いろいろな会場で講演を行う機会があるが、3/9(金)の会場となった東京品川の「キャノンSタワー」はすごかった。なにがすごいかといえば、そのセキュリティの徹底ぶりである。

基本的にビル内に入るのも、エレベータに乗ってフロア移動するのも勝手にはできない。すべてキャノンの社員の方に誘導してもらわねばならなかった。これは講師であろうと、受講者であろうと例外なしである。

そのため受講者の方々には、あらかじめ来場時間を指定し、担当社員の方が、玄関前で待機して誘導。これは昼休みに食事に出る際にも同様で、食後にビルに戻ってきた人を誘導する担当者の方がずっと貼りついていた。すごいなあ。

ところでその研修会は、内田洋行がキャノンと共催で行ったものであるが、当初定員100人を予定していたものの、申し込み者が殺到して、残念ながら先着順で受講者を決定したため、せっかく申し込んだのに受講をお断りした方もいるそうだ。僕は主催者ではないが、表の掲示板でセミナーの案内をした責任もあって大変恐縮している。申し訳ありませんでした。

当日の受講者は、数名の欠席があったが、総勢123名が来場された。会場の設備は立派だったが、なにせ狭いため、机をセットできず椅子のみとなり、午前120分・午後90分の講演を聞く体勢としては楽ではなかったと思う。それにも関わらず、熱心に僕の話を聞いてくださり、大変ありがたく思う。

今回は午前の120分講演が「法令遵守のケアプラン」というテーマだったので、(ちなみに午後は改正介護保険制度の検証をテーマにした)介護支援専門員の資格を持った方が受講者としては多かったのではないかと思うが、それ以外の職種の方も熱心に聞いて下さった。

法令遵守のケアプラン作成方法

ケアプランの具体的な作成方法を、法令ルールに基づいて説明するという意味は、法令が完璧で、それに沿ったケアプランを作成さえしておればよいという意味ではない。

法令が何をどのように規定しているかを知ることによって、ケアマネジメントに何が求められているかということが理解できる。さらに法令で定められたルールに沿って業務を行うことで、その中の様々な規定の瑕疵や矛盾を見つけ出せるという意味もある。それらを改善するためのアクションは、法令を無視して勝手な活動をしている人には不可能で、法令を遵守してはじめて「もの言える」権利を持てる。

さらにいえば、法令ルールとして定められた規定とは、求められる業務において最低限必要な質を担保するためのものであるという意味があり、事実それを無視して(あるいはルールを理解していないままで)業務を行っていることにより、適切なケアプラン作成に結びつかないケースも見られ、最低限求められている法令上のルール理解は不可欠だ。実地指導で指導されないために、法令理解が必要だという意味ではないのである。

つまり僕がこのテーマでお話しする内容とは、最低限法令上で求められているルールの内容と意味を説明理解していただいた上で、その過程をきちんとこなし、さらに求められるケアマネジメントの方向性を明らかにして、具体的にどのようなプラン作成を行えばよいのかを具体的に示すものだ。実際に現場で使っているケアプランも例示させていただいている。

課題解決型のケアプラン作成方法を具体的に示す内容が、そこには当然含まれてくる。だから単に法令解説ではないと考えてほしい。

4月からの法令の一部改正でもケアプラン作成に関連しているものがある。例えば老企22号解釈通知の改正では「課題分析における留意点(第七号) 」が追加され、「介護支援専門員は、解決すべき課題の把握(以下「アセス介護支援専門員は、解決すべき課題の把握(以下「アセスメント」という。)に当たっては、必ず利用者の居宅を訪問メント」という。)に当たっては、利用者が入院中であることなど物理的な理由がある場合を除き必ず利用者の居宅を訪問し利用者及びその家族に面接して行わなければならない。」という規定文が追加された。

今までも自宅での面接は13条17号「介護支援専門員は、介護保険施設等から退院又は退所しようとする要介護者から依頼があった場合には、居宅における生活へ円滑に移行できるよう、あらかじめ、居宅サービス計画の作成等の援助を行うものとする。 」 という規定で「入院中にあらかじめ居宅サービス計画の作成できる」と解釈できるものであったのに、このことを認めず、機械的に自宅訪問後の居宅サービス計画作成を指導している行政指導が見られたことから、そんな必要はないことを改めて示したものだろう。

さらに2号解釈通知の改定では「なお、利用者の課題分析(第六号)から居宅サービス計画の利用者への交付(第十一号)に掲げる一連の業務については、基準第一条に掲げる基本方針を達成するために必要となる業務を列記したものであり、基本的にはこのプロセスに応じて進めるべきものであるが、緊急的なサービス利用等やむを得ない場合や、効果的・効率的に行うことを前提とするものであれば、業務の順序について拘束するものではない。ただし、その場合にあっても、それぞれ位置付けられた個々の業務は、事後的に可及的速やかに実施し、その結果に基づいて必要に応じて居宅サービス計画を見直すなど、適切に対応しなければならない。」として暫定プランでは所定の手続きを「事後的に可及的速やかに実施」すれば緊急対応時のサービス担当者会議等を行えない場合があってもよいことを明らかにしている。

また地域密着型サービスとして位置づけられた新サービスについては、「訪問看護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、居宅療養管理指導及び短期入所療養介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護(訪問看護サービスを利用する場合に限る。)及び複合型サービス(訪問看護サービスを利用する場合に限る。)については、主治の医師又は歯科医師(以下「主治の医師等」という。)等がその必要性を認めたものに限られるものであることから、介護支援専門員は、これらの医療サービスを居宅サービス計画に位置付ける場合にあっては主治の医師等の指示があることを確認しなければならない。」と医療系サービスの指示を受ける規定の変更がされている。

これらは居宅介護支援事業所の管理者や介護支援専門員なら確実に確認しておかねばならない規定変更である。

こうしたことも含めて、ケアプラン作成の実務と、利用者の豊かな暮らしに繋がるケアプラン作成方法をお話ししているわけである。

3/9の講演を受講された方には、この点良く伝わっただろうか?会場の皆さんの熱気や反応から考えると、概ねこれらの理解を促すことができたのではないかと考えている。

ということで、こうした形の「居宅サービス計画」あるいは「施設サービス計画」の作成業務に関する講演も行っているので、全国各地の関係者の皆さんで、ご要望のある方は、メールや電話で連絡をいただきたい。


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