診療報酬の改定にともない「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」も改正された。

これは特養にとっても知っておくべき大事な通知なので、僕のサイトではトップページからテキストファイルにリンクできるようにしている。そのファイルを更新していて気がついた事がある。

それは今回の診療報酬改定で次のルールが新たに加えられている点である。(新たに加えられている部分を赤く表示している。)

4 養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、指定短期入所生活介護事業所、指定介護予防短期入所生活介護事業所、指定障害者支援施設、指定療養介護事業所、救護施設、乳児院又は情緒障害児短期治療施設(以下「特別養護老人ホーム等」という。)に入所している患者については、次に掲げる診療報酬等の算定の対象としない。

(一部略)
在宅患者訪問診療料
ただし、特別養護老人ホームの入所者については、以下のア又はイのいずれかに該当する場合には在宅患者訪問診療料を算定することができる。なお、当該患者について、介護福祉施設サービス又は地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護に係る看取り介護加算(以下「看取り介護加算」という。)を算定している場合には、在宅ターミナルケア加算及び看取り加算は算定できない。
ア当該患者が末期の悪性腫瘍である場合。
イ当該患者を当該特別養護老人ホーム(看取り介護加算の施設基準に適合しているものに限る。)において看取った場合(在宅療養支援診療所、在宅療養支援病院又は当該特別養護老人ホームの協力医療機関の医師により、死亡日から遡って30日間に行われたものに限る。)

特定施設入居時等医学総合管理料
ただし、特別養護老人ホームの入所者については、以下のア又はイのいずれかに該当する場合には特定施設入居時等医学総合管理料を算定することができる。なお、当該患者について、介護福祉施設サービス又は地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護に係る看取り介護加算(以下「看取り介護加算」という。)を算定している場合には、在宅ターミナルケア加算及び看取り加算は算定できない。
ア当該患者が末期の悪性腫瘍である場合
イ当該患者を当該特別養護老人ホーム(看取り介護加算の施設基準に適合しているものに限る。)において看取った場合(在宅療養支援診療所、在宅療養支援病院又は当該特別養護老人ホームの協力医療機関の医師により、死亡日から遡って30日間に行われたものに限る。)

↑この部分である。本来、特養利用者には算定できない「在宅患者訪問診療料」「特定施設入居時等医学総合管理料」について、例外的に算定できる要件にアの「末期がん」に加えて、イとして「当該患者を当該特別養護老人ホーム(看取り介護加算の施設基準に適合しているものに限る。)において看取った場合(在宅療養支援診療所、在宅療養支援病院又は当該特別養護老人ホームの協力医療機関の医師により、死亡日から遡って30日間に行われたものに限る。)」が新たに加えられているのである。

今までの同通知文と比較してみよう。

従前の在宅患者訪問診療料は、「末期の悪性腫瘍であるもの(介護老人福祉施設又は地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護に係る見取り介護加算を算定している場合の在宅ターミナルケア加算及び「注4」のただし書きき規定する加算を除く)を除く。」としかされていなかったし、特定施設入居時等医学総合管理料は、「特別養護老人ホームの入所者であって、末期の悪性腫瘍であるものを除く。」としかされていなかった。今回それにイの規定が加えられている。

これにより看取り介護加算対象者の死亡前30日間については、協力病院等から特養への医療保険訪問診療を行なって、診療報酬を算定できることになる。これは従前までできなかった取り扱いである。

しかしここでふと気がつくことがある。当該診療報酬の算定要件は「死亡日から遡って30日間に行われたものに限る。」という条件付きである。すると見取り介護だからといって、診療報酬が算定できるからと思い込んで、訪問診療を行なっていても、死亡日から30日を超える以前の対応については報酬算定ができないということになる。

するとこれはかなり死期が確実に迫っていると確定できるケースだけを対象にせざるを得ないということになるだろうか。

どちらにしても、この改定は医療機関だけではなく、特養関係者もきちんと把握しておく必要があるだろう。これによって「看取り介護対象者」の死亡日までの30日間は、施設所属医師の診療に限らず、外部の医療機関から訪問診療を受けることが可能になったという意味なのだから。

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