厚生労働省は8月24日、2012年の認知症高齢者が推計で305万人に上ると発表した。この数字は65歳以上人口の約10%を占めるもので、従来の予想を上回る数になっている。
同省は、このように予想を上回る認知症高齢者の増加原因について
(1)介護保険制度が普及し調査対象者が増えた
(2)高齢者の寿命が延びた
(3)病院で受診する高齢者が増えた
などと分析している。
しかし(2)は首をかしげる。なるほど認知症が発症する最大のリスクは、加齢であることに間違いはないが、従前の予測数をはるかに上回る原因となるほど、急激に寿命が延びているかということについて言えば、首をかしげざるを得ない。
認知症高齢者の推計数のもとになっている厚生労働省のデータは、要介護認定のデータを使っているのだから、(1)の原因が最も影響していると思え、そこに認知症という診断名がより多く反映されているのは(3)が影響しているからだろう。
これは全国各地に「物忘れ外来」など、認知症が疑われる高齢者等が受診しやすい機関が増え、認知症の確定診断がしやすくなったことと大いに関係あると思えるし、痴呆から認知症という呼称変更やサポーター養成キャラバン等によって、認知症への偏見が軽減され、認知症高齢者の姿が社会から隠されないようになってきたことも大きいと思う。
つまり認知症になる人が増えているというより、認知症になった人が、認知症と診断され、実際の認知症高齢者の数がだんだんと明らかになってきているという意味ではないかと思う。もともとそれだけの認知症高齢者が、我が国にはいたという意味である。
しかし残念なのは、そういう状況下にあるにもかかわらず、まだまだ認知症の高齢者の方の実態を隠してしまうスティグマが我が国には存在している。それは認知症高齢者の方々に対して、支援の手を差し伸べるべき関係者が、自身の口で、認知症の方々に対する偏見を助長する「略語」を使っていることだ。認知症を「ニンチ」と略し、「あの人は認知症ではない」という際に、「あの人、認知じゃないから。」等といっていることだ。それも地域包括支援センターという、地域のケア基盤となるべき機関の職員の口から、こういう「不適切略語」が出てくるのだから大問題である。そのことで、認知症の方を家族に持つ人々が深く傷ついている。
(参照:認知症をニンチと略すな!!)
関係者の方々は、ぜひ安易な略語を使わないという意識を持っていただきたい。
ところで、今回の厚生労働省の発表によって、今まで認知症高齢者の数は、65歳以上で13人に一人であるとしていた数字は変えなければならないという意味になる。今後の理解としては、我が国において認知症になる人の数は、65歳以上で10人に一人であるとしなければならない。
僕は早速、水俣市で行った25日(土)の「認知症講演」では口頭でそのことを伝えたが、配布資料はこの発表がある前に作成したものなので、ファイルは13人に一人のままになっている。受講者の方々には、この部分の修正をお願いしたい。
ただしこの10人に一人という数字が我が国の認知症高齢者の出現率を正しく表したものであるかどうかは確定できない。医療機関に受診しておらず、要介護認定も受けていない認知症高齢者は、まだたくさんいるのではないだろうか。
そして今後も、認知症が疑われる高齢者の、新患外来受診と確定診断は増えるものと想像され、この数字はさらに変えなくてはならなくなるかもしれない。そう言う意味では、10人に一人という数字は、現時点の調査データの数値であるというもうひとつの理解が必要だろう。
なお85歳以上の数字は今回新しく示されていないので、4人にひとりという出現率は修正しなくてよいものである。
各地域で認知症サポーター研修等の講師役を務める人は、13人にひとりという古いデータ数を修正して、この数字の変化を正しく伝えて欲しい。
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感動の完結編。

これまでの取り組みが少しずつ浸透していっていると思うことがあります。
次は支援をする側が認知症という疾病知り、本人と家族をサポートする力を付ける番です。
我々はまだまだ未熟です。今後始まる予定の看護師・保健師・作業療法士を中心にしたサポートチーム「初期集中支援チーム」が本格的に機能するまでには長い時間が必要と思われます。
たぶん、このチームが機能するようにサポートをする地域力が試されると思います。
次の一歩に向けて、これからも皆で学びあっていければと思っています。