介護支援専門員をはじめとする、介護サービス関係者にも文章力が求められているにもかかわらず、文章を書く事が苦手な職員が多いために、必要な連絡や連携に支障を来たしたり、介護サービスのエビデンスにつながるデータにならないことが問題であることについて、このブログ記事では何度も指摘しているところである。

そして僕は次のように主張している。

『文章力は書く事だけでは鍛えられないのだ。いくら書いても上手くならない。なぜなら読み手がわかる文章という基礎ベースを理解しないと、同じように伝わらない文章しか書けないからだ。駄文を繰り返し書いても、駄文は駄文のままだ。美文を書く必要はないが、人に伝わるわかり易い簡潔文は、読み手の立場で書こうとしないとそこにたどり着かない。つまり良い「書き手」とは、「読み手」として、文章を日頃から読むことを苦にしない人であるのだ。良い書き手は、良い読み手から生まれるのだ。日頃、文章を読むことを億劫に感じる人、文章を読むことが苦手な人は、いくら記録文章を書き続けてもうまくなることはないだろう。読み手の気持ちや、読み手の視点がわからないからである。』

そのため事実を伝える簡潔分の代表として「新聞記事」を挙げて、新聞を読む癖をつけるように勧めているが、同時に文章のなんたるかをおぼろげながら感じ取った後は、介護現場での記録とはどう言う意味があり、どう書くべきかという専門書も一度読み込んでいただきたい。

そう言う意味からお薦めの本、介護職の文章の書き方の参考書となりうる本が刊行されているので、ご紹介したい。

著者は静岡県浜松市の独立・中立型居宅介護支援事業所「ジョアン」の管理者である粟倉敏貴氏(ハンドルネーム如庵さん:浜松市介護支援専門員連絡協議会会長・静岡県介護支援専門員協会副会長)である。

粟倉氏は、昨年5月「ケアマネジャー・介護・福祉職員のための作文教室〜基礎編〜」という本を自主出版されていたが、そのバージョンアップ版、「介護職の文章作成術」が厚有出版社から刊行された。

文章作成術

先日、粟倉氏より同著を「可能性がゼロでない限りチャレンジする価値がある」という言葉を添えて贈っていただいたので、この場を借りて感謝したい。ざっと読んでみると、その内容は単に文章の書き方にとどまらず、介護サービスの現場で、法令に沿って書くべきことや書かなくて良いことを示し、記録に追われない仕事に結びつく方法を紹介していたり、辞書やメールの有効活用の方法にも筆が及んでおり、わかりやすく、しかも新しいヒントを与えてくれる内容になっている。

詳しくは粟倉市のブログ記事を参照頂きたい。

勘違いして欲しくないのは、本を贈呈して頂いたからここで紹介しているのではなく、紹介する価値のある内容の本だから紹介させていただいているのである。現に贈っていただいた本を、すべて僕のブログで紹介しているわけではないのである。それだけ内容が良いと思ったということである。

少なくとも、長寿社会開発センターの「居宅サービス計画書作成の手引き」等を読むより、現場で使える実践的な記録方法として理解しやすい内容である。

言葉や文章で具体的に伝えるべきものが、適切に第3者にもわかりやすく伝えられるという記録の大切さをあらためて考えると、こういう良書を参考にして、記録が得意になる介護支援専門員や介護職員が増えてくれれば、介護サービスの現場のエビデンスは増えていくのではないかと思う。

僕は、現在自身の著作本第3弾の執筆中であるが、あらてめて粟倉氏の著書を参考にして、文章をチェクしてみようと思ったりしている。

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