今、全国各地でたくさんの介護事業者の新規立ち上げが行われている。当然のことながら、そこではたくさんの職員が介護サービスの担い手として活躍することになるわけであるが、それらの人々の介護の実務経験年数も様々である。
関連事業所や、別の事業所で実務経験のあるベテランや中堅職員も多いが、それ以上に多いのが、介護を職業とするのが初めてという人々である。それらの人々も、介護福祉士養成校などで介護の勉強をしてきた人ばかりではなく、何かのきっかけで介護事業者に職を求め、経験も知識も全くないまま就業してきたという人も少なくない。
僕が全国各地で講演を行う際には、そうした経験や就業動機や、考え方が様々な人がおられることを前提としながら、それらの人々が理解できる言葉で、本当に求められる介護サービスとは何かということを具体的に示すようにしている。実現できない理想論は徹底的に排除して、この仕事を自らの職業とする使命だけではなく、この仕事を職業とすることの誇りと素晴らしさを伝え、その誇りを守るために何をしたらよいかということを、具体的に示すようにしている。
しかもそれは達人にしかできない高度なことではなく、ごく日常的に我々でも実現できる方法である。そのことを介護という職業に就いている仲間に伝えたいと思っている。
そしてもうひとつ伝えたいことは、各事業所で指導的立場にいる人が間違えないで欲しいということだ。我々が教えるべきことは、営業利益をいかに上げるかという以前に、人の暮らしに関わる者には、法律に書いていなくとも守るべきものがあるということだ。そのために介護を職業とする使命と責任を自覚すると同時に、誇りを持つ必要がある。人の暮らしを踏みにじる方法論や考え方はそこには微塵も入ってこないはずだということである。そこを具体的な言葉で伝えているつもりである。
対人援助サービスの現場で、人を教育する立場の人々は、日々悩みが多いことだろう。いろいろなパーソナリティを持ち、経験も考え方も様々な人々に対し、何をどのように伝えたら良いのかと頭を悩ます毎日だろう。その中には、教育効果が上がらない現状や、職員間で統一されない意思を眼前にし、自分が今まで培ってきた考え方や方法が、「本当に正しかったのか」と悩む人もいるだろう。
僕は正しい理念に基づいて、正しい方法で介護に携わっている人は、自らの理念や方法論を変える必要はないと思っており、それらの人々に自分が間違っていないと確認でき、自信を持つことができるメッセージを送るために全国を走り回っている。せっかく良い指導者となるパーソナリティを持っているのに、周囲のいろいろな雑音や、いろいろなバリアで押しつぶされようとしている人を励まし、間違った人達に負けないように勇気を持ってもらうために、実際にできること、していることをお話しているつもりである。
先週末も宮城〜青森にかけて、そういう旅をしてきた。お世話になった皆さんに感謝を込めて、僕のデジカメに収められた画像とともに紹介したい。なお14日(金)の登米市〜経由した盛岡市の画像ファイルは事故があって消えてしまったので、ここで紹介する画像は、15日〜16日にかけての青森県が主になっている。
6月14日(金)は、登米祝祭劇場で行われた、宮城県ケアマネジャー協会登米支部・登米市介護保険事業者連絡協議会合同研修の中で、「人を語らずして介護を語るな」をテーマに、18:00〜120分講演を行った。
この講演は、オープンで会員以外の方の受講も可能であったが、当初定員を250名に設定していた。ところが6月はじめの時点で、申し込みが300名を超えてしまったため、急遽会場を変更して、結局当日は400名を超える受講者が来場してくださった。その中には登米市外の方も数多く含まれ、岩手県から来てくださった方もおられた。たくさんの方に僕の著作本も買っていただいたし、気仙沼の方には、今度ぜひそちらに呼びたいのでよろしくとのお声もかけていただいた。メール等でお気軽に連絡して頂ければ幸いである。
この場を借りて来場されたすべての皆様に感謝申し上げたい。
翌15日(土)は、社会福祉法人・秋葉会の、特別養護老人ホーム彩香園アルテリーベ 創立20周年記念講演として、同法人職員さんのための研修である。
青森県での講演は、昨年予定していた青森県社会福祉士会講演が、霧のため青森空港に着陸できず、同空港から引き返して中止になったことがあり、先々週、十和田市で行われた上十三地区介護支援専門員協会が最初の青森応援となった。それからわずか2週間後に、東北町講演が実現した。登米から盛岡を経由して降り立った駅も、先々週利用した七戸十和田駅である。
