徳島県での初講演は、徳島県介護福祉士会総会のあとの、特別記念講演として行われた。テーマは、「これからの介護に求められるもの〜誰かの赤い花になるために」である。

徳島県といえば、全国老施協顧問の中村参議院議員が理事長を務める社会福祉法人・建祥会のお膝元の地域だから、介護先進地域と言えるだろうか。しかも老施協が推進する「科学的介護」が実践されている地域だろうと考えると少し緊張した。

徳島県介護福祉士会・会長の田村氏も、建祥会に所属しており、中村議員の秘書を勤めているスーパーマン。すごい人であるが、諸事情により、僕は「タムタム」と呼ばせてもらうことにした。田村さん、嘘です。ごめなさい(笑)

講演に先駆けて9:30〜行われた総会での田村さんの冒頭挨拶でも「科学的介護」という言葉が使われていた。

僕の講演でお話する介護の方法論は、根拠に基づいた理論的な裏付けもあるものであると自負しているが、一般的にイメージする、「科学」とは少し異なる方法論だから、ここを科学的根拠=エビデンスを構築できる方法論というふうに理解してもらう必要があるかもしれないなと考えたりした。どちらにしても意味を取り違えて理解されないように注意しなければならないなと思いながら、講演に備えていた。
徳島県介護福祉士会総会
9:30〜10:00までの予定で行われた総会には、約60名の会員の方が参加されており、僕は会場外で待機していた。

10:00〜120分間の予定で行われる僕の講演会は、会員以外の方も参加可能なオープン講演であるということで、会場の席は、寺子屋方式で90席ほどが用意されていた。

しかし総会が終わる時間に近くなると、受付にオープン参加の非会員の方が続々と詰めかけて、結局、用意した席では足りなくなり、事務局の方々は、慌ただしく椅子席を用意していた。

講演受講者の方は、介護福祉士だけではなく、介護福祉士養成校の教員や生徒の皆さんも数多くおられた。また一般市民と思しき方も何人か参加しており、受講者の皆さんすべてが理解できる、求められる介護の本質を、実践論としてわかりやすく話さねばならないと考えながら、講演に備えた。

僕の講演を聴きに来てくださる人の中には、実際に介護サービスの職業に従事している中で、心の中に雲がかかって本当のことが見えなくなっている人たちが少なからず居られる。その人たちは、雲間の間から差し込む光のありかが見つけられないでいたりする。

深い闇の中でもがく人にも、夜明けのこない夜はない。しかし夜明け前が一番暗いのである。その時に、深く暗い闇に傷ついて、朝日が差し込んで、青空が広がっていることにさえ気がつかいない人がいる。夜が明けても空が真っ黒な雲に覆われて、夜と同じ闇のように感じている人がいる。

そのために僕は、その人たちの雲を払えるようなヒントになるお話をしたいと思っている。でもヒントになることは、その人たちが理解できる具体例でなければならない。実践できる具体策を示さない限り、雲間の間から差し込んだと思える光は、幻想の光でしかなくなるからだ。だから僕は、自分の施設の職員が実践していること、取り組んでいることを中心にした、難しいことではない当たり前のお話をする。当たり前を積み上げる先に、我々が係る高齢者の方々の、どのような暮らしが実現するかを具体的に明らかにする。そこに存在するであろう真実の笑顔が、何によって生まれるかを話している。

だって僕は信じているんだ。人の胸の奥にある青空を・・・。だから僕は、その青空を見つけることができるヒントを示したいと思っている。それだけだ・・・。

今回、徳島で僕の講演を聴いた方々は、どのような感想を持ったであろうか。講演後に多くの方々に、力になったというありがたい声をかけていただいたが、すべての受講者が、自らの胸深くにある青空に気がついてくれれば嬉しいと思った。受講者の皆さんにそんな思いが届けば良いと思った。それが伝われなかったとしたら、それは僕の力不足である。

どちらにしても、日曜日の貴重な時間に会場においでくださった方々には、あらためてここでお礼を申し述べたい。受講してくれたみなさん、ありがとうございました。

ところで、今回の徳島入りは、ハプニングから始まった。

日曜午前中に講演を行って、その日に北海道に戻らねばならなかったため、前日の土曜日に徳島入りしたが、新千歳空港から徳島への直行便はないため、羽田経由で向かうことになる。ところが新千歳発の便で、乗客の数が合わないというトラブルが発生、出発が1時間以上遅れ、羽田からの乗り継ぎ予定便に間に合わなくなった。航空会社の問題なので、他社の徳島行きの便に振り替えてくれたが、徳島入りする時間が、当初予定より2時間遅れの19:00となった。当日講演でなくてよかったと胸をなでおろした。

今回事前連絡などでいろいろとお世話になったのは、老健・うだつの三波施設長である。その三波施設長が、空港まで迎えに来てくれており、会場であるホテルグランドパレス徳島にチェックイン。
ホテル
綺麗なホテルの、ツインルームがリザーブされていた。勿論、ここにひとりで泊まるわけだが、二人分のスペースと、備品を使えてプチ贅沢感を味あわせていただいた。感謝である。

チェックインを終えた後、歓迎オフ会ということで徳島市の繁華街へ。
徳島市秋田町
画面右下の、丸刈り頭で後ろ姿の方は、長崎のMr.Mさんとそっくりであるが、彼ではなく、今回現地で大変お世話になり、フェイスブックでもつながっている、徳島県社協の木村さん。
よのぜんよのぜん2
一次会は、日本料理よのぜんさんというお店。
徳島県介護福祉士会事務局のみなさん
乾杯前に事務局の方と記念撮影。みなさん、介護施設の施設長や介護福祉士養成校の主任クラスの方であるが、若い人が多くなった。志の高い若い人達が増えてくれるのが一番頼もしいことである。

