福祉援助や介護サービスの現場に携わっていれば、いろいろなことがあるよね。

自分はもっと良いサービスをしたいと思っているのに、それが出来ないジレンマ。周囲から理解されないストレス。人と意見があわないもどかしさ。

でもね。みんな多かれ少なかれそういうものを抱えているんだ。

その時にさ、ストレスを発散するために、利用者に対してその気持ちをぶつけるなんて最低だぜ。それは一時的にはストレスのはけ口になるかもしれないけど、そのことは最終的には何らかの形で自分に還ってきて、自分自身を壊してしまう結果にしかならないんだ。

まちがちゃあいけないよ。介護サービスの現場での最大の喜びは、利用者の笑顔に結びつく結果を出すことなんだから。本当の意味のストレス解消策っていうのは、みんなが今いる場所で、良いケアを行なって、良い暮らしを作ることなんだよ。

周囲が変わらないためにケアの品質が良くならないのなら、少しだけ自分を変えて、周囲の人々の見る目を変えて、一歩ずつ良い方向に足を踏み出すことが大事なのさ。

そのためにはね。苦しむんだよ。悩むんだよ。楽な道なんてないんだからさ。

そういう茨の道を通りながら人間は何かを見つけていくのさ。始まりから終わりまですべてが順風満帆な歩みでゴールにたどり着ける人なんていないんだから。苦しみや悩みを乗り越えて歩み続けることさえ楽しむことが出来る日がいつか来るから。

自分を変えられない人に職場を変えられるわけがないだろう。自分を変えられない人に世間を変えられるわけがないだろう。でも逆に考えてみようよ。前に進むために自分を変えられるのであれば、世の中を変えられるかもしれないんだ。そう信じて小さな歩みを続けていくのが、我々介護サービスの現場に携わる人間の役割なんだ。学者にはできない役割なんだ。

だから悩みながら、考えながら、前を向かって歩き続けるんだ。

でもね・・・。前にも書いただろ。思いつめすぎちゃあダメだって。思い込みが過ぎたり、思いつめすぎちゃうと、思うという字には角が生え、しっぽが生えて、鬼って言う字に変わちゃうと書いただろ。

だから思いつめないように、思い込みをしないように、考え続けないで、何も考えずに少し休む時間が必要なんだ。

その日1日の反省をするのはいいさ。でもね、それは陽が昇っているときだけにしなよ。陽の照る時間にだけ考えるようにしなよ。夜、悩み事の解決策を考えちゃあいけないよ。特に、仕事のことを、仕事の悩みを、陽が沈んでから考えちゃあいけないよ。夜考えても、良い考えは浮かばないから。夜は暗いことしか考えられなくなるから。人の思考回路とはそういうものなんだよ。

夕陽がなぜあんなに美しいか知っているかい?

みんなが陽が沈んでいくことに気がつくように、夕陽はあんなに美しい夕焼けを、空というキャンパスに描き出すんだよ。世界中の全ての人が気が付けるようにしているのさ。

さあ、もうすぐ陽が落ちるから、考えるのは明日にしましょうって、空が暗くなる前に教えてくれてるんだよ。

それでも悩み、考え続ける人には、それダメだよって赤信号を日が暮れる間際に出しているだろ。

夕陽夕陽を眺めたら、もうくよくよ考えるのは後回しにしようよ。明日考えればいいってば。

雨や雲で夕陽が見えない日があるだろ。

その時は夕陽も疲れて休んでいる日なんだ。そんなときは、夕陽にいつもご苦労さん、いつもありがとうって思うだろう。そう思って、自分だって休む時があって良いだろうって思うだろう。

人間の価値はね・・・強いことじゃないんだ。優しいことなんだ。誰に対しても優しさを持つことなんだ。優しいから見ず知らずの他人を叱ることができるんだろう。優しいから、恨まれるのを覚悟で指摘するんだろう。でも本当に打ちのめされて落ち込んでいる人には、だまって肩を抱いて、何も考えなくっていいよって言うだろう。

そしてさ・・・時には自分にも優しくする時があったていいさ。

夕陽を見たら思い出してよ。そのことを。

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