1/24の早朝に母を亡くしたが、翌々日が友引で火葬場が休みだったため、亡くなったその夜に通夜を行い、翌日に告別式を行った。

そのため1/26に以前から予定が入っていた中標津町での講演はキャンセルする迷惑をかけることなく、予定通り行ってきた。これも母の意志だろうと都合よく解釈したが、そこで行った講演は、「看取り介護」であったため、自分自身は母に対して十分な看取りをできなかったことも含めて、当日の会場では母の死についてもお話させていただいた。

そういう意味では、当日の講演は私情がたっぷり入ってしまって、冷静さが欠けていたのではないかと反省している。受講者の方にしてみれば、少し引いちゃうようなことがなかったか心配していたが、その講演主催事務局から礼状が届いた。

その中にアンケートの中の評価コメントが添えられていたので、転載して紹介させていただく。

利用者や家族は色々な気付きを与えてくれる存在で、私たちはそれに気付き、気付けるような関係を作っていかなければならないと感じた。終末期に入っている担当患者との関わりの中で、自分が今何をすべきなのか、改めて考えてみようと思いました。

・日々入所者に尊厳を持って関わっている姿勢に共感を持ちました。

・お忙しい中ありがとうございました。とても奥深く考えさせられる内容でした。

・生きていることと死ぬことはつながっていると感じた。介護は生きるために行うと考えるが、死ぬことを特別視しがちだが、そうではないと感じた。

・表面上ではなく、本当に向き合い続けて、もがき考えてこられたものがにじみ出ていて、とても心に刺さりました。

・延命はして欲しくないが、酸素と点滴ぐらいはしてもらわないと残された者に悔いが残るかと思っていたが、点滴に低栄養のものがあると知ったので良かった。介護側からのお話だったけれど、看取られる側からの心得や気持ちなども聞き取ることは無理かな−。最後Aさんの心情を聞けてよかった。

・きちんと一人一人を見て、気付くことの大切さ、気持ちの大切さ、教わりました。2時間の間に教わることが多々あり、先生の講演を聞けたことに本当に感謝しています。ありがとうございます。

・最後まであきらめないで、安心安楽に過ごせるような関わりができていて、ご家族の気持ちも大切に関わっておられ、素晴らしいことだと感じました。ありがとうございました。お母様のご冥福をお祈りいたします。


もしかした否定的な意見もあったのではないかと思われるが、送っていただいたメッセージはすべて共感の意見であった。事務局の方が気を使ってくれたのだろう。

僕がお話する内容がすべて正しいわけでもなく、唯一の真実であるわけもない。当然のことながら僕とは違った意見を持つ人がいてよいし、それは極めて健全なことである。ただそうした反対意見を僕が素直に受け入れるという意味ではない。そうした意見の中に、僕の実践内容を変えなければならないほどの説得力がない限り、僕自身はそのことを気にかけないし、無視することが多い。

今回寄せられた意見のように、僕の講演を聞いて、その中で話したことに共感してくださる方がたくさんいることは嬉しいことである。特に僕の話は、介護施設という場で、僕の施設の職員が実践している「事実」そのものなのだから、そのことに共感して下さり、応援してくださるという意味は、僕の施設の職員が実践していることは決して間違っていないんだということを確認する意味もあるし、そうであれば共感いただいたということは、我々にエールを送ってくださっているという意味にも取れる。そういうふうにポジティブに考えて勇気を持って続けていこう。

看取り介護は、ターミナル期だけの特別な援助ではない。死に向かって準備するための援助でもない。

人が生きる過程の最終盤の時期に、たまたま死を目前にした時期があるというだけで、その時期にも安心して安楽に過ごせるように支援することは、長い人生と確実につながっている、その人自身の暮らしの援助である。生きている人への支援である。

人として、人に対してどう接するのかという当たり前のことを考え続けることにおいて、それは特別な時期ではなく、いつもと同じケアである。

それは心にかけて守るプロフェッショナルとしての関わりが求められているものであり、我々はいつも利用者の尊厳やプライバシーを守るケアパートナーであらねばならないだけのことである。

高齢者への介護サービスは、人生の最晩年期に関わるという意味であり、その関係者は、死というものをタブー視することなく、人生の最終場面である死に向かって続いていく過程と、その場面に利用者が何を求め、我々が何をすべきかをきちんと確認しておく必要がある。そして安心・安楽の支援を、その時期にしっかり構築する責任を担っている。

3/23(土)14:00〜横浜市健康福祉総合センターで行う講演は、「人生の最晩年に関わる介護支援専門員の役割」というテーマであるが、これも僕の施設の看取り介護の実践をベースに、介護支援専門員の役割を考えるものだ。

お近くの方はぜひ会場においでいただきたいが、この研修は会員限定で、残念ながら既に受講希望者数が定員に達しており、今からの申し込みはできないことをお断りしておく。

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