先週末、幼馴染で現在東京都内の老健で看護師をしているから友人から電話をもらった。

彼女のちょっとした知り合いである特養の施設長さんが、毎朝僕のブログをチェックして、朝礼で記事を引用してくれているそうである。好き勝手なことを書いているブログなのに、忙しい時間に読んでいただきありがたい。ということで東京都葛飾区・水元園の櫻川勝憲施設長、いつもありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。Hがいつもお世話になっております。生意気なのは子供の頃からですから許してやってください。

さて本題。

僕は介護支援専門員の第１回目の試験合格者である。この資格については平成18年の制度改正の際、資格更新制度ができ、5年ごとに更新研修を受けなければ介護支援専門員の実務に携われなくなる。僕も18年度に最初の更新研修を受けたが、やたらと長い研修で、ひどく疲れた覚えがある。その割にその時に受けた講義内容はあまり記憶にない。要するに内容としては、受けても受けなくともどっちでも良い研修だという意味である。

この研修を受けて「非常にためになった」と感じる人は、よほど普段勉強が足りない人だと思う。

それから早5年。また更新時期がやってきた。

僕は現在、総合施設長という立場で、ケアマネ実務に携わっていないので、更新研修を受けなくとも問題無い。更新研修を受けない場合、資格が失効するわけではなく、実務に携わることができなくなるだけで、実務に就く前に研修を受ければ良いだけの話だからだ。

しかしこの世界、いつ何があるかわからない。施設長は管理業務に支障のない場合は、ケアマネ業務を兼務することは可能だし、いつその必要性が生ずるかわからない。（多分ないとは思ってはいるが）しかし必要になった時に更新研修を受けずに実務につけないとなったとき、タイミング良く研修が行われるとは限らないから、一応「念のため」に資格更新しておく必要がある。

そのため仕方なしに、今年の研修を申し込んだところ先週末に受講決定通知が届いた。

僕は前期研修（たしか4日間）の免除者（実務経験者として2回目以降の証の更新対象者）であるため、後期日程の3日間（20時間）の研修を受ければ良いことになっている。

その日程は10/3〜10/5まで。うーん。これは参った。10月は忙しいのに（参考：masaの講演予定）、前半の平日3日も研修で時間が潰される。

費用負担は、僕のように前期免除者は14.200円（受講料12.000円、テキスト代2.200円）だが、前後期受講者は31.200円（受講料29.000円、テキスト代2.200円）である。かなりのボッタクリ価格だ。誰かの利権になっていることがこの値段でもわかろうというものだ。

それに受講会場は札幌だから、我々のように地方の者は同市内で2泊3日しなければならない。交通費もかかる。無駄な出費である。

教員の資格更新研修は10年に一度だが、この研修は「必ずしも教員の質を担保しない」として2010年度にも廃止される方向で検討が行われたのに、結局廃止されずに続いている。誰かの利権になっている研修とは、一旦始まってしまえば、｢質担保｣という幻想を喧伝する利権者の抵抗により、その廃止がいかに難しいかがわかろうというものだ。

資格更新研修を受けなくても、いい教師はいいし、資格更新研修を受けても、ダメな教師はダメなのだ。資格更新研修によって教員の質が保たれているなてことは嘘だろう。

それと同じように、介護支援専門員も入口のハードルが低すぎるという問題を解決せずして、5年ごとのボッタクリ更新研修を行なったとしても、その研修を受けて質が上がるケアマネがいるわけがない。更新研修で「勉強になった」と感じる人間が存在するということは、普段いかに勉強していないかの裏返しともいえる。優秀なケアマネは、こんな更新研修なんか受けなくとも優秀なのだ。

今年2月に出版した「人を語らずして介護を語るな２〜傍らにいることが許される者」の中でも「介護支援専門員資格更新制度は必要なのか」という記事を載せており、この制度がいかに馬鹿げているかということを論評しているが、何より貴重な時間を、こんな意味のない研修に使うことが残念でたまらない。有能なケアマネが現場を離れて、何日間も研修に縛られる損失の方が大きいのである。

黒本の記事にも書いたが、研修講師の中には「寝ていてもいいですよ」等とアナウンスして講義をはじめる不届き者もいる。しかしせっかくの貴重なん3日間、20時間なんだから、ただ机に突っ伏して、ヨダレを垂らして寝ていては本当に時間の垂れ流しになってしまう。

だから僕自身はしっかり講義を聞いてくるつもりだ。場合によってはしっかり論評しちゃおうと思う。講義内容があまりにもためにならないなら、ipadを使ってリアルタイムでブログに論評記事を載せちゃおうか。

ところで、この研修はあらかじめ宿題が出されて、初日に提出しなければならないものがある。

それは自己事例と称すもので、実務についていようがいまいが、ケースを1件もってこいというものだ。記載内容は
1.個別事例の紹介
2.基本情報
3.課題分析（アセスメント）概要
4.課題分析シート
5.サービス計画書1
6.サービス計画書2
7.週間サービス計画書（または日課表）

提出書類をもとに、グループワークを行なってメンバー全員の事例研究を行うそうだ。

こんなこと考える奴って馬鹿じゃないのか。こんな研修やってっから本当の意味のケアマネジメントができる人材が育たないんだ。紙の上だけの情報で、もしかしたら実在しないかもしれない架空情報も含まれたものを検討してどうするんだ。本当のケアマネジメントは、計画担当者やサービス提供担当者が、それぞれ利用者本人と直接面接して、息づかいを感ずることを含めた、生きた情報を持っているから担当者会議が機能するんじゃないか。

こういう形式的なおバカグループワークを企画して満足してっから、いつまでたってもケアマネジメント批判の対象となる知識と技術のないケアマネがいつづけるんだ。企画者の顔を見てみたいよ、ったく。

こんな腐れグルワクで、僕の時間が使われるのは本当に残念なのである。時間を返して欲しい。

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