それでは徳島の味に舌鼓ということで、僕はいつものようにハイボールをいただきながら、美味しい料理をいただいた。
お造りほか
お造りと、胡麻豆腐。お造りの中央に鎮座している緑色のものは、徳島特産の「すだち」。徳島の方々は、ともかく色々な料理にスダチをかけて食べられる。ぼくは今まで、お刺身に柑橘類を合わせるというのは、ポン酢で食べるふぐ刺しなどしか経験がなかったが、マグロ刺しとか、しめさばとかにもスダチをかけて食べるのが普通のようである。しかもこれが結構いけるのである。(※ちなみにホテルの朝食バイキングには、冷たい冷麦があったが、そこにもスダチが。爽やかな酸味が非常によかった。)

肴いろいろ
焼き物や、揚げ物など少しずつ肴が盛られたお皿にもスダチが。皿の料理全てにマッチして美味しかった。ということで、徳島の食文化を、『スダチル食文化』と名付けよう。

鰹塩たたき
カツオのたたきといえば、高知というイメージだが、徳島で食べたカツオの塩たたきもなかなか美味であった。

はも
ハモといえば、京都のイメージであるが、実は京都のハモも徳島産が多いほど、徳島はハモの特産地であるということ。知らなかった。それにしても見事に骨切りされた美しい身である。美味しそう。

はも梅肉ソース山芋の海鮮あんかけ


鱧は梅ソースでいただいた。さわやかな美味しさ。右は山芋の海鮮あんかけ。

鱚と銀杏の天ぷら山芋と鯛の田楽
鱚(きす)と銀杏の天ぷら(左)にも勿論すだちをかけて食べた。右は、山芋と鯛の田楽。甘めの味噌が料理全体のアクセントになった。

鯛めし
締めは鯛めしと、鯛の味噌汁。味噌汁はだしが効いていて旨い。鯛めしも上品な美味しさ。しかし僕は、このあと徳島ラーメンで締める予定があったので、少し腹に余裕を持たせるため、飯は半分のみいただいた。少しもったいなかった。

その後、2次会で水割りを軽く?飲んで0:00を超えた時間に、いよいよ締めの「徳島ラーメン」。全国的な知名度はまだまだかもしれないが、徳島でしか食べられない特徴のあるラーメン。人気店「東大前」を目指したが、0:00を超えているのに長蛇の列ができており、行列に並ぶのが嫌いな僕としては、そこはパスさせていただいた。なおこのエピソードは、翌日の講演で「行列を作るケアは見直そう」という中で、しっかりお話させていただいた。

そこでやってきたのが
まるたか
まるたかさん。勿論、徳島ラーメンを注文。一次会で食べたご馳走がまだお腹に残っていたので、並盛りを注文。
徳島ラーメン
徳島ラーメンの特徴は、味の濃い甘辛いようなスープ。この店は行列が出来ていた店よりマイルドな味だそうである。店によっては生卵をスープに溶いて食べるようであるが、ここは玉子なし。和歌山ラーメンを濃くした味というのにも近いような、遠いような・・・。ともかくほかで食べられないスープだなあ。チャーシューではなく豚バラ肉を甘辛く煮た具がトッピングされているのも特徴である。麺は九州ラーメンのように、細麺ストレート。締めの量としてはちょうどよく、完食した。旨かった。ちなみに、帰りの徳島空港で、同じく「徳島ラーメン」を食べたが、こちらはスープも具も温くて、味も残念。空港以外で食べることをおすすめしたい。

講演終了後、建祥会さんからお土産として、中村理事長の新刊著作本と、徳島銘菓・山男鹿をいただく。
山男鹿山男鹿2

小男鹿(さおしか)は、袋を破ると、上面のストライプが特徴の棹菓子で、その縞模様と切り口に点々と現れる大納言小豆の模様が、鹿の毛並みを思わせる徳島県を代表する銘菓とのこと。一見カステラ風にも見えるが、こちらは小麦粉では無くキメの細かい米粉がベースの蒸菓子。ふんわりした柔らかさとムチッとした独特の質感がクセになる。口当たりが大変まろやかで、生地に含まれている山芋の風味、和三盆糖独特のやさしい甘さも魅力的だ。甘いものが必要ない体質の僕であるが、これは美味しく食べられる。
すだち
徳島空港で、お土産に「すだち」1箱2.500円を購入。昨晩は、自宅で刺身にすだちをかける技を伝授。なかなかの評判だった。僕はウイスキーの水割りにレモンの代わりにすだちを使ってみたが、これもなかなかいける。しかしこれをやっていると1杯に1個のすだちが必要となるため、すぐになくなってしまいそうなので、料理専用とした。

今日の更新記事は、週末土曜から日曜にかけての、徳島講演の模様を中心に書かせていただいた。徳島でお世話になった皆さん、」本当にありがとうございました。これを縁に、これからもよろしくお願いします。

PS.ところでここで紹介しなかったが2次会で訪れたスナックのホステスの方の幾人かが、ヘルパー経験者で、そうなると早速スカウトっぽい動きになってしまって面白かった。人材確保は大事な課題である。

介護・福祉情報掲示板(表板)

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