介護施設の職員のユニホームは必要か否かという議論は、かなり昔からある。(参照:介護施設のユニホームについて

施設管理者や事務職員・相談援助職員は、ユニホームが定められていなくとも、男性ならワイシャツ+ネクタイ、女性でもスーツ系という施設は多いだろう。しかし看護職員・介護職員は施設が定めたユニホームを施設が支給しているところも多いと思う。

このメリット・デメリットは双方ともあるように思え、どちらが良いという結論を第3者が出す必要はないと思う。一番その施設にとってふさわしい方法を、利用者の目線を含めて考えて結論を出せばよいことである。

グループホームの場合は、ユニホームを揃えている方が少数派だから、そのような議論自体がおかしいと感じる向きもあろう。それはそれでよいだろう。ただ自由とは、全てが許容されるルールがない状態ではないので、服装の自由化も、職業としてふさわしいレベルなのかという職員自身の意識が問われることも忘れないでほしい。(参照:仕事の服装・おしゃれの勧め。 続仕事の服装・おしゃれの勧め。)

当施設は今までは制服を基本としてきた。制服を支給・着用していないのは、施設長など男性事務職員に限られていた。(当施設は女性のスーツはユニホームとして支給している)相談員も外出時以外は、動きやすい服装で機能訓練や行事運営に係ることが多いので、制服を支給してきた。

しかし来年度からの介護報酬の大幅ダウンを受けて、経費削減策の中で、ユニホームの廃止を検討した。

利用者に対するサービスの低下や、職員の待遇低下によるモチベーション低下に繋がらないような間接経費削減として、もう一度「ユニホームは必要なのか」ということを含めて協議した。その中で、ユニホームを通勤着や、普段着に使っているケースなども実際にあることが問題となり、事実上それが私服と区分できない使われ方をしているケースも見られた。逆にユニホームであることのサービス上のメリットはほとんど見られないという結論に達し、一部の例外を除いて、来年度からのユニホーム支給はやめることとし、原則服装の自由化を図ることとした。

一部の例外とは、厨房に入る職員(栄養士や調理員)の調理衣・白衣は衛生上の問題から残した。看護職員等の感染予防対策時の服装も必要だろう。ただしこれは常に着用しているわけではなく、看護職員も通常業務では、脱ユニホームを図る。介護職員の入浴介助着も例外として支給を継続する。

それ以外の普段の業務の際の服装は、相談員、看護・介護職員ともすべて自由化することとした。現在ユニホームに縫いこんでいるネームも、特に必要ないとした。胸についているネームをいちいち読んでもらわなくてもよい方法で関係づくりをすればよいだけだからだ。

では職場で許される服装とは、どのようなもので、どこまでか。ある程度基準を作るべきかという意見もあるが、当初はそれぞれの自覚による判断とした。職員自身が、社会人として職場でふさわしい服装とはどのようなものかを考えるべきだと思う。勿論、各担当部門のリーダーなどは、教育的な指導を行わねばならないこともあるだろう。

ふさわしい服装を考えることも勤務評定である。服装が自由化されたからと言って、周囲の目を引く奇抜で、目立ちすぎるものは普通の人なら選択しないだろう。清潔感のない服装も、生活場面のあらゆるところに係る職員として、「ふさわしくない」と考えるのは普通の感覚だろう。

このことによって大幅に風紀が乱れるようなことがあるとしたら、それは服装の問題ではなく、もっと別の根本的な問題が存在しているということになる。逆に言えば、さほど心配していないから規定を設けず、自由な選択肢に任せるという意味でもある。

そう言えば介護保険関連制度自体は、改正のたびに規定が新しく設けられたり、厳しくなっている。一見「解放」されたように見える「介護福祉士等の喀痰吸引等」も、その実施ルールは規制の網でガチガチに固められている。

事業者を信用しないことを前提に制度が創られていくようである。

せめて現場では職員を信じて、その能力が最大限に発揮できるようにモチベーションを上げる手伝いをしなくちゃな。

新刊のネットからの購入は
楽天ブックスはこちら
アマゾンはこちら
↑それぞれクリックして購入サイトに飛んでください。

介護・福祉情報掲示板(表板)