日総研出版から年4回出版されている、「相談援助&運営管理」という季刊誌に、「masaの相談員雑感」という3.200字程度の連載コーナーを持っている。

その8月号が昨日出版社から送られてきたので読んでいたら、社会福祉法人池上長寿園・たまがわ事業部門の石井南代表の、「通所サービスにおける時間区分の変更の解釈と加算算定」という小論文が目にとまった。

その中で通所介護の新しい個別機能訓練加算について、石井氏は次のように書かれている。
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(以下、同誌85ページ、86ページより引用)
個別機能訓練加算については、(機砲基本報酬に包括化、(供砲(機砲北松諒儿垢掘⊃靴燭妨鎚無’酬盈加算(供砲新設されました。
 この変更は、今までの(機砲通所介護の基本介護サービス費に包括化されるということから、通所介護サービスに機能訓練効果を求めているのではないでしょうか。つまり、私たちの通所介護サービスも、リハビリテーション的な視点を持って実施しなくてはならないということです。
 例えば、ご利用者様がお手洗いに行くのも、職員が楽なように単に車いすでお連れするのではなく、ご利用者様に介助により歩いてもらうなど、意図的に機能訓練効果を目指す介護計画を作り、身体機能の維持・向上に努めなければならないと思います。
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僕はこの部分を読んで非常に違和感を覚えた。そうじゃないだろうと反対意見を持たざるを得ない。

この文章中、石井氏は、「機能訓練効果」と「リハビリテーション的な視点」という言葉を使っている。それはどのような意味なのかが若干不明瞭ではあるが、「リハビリテーション的な視点」の意味は、通所リハビリが行う「個別リハビリテーション」をイメージしながら、医学的・治療的リハビリテーションエクササイズという意味で使っているように思えてならないし、新しい個別機能訓練が、それを目指すような意味となっているように思う。そうであればそれは違うだろうという違和感が一つ。

そう言う意味ではないというなら、石井氏は自身が書かれている『機能訓練』と『通所リハビリはリハビリテーション』の意味をもっと丁寧に解説せねばならないし、編集上は、この意味を問う解説を求めるべきである。少なくとも『リハビリテーション的な視点を持って実施しなくてはならないということです』という文章からは、加算兇了残衢弖錣任△覽’酬盈についての解釈通知の内容、『身体機能そのものの回復を主たる目的とする訓練ではなく、残存する身体機能を活用して生活機能の維持・向上を図るもの』とはつながらない。

さらに従前の通所介護の機能訓練イメージを「ご利用者様がお手洗いに行くのも、職員が楽なように単に車いすでお連れするのではなく、」と表現していることに対する違和感だ。これは明らかな不適切ケアの具体例であり、従前の個別機能訓練計画に定めることがあってよい内容とは言えない。それとも石井氏の通所介護事業所における従前の個別機能訓練計画とは、不適切ケアをそこに定めて実施してよいという意味で作成するものだったのだろうか。そこでは歩行可能な人も安易に車椅子でトイレ誘導して、排泄ケアし、それを加算気箸靴道残蠅靴討い燭里世蹐Δ。そうであれば、そんな計画自体が不適切である。こんなことが報酬包括化された機能訓練であるわけがない。

石井論文の一番の問題点はこの部分で、従前の通所介護における「個別の機能訓練計画」があたかも職員側の都合による不適切ケアが、そのまま訓練計画として立案されていたと誤解を生じさせる点である。通所介護関係者はこの点について大いに憤慨すべきであろう。

そもそも今回の報酬改定で、通所介護に求められている「機能訓練」の意味が変更されたわけではない。そして通所介護の機能訓練のイメージを、通所リハビリの個別リハビリテーション等の治療的リハビリテーションに近づけたわけでもない。むしろ通所介護の機能訓練と、通所リハビリのリハビリテーションの概念を、より明確に区分したという意味がある。

体制加算ではなく、実施加算として加算算定できる新・個別機能訓練加算兇陵弖錣砲弔い討蓮△發箸發板冥蟆雜遒竜’酬盈として存在した概念をより具体的にし、それに沿った算定要件としただけである。

