排尿障害のある方でカテーテル留置している方は、尿を貯めるウロガード(ウロバックあるいは採尿バックともいう)を車椅子などにつけたまま日常生活場面に出て行かざるを得ない。
その時、尿がたまっているウロガードそのものが見えないように、手作りの袋などを作って、その中にウロガードを入れ、周囲の目からそれを隠すのは当然のことであるが、どうしても気になってしまうのは「臭い」である。尿臭を完全に遮断できないという問題をなんとかできないかと思って過去に「開発してほしい介護用品」というブログ記事を書いたことがある。
そのブログ記事を書いてから3年以上経っているが、その記事のコメント欄に10/12、「当方札幌のメーカーなのですが、ウロバッグカバー(ディスポタイプ)を開発しどういう施設に売り込みをかけようかと色々調べていたらこちらのブログにたどり着きました。当社HPのURLを貼っておきましたので、ぜひご覧いただけたらと思います。」と書かれていた。
そこで僕はずうずうしくも、「試供品をくれればいいのになあ。」と返したところ、先日試供品が送られてきた。

ウロガードを隠してくるれ構造になっている。さらに内側に活性炭が張り付付いていることで尿臭の漏れを防ぐというものだ。画像の灰色部分が活性炭で、入口はマジックテープで尿量の確認なども簡単にできるようになっている。
派手派手な『がら』が付いていないのは良いのだが、色はイマイチかなと思った。もっとシックで、車椅子に固定しても目立たない色の方が良い。薄いピンクにした意味はなんだろうか?ここは介護用品開発者のセンスの無さで、介護サービスの現場との感覚が乖離している点である。
せっかく送ってくれたので、早速2名の方に使って、その効果を試してみた。

フルリクライニング車椅子のサイドにつけた方の画像である。ご覧のように足掛けに使っているものの模様や色を、このカバーの色に合わせることで、色合いの違和感はなくなる。見かけとしては合格点は与えられるだろう。
問題は、消臭効果である。今のところ劇的変化はない。つまりあまり効果を実感できないのである。特に使用している2名の方のうち、1名の方は尿臭が強い方で、この方の使用後感はほとんど手作りバックと変わらないという意見が多い。
入口をマジックテープにして、尿量の確認なども簡単にできるようになっているという点が、逆に消臭効果を減少させているのではないのか?尿量の確認など、日常生活場面に参加している時にできなくても、臥床した時など、カバーを使わなくて良い状態の時にできれば良いのだから、この部分は入口を完全に塞いで、尿臭が漏れない点を第一に考えるべきではなかったのだろうか?
ウロガードを使っている人の尿臭を気にする一番の理由は、それを装着しながら、食堂などで食事するということなのだから、消臭効果がもっと高まらねば、この商品に対してさほどの需要はないだろう。
こういう商品を開発する方々の努力は大変なものだろうが、いかんせん実際の介護サービスの場面で、何が一番困っていることなのか、それはどのような理由によるものなのかというリサーチが足りないのではないだろうか。
この商品で言えば、尿臭が漏れることによる生活障害というものの認識について、我々とかなりのズレがあるのではないかと感じざるを得ない。
試供品を送っていただきながら、辛辣な評価で申し訳ないが、これは介護サービス従事者の素直で、忌憚ない意見としてお許しいただきたい。
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