地域包括ケアシステムの構築における今後の検討のための論点」(地域包括ケア研究会)を読むと、ます地域包括ケアシステムという概念は全国共通だが、それを実現するシステムは、「地域の実情に応じて構築されるべきである。」とし、市町村責任を前面に押し出しているように読める。

面白いのは、『毎日、誰かが訪問してきて様子は見ているが、翌日になったら一人で亡くなっていたといった最期も珍しいことではなくなるだろう。常に「家族に見守られながら自宅で亡くなる」わけではないことを、それぞれの住民が理解した上で在宅生活を選択する必要がある。 』と突き放したような表現で、自己責任を強調し、在宅が一番という価値観ではない多様性をも打ち出していることである。

そのなかで、『専門職による「介護・リハビリテーション」「医療・看護」「保健・予防」が有機的に連携し、一体的に提供されることにより、その地域では地域包括ケアシステムが生活を支えている状態になる』という相も変わらぬお題目が繰り返されているのは今回の報告書も同じだが、その具体策は前述したように市町村に丸投げという結論である。

そして給付抑制を正当化する理屈が並び立てられ、例えば『お弁当を購入するのも、調理しているのは自分ではないが、その対価を自ら負担しているという意味において、これも「自助」と考えるべきである。 』などという方向に話を無理やり引っ張っており、ここは今までの報告書よりかなり強引で面白かった。

同じように、要支援者へのサービスについては、
それぞれの地域のもつ「自助」「互助」「共助」「公助」の機能のバランスの違いから、生活支援や介護予防の方法も地域によって異なる〜要支援者に対するサービスの中でも、こうした地域文化や一般民間サービスの市場規模、個人の嗜好性などが反映されやすいサービスは、身体介護のように専門技術によって標準化されているサービスと異なり、それぞれの地域の固有性を重視したアプローチで対応できるよう制度設計されることが望ましいのではないだろうか。
市町村が実施主体として社会資源の開発に努めながら事業を展開することにより、地域で不足している生活支援の創出にもつながると考えられる。さらに、軽度者の生活支援を保険給付から事業に移行することにより、効率的に要支援者に対する支援が行われ、今後、さらに増加する要介護者、とりわけ中重度の利用者の在宅継続を支える取組に対して、必要な財源及び人材を重点的に投入することが可能となるのではないだろうか。

とし、保険給付から外して地域支援事業の介護予防・日常生活支援総合事業の枠組みの中で対応していく必要性を強調している。要支援者の給付からの除外を推し進める狙いが色濃く示されているわけである。

ところこの報告書では、現在介護保険制度の中に位置づけられている医療系サービスについては、23ページで「医療と介護の連携を進める中で、短期入所、訪問看護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション等の居宅での医療系サービスについては、他の在宅サービスとの役割を明確にしつつ、また施設系サービスについては、その役割や在宅サービスとの連携の在り方も含めて、地域包括ケアシステムにおけるそれらの位置づけを引き続き検討すべきではないだろうか。 」とサラリと流しているだけなのに、福祉系サービスについては、「要介護者等向けのサービス(個別の介護保険給付)のあり方」という項目の中で、訪問介護、通所介護、ショートステイ(筆者注:おそらく短期入所生活介護・・・なぜなら前述した23ページの短期入所は、「医療系サービス」のくくりの中に入っており、ここでは福祉系サービスのショートと取れるのである)だけがピックアップして検討されている。

そのうち「通所介護」については、先週の記事で解説したので、訪問介護とショートステイについて内容を見てみよう。

訪問介護については、『同居家族の身体介護における負担が大きくなっている場合が少なくない。レスパイト機能を持つサービスの需要が高まる背景には、訪問系の身体介護サービスが適切に提供されていない(利用されていない)という問題もあるのではないだろうか。とりわけ、身体介護のニーズが高まる要介護3以上でのショートステイの長期利用や特養申込者が増加する現象は、こうした在宅での身体介護の不足も影響しているのではないだろうか。』としていると同時に、『在宅での家族介護に対する支援を強化するという観点からも、平成24年度から導入された定期巡回・随時対応型訪問介護看護や小規模多機能型居宅介護は、在宅生活継続を実現する上で重要なサービスであり、今後も普及・拡大していく必要があるのではないだろうか。』『今後は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護や20分未満の身体介護によるADL(日常生活動作能力)やQOL(生活の質)の維持向上を通じた在宅生活継続に関する効果について十分に検証するとともに、アセスメントに基づく短時間ケアの有効性について普及啓発を進めることが必要ではないだろうか。』『夜間・深夜帯は、日中に比べ、人材の確保が難しい状況があることから、夜間・深夜帯も含めて適切に業務を行う事業所に対する報酬上の評価を相対的に手厚くするといった工夫が必要ではないだろうか。』とし、24年以前からの長時間滞在型の身体介護の支援効果に疑問符を投げかけ、夜間を含めた24時間巡回サービスと、短時間滞在の複数回サービスの報酬を手厚くする提言がされている。

ショートステイは、レスパイトケアとしての一定の効果を認めながら、同時に施設入所の待機場所として、ショートステイを一カ月以上にわたって利用するような、ロング利用が見られる状況は、心身の状態の維持改善という観点からも不適切なサービス利用であり、擬似的な施設入所、あるいは施設入所の待機場所となっている側面もあり、真に在宅の継続が可能な状態にはならないと疑問符を投げかけている。

このように読み取っていくと、次の制度改正では、居宅サービスにおいて、福祉系サービスには、特に厳しい波が押し寄せてくるであろうことを予測させる報告書の内容となっている。

介護・福祉情報掲示板(表板)

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