駅には彩香園の野月施設長さんと、2名の職員の方が迎えに来てくださった。講演開始までに時間があったので、小川原湖や寺山修二記念館などを案内していただいた。忙しい中、ほぼ半日お付き合いいただき恐縮である。
写真画像は、三沢基地のブルーインパルスの前で、野月施設長さんと、向井総括主任さんとの記念写真。僕はサングラスで人相悪く写っているが、これは飛蚊症の悪化を防ぐために、紫外線対策をするように眼科医の指示を受けているために、紫外線の量によって色が変わる「調光レンズ」の眼鏡をかけているため、屋外ではこうして色がついてしまうのである。全国各地でお逢いする皆さんには、そういう事情なので、講演会場以外で色つきの眼鏡をかけていることをお許しいただくよう、この場であらためてお願いしておきたい。
講演は、日勤職員が全員参加できるように18:00〜20:00の予定で、「社会福祉施設職員の使命と誇り」というテーマで行ったが、遅出の職員さんも随時仕事を終えて途中参加してくださった。会場は同法人のデイサービスセンター。土曜日の夜という時間帯で、多くの皆さんが勤務を終えて、あるいは夜勤明けで家に一旦帰ってという状況で、お疲れであるにもかかわらず、船をこぐ人もなく熱心に聴いていただいた。
アルテリーベというのはドイツ語で、「古い恋人」「旧友」という意味だそうである。僕もこれから同会職員の皆様の旧い友になれたら嬉しい。
今回の講演について、やり取りを行っていた同園の高橋事務長からは、講演後の感想として、次のような言葉をメールで送っていただいた。
「講義内容が具体的で非常に分かりやすかった」等の感想が職員から聞かれ、また、日々の「気づき」がいかに大切かを考えさせられる時間となりました。あっという間の120分でした。
今後、研修内容を大いに参考としながら、職場において積極的に実践していこうという意欲が見え、おかげをもちまして本研修は所期の目的を達成することができたと思います。
ありがたいお言葉である。この場を借りて感謝申し上げたい。
さて講演後は、いつも楽しみにしているオフ会。秋葉会職員さん御用達の居酒屋さんが会場であった。
うなぎを丁寧に開いて、ネギと卵を絡めて食べる「柳川風鍋」。うなぎは、地元小川原湖産の天然物。ふっくらとして脂が乗り美味しかった。
うなぎの白焼は、わさび醤油でいただいた。とても美味しい。
これも地元産の天然ものの「どじょうのからあげ」。頭つきの開きを唐揚げにしているが、頭の部分の苦味が味をさらに引き立てる一品であった。
サラダにはマグロ、サーモン、タコなどの大きな刺身が乗っていたが、生野菜を栄養素として必要としていない僕は、これはスルー。
B1グランプリで有名な、「十和田バラ焼き」を中華饅頭の皮で包んだもの。以前だべた十和田バラ焼きは、甘味が強かったが、これはそれほどでもなく、とても美味しく頂いた。
しらすおにぎりは、しその香りが効いていて美味しかった。
絶品だったのは、この「ガニ汁」。「もくず蟹」という種類の蟹を、、身や甲羅や味噌を全て一緒にすりつぶした具を醤油ベースの汁にしたもの。蟹の出汁がスゴく効いていた。初めての味。
お腹いっぱいになったので、締めのラーメンは無理だった。
東北町でのオフ会を終え、0時近くにホテルに到着。泊まったのは先々週と同じく「ルートイン十和田」。
タオルを遠慮なく使えてプチ贅沢感に浸れる、「ダブルルーム」が用意されていた。秋葉会さんのご配慮に感謝したい。
翌16日(日)は、11:25青森空港発の飛行機で帰道したが、空港まで野月施設長さんはじめ秋葉会の職員さん3名が車で送ってくださった。先々週も青森空港〜十和田市まで、介護老人保健施設とわだの皆さんに車で送っていただいたが、それとは別の道で、空港に向かった。
途中で、「八甲田山死の彷徨」で有名な、雪中行軍遭難地を見学。
その八甲田山は、その日も霧で曇って隠れていた。
宮城県登米市と、青森県東北町でお世話になった皆様、お会いした皆様、本当にありがとうございました。僕の思い出がまた一つ増えました。心より感謝申し上げます。
介護・福祉情報掲示板(表板)
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この度は素晴らしい講演を聴くことができて感激しております。
masaさんの話しはすべて実践からの言葉だけに直球でズバッと入ってきます。
私の周りにも熱い仲間がいっぱい居ますので,今度は是非,masaさんと語り合いたいと思っています。
また,ブログで気仙沼のことを触れて頂いてすごく嬉しかったです。
あらためてメールでご相談させて頂きたいと思います。
本当にありがとうございました。