5/29に書いた「認定社会福祉士はなぜくだらないか」という記事に、6/11に「失意失望茫然自失」さんというHNの方から、次のようなコメントが送られてきた。

『独立型社会福祉士の道がこの認定社会福祉士、認定上級社会福祉士創設によって閉ざされました。日本社会福祉士会のホームページの下部に、独立型社会福祉士委員会というのがあり、これをクリックして、独立型社会福祉士名簿登録制度というのをクリックすると、2013年度から名簿登録制度が変わります。というのが出てきます。これをクリックすると、独立型社会福祉士の名簿登録制度の見直しについて、という中間報告書が公開されていますが、これには新名簿登録要件として第2項に認定上級社会福祉士であること、とあります。認定上級社会福祉士になるには、当然ですが社会福祉士国家試験に合格し、社会福祉士登録を終えて、指定施設及び職種に準ずる業務において相談援助実務経験が5年以上経過し、認められた機関での研修を受講して、認定社会福祉士になり、更に5年以上、認定社会福祉士として実務経験を指定施設及び職種に準ずる業務をなし、認められた機関での研修を受講して、定められた実績があり、基準を満たした論文発表又は認められた学会における学会発表をし、なお、試験に合格することで、認定上級社会福祉士になる審査がしてもらえ、これに通れば、認定上級社会福祉士になるという流れになります。国家試験登録後、認定社会福祉士の取得要件期間を合わせて、最短10年以上経過して取得できるものです。こんなに時間とお金と実績と勉強(大学院の修士いや博士課程クラス?)をして、得られるものは、独立型社会福祉士名簿の登録ということです。そもそも、独立はその成功も失敗も自己責任のはずです。資格取得後の独立という当然にして従前からの権利を、このような形で制限されていい訳がありません。しかも周知期間もなく、これまでの独立型社会福祉士養成研修は今年度12月が最後のようです。こんなことがあっていいのでしょうか。』

この意見には100%賛同する。特に、「そもそも、独立はその成功も失敗も自己責任のはずです。資格取得後の独立という当然にして従前からの権利を、このような形で制限されていい訳がありません。」という意見を、日本社会福祉士会は重く受け止めるべきである。

社会福祉士という資格は簡単に取得できる資格ではない。国家試験であり、合格率も低いし、介護支援専門員試験等と比べると試験問題の難易度もかなり高い。付け焼刃の勉強で合格できるような試験ではない。

そういう試験を受けて合格し、資格を得た社会福祉士が、その後10年経たないと独立型社会福祉士として名簿登録できないという位置に貶めているのが新資格=社会福祉士の上級資格の創設の意味である。

そしてこのことは認定社会福祉士と認定上級社会福祉士という資格が、あきらかに社会福祉士より上位資格として位置づけられていることを証拠立てるものである。

一般市民の今後の意識は、上位資格のある社会福祉士を現在より低い位置に見ることになるだろう。それもこれだけ色々な資格が乱立するのであるから、かなりわかりにくい形で相談援助の専門職を捉える状況を作る。これは必然の結果である。

社会福祉士会という、社会福祉士のスキルを担保し地位を高めるべき職能団体が、その基礎となる社会福祉士という資格の地位をこのように貶めてよいのか。何か方向性がちがっていないか。

空知のとある特養の僕の知り合いの「君」も、この資格創設の委員会に関わっているよな。あんたこのことについて、きちんと社会福祉士会会員に説明してきたのか?今後この意味を説明できるのか?僕は君がこんな活動に疑問も持たずに関わっていることを残念に思うぞ。

新資格創設の経緯は、冒頭部分でリンクを貼った記事に書いているように、これは現場の声から生まれた資格ではなく、国主導の考え方に基づくものだ、そこに社会福祉士会という職能団体が手を貸して、社会福祉士会の中に専門の検討会を設置したものである。

その理由の一つとして、新上級資格は、社会福祉士会等の特定の職能団体に所属する会員しか認定されない、という会にとっての「アメ」があるからだ。

しかしこの「アメ」の実態は、「毒饅頭」である。この資格によって社会福祉士という基礎資格は軽んじられ、その地位は貶められることは間違いない。社会福祉士の有資格者にとってそれは大打撃であるということを自覚していない有資格者が多いのには幻滅の思いがある。

職能団体の利益を優先したことにより、一番大事な個人の国家資格というものを貶めたというのが、今回の一連の社会福祉士会の動きである。それは、日本社会福祉士会は単なる利権団体に成り下がったとしか思えない結果である。

本当に社会福祉士や社会福祉士会の会員は、このこと「改正」だと思っているのだろうか。そう考えている人がいるとしたら、それはずいぶん「オメデタイ」人である。

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