法令根拠に基づいたルール確認は大事だ。

しかし基準省令やQ&Aに書いてあることだけが全てであると考えるのは間違いである。なぜならそこには最低限の決まりしか書いていないからだ。

社会人として当然守るべき社会常識や、プロフェッショナルとして持つべき職業倫理なんて、法令に書かれているわけがない。

しかしそれは無視して良いものではない。職業倫理に基づいて考えなければならない問題もあるということを忘れてはならないからだ。

職業倫理と言ったって、決して難しいものではなく、それは当たり前に考えて、人として当然守らねばならないことが大部分を占めているんだから、自分自身の常識や道徳がどれだけしっかりしてるかにかかってくるのである。

そんなことさえわからず、法令文章に書かれていないことはやらないとか、逆に法令文章で禁止されていないことはなんでもできると考える方がどうかしている。

そもそも倫理とは、人として何が大切かという本質を問い続けるものであり、職業倫理とは、我々が生活の糧としている職務に携わるものとして、社会から求められる規範を自ら意識することから始まるものである。それができない人は、その職務に就いてはいけないという意味になる。

国は、私たちにはそうした常識があるってことを前提にして法令文書を作っている。そんなことも理解できない常識のない人間は最低である。当たり前を大事にしない人は最低である。

常識論で言えば、介護サービスは社会福祉(Welfare)である。 そのことを忘れてはならない。

介護保険制度は社会保険方式を取り入れた社会福祉制度である。介護保険は社会保険制度になったのだから社会福祉でなくなったという国の御用聞き学者の妄言を信じてはならない。 それは給付制限して、介護保険制度が人の暮らしを支えなくても良い制度になっても問題ないという理由付けにしか過ぎない。

それは介護保険が人の暮らしを守らず、人の命を守らなくても良い制度であるということのアリバイ作りに過ぎない。そんな妄言で、この国の福祉制度を切り捨ててはならないのである。

社会福祉の分野に、資本主義の弱肉強食理論はそぐわない。自己責任という言葉で、誰かの命や暮らしを切り捨てて良いわけがない。制度の光が届かない影を広げて良いわけがない。

死者に鞭打つつもりはないけど、随分変な遺産を残して死んでいった妄言学者によって、この介護保険という制度は随分歪んだものにされてしまったように思える。

次の制度改正に向けて様々な議論が交わされているが、社会保障審議会の各部会の委員に言いたいことがある。それは、もういい加減に「財源論」という蓑をかぶった給付抑制論はやめてくれ、ということだ。

財源論とは収入と支出の両方を語るべき問題である。しかし現在介護保険部会の委員等が語る財源論は、1割自己負担分の負担割合アップや2号保険料の総報酬割りの導入ということを除いて収入を語ることをしていない。特に税収入のあり方を語ることが全くされずに、既存の税収等で得られる金額をどこにどのように回そうかという議論だから財源論とは言えない。

そうであれば、本来必要なサービスは何かを示した上で、給付抑制論の中で考えるサービスとの格差を、その時起こりうる問題提起と並立して国に示すべきであり、あとは税制という収入部分に手を入れることができる政治の判断でどうぞと、バトンを渡すべきである。

給付抑制の結果、予測されるデメリットを明らかにしながら政治判断を促すべきである。

財源論とは言えない給付抑制論によって、どれだけこの制度が歪められてきたかを振り返るべきである。そうした財源論にもならない財源という言葉が入っただけの屁理屈を振りかざす人々を、とてもじゃないが「有識者」なんて呼べない。

介護保険法の理念のひとつとされている「自立支援」にしても、それは一つの方法論にしか過ぎず、絶対的な価値観をそこに置くことは間違いである。 自己責任という言葉を、人の命や暮らしを守るべき分野で軽々しく使わないでほしい。

社会福祉という分野には、協同の精神こそ必要とされるということを忘れてはならない。

そして高品質サービスは情報公開のないところからは生まれないことも肝に命ずるべきである。 そうであるがゆえに、国は都合の良い情報ばかり表に出して、都合の悪い情報やデータを隠すようなことをして欲しくない。

情報開示は、事業者に求めるだけではなく、国がその範を示すべきなのに、どうやらそうなっていないというのが、関係者の一番の不信感であることを知るべきである。

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