保護法の趣旨を全く理解しておらず、むしろ「個人情報の有用性に配慮した、個人の権利保護」を侵しているという意味において、何もしないことで法律違反を犯しているという理屈も成り立ってくるかもしれない。

どちらにしても、ソーシャルワーカーとして暮らしを守るべきケアマネが、利用者から得た個人情報をチーム全体で活用できるように、利用者や家族に同意を得る努力もしないことは、怠慢でケアマネとしての職務を果たしていないという謗りを受けても仕方ないだろう。

ケアマネが得た情報を、居宅介護支援事業所内から一切出さずに、同じ情報をそれぞれの事業所で得るように強いることで、複数の事業所より介護サービスを受ける利用者や家族は、何度も同じことを聞かれて同じことを話さねばならないという本末転倒な状態に置かれる。そのことを「やむなし」とするケアマネがいるならば、それは対人援助の専門家としては失格である。そのことをおかしいと思わないケアマネは、そもそも対人援助に向いていない。感覚麻痺もいい加減にしろと言いたい。

個人情報を守るだけではなく、適切な活用、個人情報の有用性への配慮が同時に考えられなければならないのである。介護サービス事業者の決定という大事な場面で、個人情報保護を理由にして、利用者の住所を示さずに事業者にサービス可否を決定させようとするケアマネが守っているものは、個人の情報ではなく、自らの身でしかないといえよう。

自己保身のために、「個人情報保護」とか、「守秘義務」とか、「秘密保持」とかいう言葉を使うなと言いたい。

登別市には、「のぼりべつケアマネ連絡会」という組織があって、ほぼ毎月勉強会を開いているのだから、こういうことも少しは勉強したほうが良いのではないか。自分たちの仕事の根幹に関わる事柄の理解も出来ていない状態で、その上に何の知識を積み上げても意味はなく、ケアマネジメントの根幹に関わる、正しい情報保護と伝達のあり方を知らないで、ケアマネジメントに一番必要とされる「調整」なんてできるはずがないのだから。

なお個人情報保護法では、個人情報取扱事業者が、利用者の同意がなくとも個人情報を第3者に提供することができる例外規定を第16条に定めているが、その中には
・人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
・公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。


以上の内容が含まれていることを付記しておく。

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