つまり通所介護の機能訓練とは、単に身体機能の維持・向上を目指す医学的・治療的リハビリテーションエクササイズではなく、利用者の生活機能向上を目的としたものであり、かつ、身体機能そのものの回復を主たる目的とする訓練ではなく、残存する身体機能を活用して生活機能の維持・向上を図り、利用者が居宅において可能な限り自立して暮らし続けることを目的として実施することに対して、別途加算算定でいるものとしたものである。

このことは報酬告示と解釈通知に明示されていることだ。

だから石井氏が言う、「ご利用者様に介助により歩いてもらうなど、意図的に機能訓練効果を目指す介護計画」が通所介護計画の目指すべき機能訓練の方向というのは大間違いである。つまり通所介護事業所の中で、「介護歩行」ができてもしょうがないというのが、新しい個別機能訓練加算兇琉嫐である。計画としては通所介護の中で、事業所の設備を使って歩行訓練を行うことにとどまらず、そのことを自宅での暮らしにきちんと結びつけて、自宅で歩行して可能となる行為を続ける、あるいは行為と結びつけるということを目標化するという意味である。そういう視点で機能訓練を行いなさいという意味である。決して医学的・治療的リハビリテーションエクササイズの方法論に近づけなさいという意味ではない。

だから日総研出版「相談援助&運営管理」8月号の石井南氏の論文は、大いなる解釈の間違いがあるといわざるを得ない。新しい通所介護の個別機能訓練加算の解説文になっていない。石井論文のような解釈で、個別機能訓練加算兇離ぅ瓠璽犬作られ、それに基づく医学モデル的な発想で個別機能訓練計画が作成されるのは問題だろう。

この冊子で、石井論文の解釈を正しいと思った通所介護計画担当者は、医学的・治療的リハビリテーションエクササイズを個別機能訓練計画とせねばならないと勘違いしてしまうだろう。そうした方向で実地指導が行われ、適切な機能訓練を行なっている現場とミスマッチを起こさせる可能性さえある。困ったことである。

一方通所リハビリは、今回の報酬改定で医学的・治療的リハビリテーションエクササイズとしての個別リハビリテーションの評価がより重視されている。そのために理学療法士等が居宅訪問し、運動機能検査をしながら適切に個別リハビリテーション計画を定める場合に報酬算定でいるようになっている。逆に4-6や6-8の基本報酬が下げられている意味は、そのような長い時間区分の中では、個別リハビリテーションを行っている時間帯は限られており、個別リハビリテーション以外のサービスに対する報酬を減らしたという意味である。

さらに短時間の通所リハビリでも1日複数回の個別リハビリテーションの算定を認めているだけではなく、医療リハビリとの併用期間では、医療保険の疾患別リハビリテーションと、介護保険の個別リハビリテーションの同日実施による両者の算定も認めている。

基準省令で通所リハビリの基本方針は「要介護状態となった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションを行うことにより、利用者の心身の機能の維持回復を図るものでなければならない。」とされているが、この内容の中心となるのは、あくまで「医学的・治療的リハビリテーションエクササイズ」としての「個別リハビリテーション」であり、通所介護の機能訓練が「身体機能そのものの回復を目的とする訓練ではなく、残存する身体機能を活用して生活機能の維持・向上を図り、当該生活機能を日常生活において発揮することにより居宅での生活の継続を図ることを目的として実施する」としているものと差別化をより鮮明にしたものであると言えよう。

医療リハビリが急性期と回復期をカバーし、それ以後の「維持期リハビリテーション」については、介護保険リハビリ=通所リハビリが中心になって、その役割を担うということがより鮮明にされたのが、今回の報酬改定の意味であり、通所介護に求められる機能訓練が、通所リハビリのリハビリテーショにメージに近づいたかのような三上氏の指摘は的外れであると結論づけることができるだろう。

通所介護関係者のみならず、介護サービスに携わる関係者は、石井氏のような解釈を絶対にしてはいけない。大事な問題なので、誤解が広がらないように、フェイスブックをやっておられる方は、「いいねボタン」を押してシェアして、多くの関係者にこの記事をアナウンスして欲しい。

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