北海道の短い夏もいよいよ本番だ。
最近はこの国全体の気温が上昇して、道内でも35度とかいう気温を記録する地域も珍しくなくなっているが、緑風園の所在地域は、そこまで気温は上がることはまずない。30度に達する日も数日である。そう言う意味では、熱波の地域よりも過ごしやすい夏と言えるのかもしれない。
寒さが厳しい冬に外に出る機会が少なくなる緑風園の利用者の皆さんにとって、この季節は外に出て、地域の一員として様々な地域の息吹に触れる絶好の機会である。
緑風園は多床室が中心の100名定員の既存型・広域型特養であるが、ケアの単位を4つのグループに分けて、それぞれのグループが自主独立のサービスができるように様々な工夫をしている。外出支援もそれぞれのグループ単位で、職員が利用者の希望を確認したり、声にならないニーズをできる限り探し出して、それぞれの方法で外出支援を行っている。
それらの支援は、場合によっては突発的にその日のうちに決められ、安全確認を行った後、即実施することもあるが、あらかじめ企画書によって決済を受け、計画的に実施される外出支援が多い。予算や人的配置が伴うからである。
どちらにしても、それは2〜3人の小グループで行われるもので、二桁以上の多人数で外出するということは、バスドライブ以外はほとんどない。
今日の午後からも、緑風園から車で5分もかからない場所にある、「登別伊達時代村」というテーマパークに、2名の利用者が職員の付き添いで出かける予定である。幸い今日は晴れている。しかし昼になっても気温は20度にしか達していないので、上着を着ていかないと肌寒いかもしれない。朝礼では移動の際の安全運転と、熱中症に注意するように話をしたが、後者の方の心配はいらないようである。
明日、土曜日の外出企画も昨日のうちに挙がってきた。
車で10〜15分で着くことができる登別漁港への釣りの企画書である。
昨年も釣りの企画書の記事をこのブログで紹介したことがあるが、その際の利用者の方とは違う方が今回初めて釣りを楽しみに出かける企画になっている。娘さんが同伴されるが、これは面会に来た折に、長時間の外出支援も出来ることを知った家族が、ぜひその方と一緒に釣りを楽しみたいと希望されたことが、今回の外出支援のきっかけになっていると聞いている。
たった一人の利用者のために、4時間近くの時間を費やして、勤務職員が一人つきっきりで対応することは不平等ではないかと指摘する人がいるが、平等とは機会均等ではなく、必要なサービスを、必要な人に、すべからく提供するということなのだから、ひとりひとりの希望やニーズに対応するときに、機会均等を唯一の価値観にして考えても始まらない。そういう価値観からしかものを考えられない職場では、できることよりできないことから物事を考えるようになり、結果的に何もできない、何も変わらないという場になるであろう。
すべてのことを最大限にできるとは限らないが、こういうことができる限り、ほかの人の別なニーズが現れてきた時にも、そのニーズに寄り添う方向から、職員は物事を考えるようになり、それがサービスの向上につながっていくのではないかと思っている。
1しか出来ていない職場で、10までたどり着きたいと思った時に、今は2までしかできないからといって、3にする努力さえしないのであれば、その職場は2さえもしなくなるだろう。その通信簿は永遠に1のままである。今は2しかできないけれど、いつか3ができるように、2をし続け、3を目指す職場では、いずれ10までたどり着く可能性があるだろう。今すぐに全部できなくとも、一歩一歩が大事なのである。
そして今一番大事なことは、明日の天気がどうなるかということだ。晴れたらいいな。○○さんの笑顔のために。
介護・福祉情報掲示板(表板)
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良い企画ですね。明日の天気が晴れるといいですね。
「平等とは機会均等ではないこと」 その通りだと思います。私も相談員時代、「不自由な体になり、もう何年もジンギスカンを食べていないなぁ」と話されていた方に、ジンギスカンパーティを企画したことがあります。最初は、1人だけのために行うのは不公平との批判もありましたが、ご家族や一緒に食べたいと話す利用者さんと共に、施設の中庭で行いました。また、ケアプランにも明記し、定期的に企画するようにしました。
不公平と話す職員からは、他の利用者が羨ましがると言われましたが、私の狙いはそこにありました。
きっとこれまでだったら我儘を言っているとしか言われなかったでしょう。でも、今の施設はそうじゃないんだということを職員にも利用者にも見せたかったのです。
実行可能な望みは叶えてあげたい。1対1対応が当たり前のようにできる施設でありたいです。
masa様とは明日花巻空港にてお目にかかることになります。明日のご講演よろしくお願い致します。