僕の著書「人を語らずして介護を語るな」シリーズは、今年1月に出版した「誰かの赤い花になるために」を完結編とし、シリーズは全3作となった。
この本を何歳から何歳くらいまでの方が読んでくれているかは、著者にとって興味あるところだが、実際にそれを知ることは不可能である。
ただ最年長読者の方は、95歳の女性ではないかと推察している。それには根拠があって、毎回僕の本が出るたびに、新刊を購入いただいて、読後感を手紙にしたためて送ってくれる方がいて、この方が現在、95歳と6ケ月というご年齢なのである。
この方は、当施設のショートステイを定期的に利用なさっている方で、当然のことながら面識があり、僕の本はショート利用時に直接僕の元を訪れて購入してくださる。その際に落款付きのサインをさせていただくのだが、とても喜んでくださる。ショート利用中も、居室で僕の本を開いて熱心に読まれている光景をしばしば目にすることがある。
毎回感想を手紙にしたためて送ってくださることが、僕にとってなにより嬉しいことである。しかもその手紙は、愛と感謝にあふれた言葉がたくさん書かれており、心が洗われる思いである。本当に素敵なお年の取り方をされているのだなあと思う。

シリーズ第3作「人を語らずして介護を語るな THE FINAL 誰かの赤い花になるために」の感想が書かれている手紙では、この本の中の介護歳時記「長い爪〜家族の思い」(225頁)についてのご意見が書かれている。
このコラムで僕は、ある有料老人ホームの利用者の爪が伸びていて、それをいつ切ってくれるのだろうと、爪の状態を携帯カメラで撮り続けて、最後には諦めて自分で爪切りをした家族の気持ちを書いている。そこでは、そういう状態を作り出し、家族にそのような思いをさせた施設の対応は良くないと批判的に書いているのであるが、手紙を送ってくれた方は、職員の方も一生懸命やっているのだから、そのくらいは家族が爪切りをして、日頃施設でお世話になっていることにもっと感謝しても良いのでは、とご意見をいただいている。
その考えの根底には、この方が、「人は自分ひとりで生きていくことはできない。何もかも周囲の人々に感謝して、毎日をおかげさまでという気持ちをもって生きていくことが大事」という考え方によるものと思え、とても素敵な生き方をされている方なのだと、あらためて考えさせられた。
人間としての品格ということを考えれば、僕なんか、この方の足元にも及ばない。
ところで最年少の読者の年齢はどれくらいなのだろう。中学生がこのシリーズ本を読んでいるとは思えないので、せいぜい高校生だろうか?それとももう少し上の年齢、介護福祉士養成校などに通っている18歳以上の方になるだろうか?これは想像しても答えがでない。
この本を贈呈している当法人の理事や、僕の友人・知人たちなどは、介護のことに詳しくない人も多いのであるが、それらの人々からは、「制度のことはわからないから歳時記から読んでいる。」とか、「難しい制度論はなかなか読み進まない。」という声をいただいたりすることもある。
介護職員として介護に携わっている人や、家族として介護に関わっている人、これから介護の仕事を目指そうとしている人などは、介護そのものを書いたコラムに興味があって、制度論などはあまり興味がないのかもしれないなと思ったりしている。
全国各地で行う講演の受講者アンケートや、受講後に直接感想を寄せられる人の声を聞くと、「話を聞いて元気が出た」、「また明日からやり直そうという気になった」、「介護の素晴らしさが再確認できた」などという声が多い。
そうであれば、そうしたニーズに応えるために、制度論やケアプラン作成実務などには触れずに、介護そのものに焦点を絞って、現場の職員が誇りを持って、やる気が出る内容が満載の本を書いてみたいなと思ったりしている。
制度論などは、また別の形で書けば良いのだから、介護の実践論に特化した本もありではないだろうか。
例えばその本は、介護とはまったく関係していない一般の方が読んで介護に興味がわいたり、若い人達が何かのきっかけで本を読んでいただいて、そのことで介護の職業を目指したり、これから介護を職業としたいと思っているひとが読んで、本当の介護とはないかを理解していただけたり、そういう内容のものを書けないだろうかと思ったりしている。
介護の素晴らしさを、この仕事で生活の糧を得ていることを感謝する気持ちを持って伝えられる本を出したいと思ったりしている。
しかし同時にそれは、理想論ではなく、あくまで実践論でなければならないとも思っている。
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